街は辺り一面オレンジに染まり、し火照ったを夕風が優しくでる。

ニビは惜しくもあの闘いで負けてしまったが、決闘大會2日目は無事終わった。

ルミスに呼び出されたレイスと、それに付いて行ったライとランと別れた俺たちは宿までの帰路についていた。

その道中で話す話題は、図らずもレイスのあの奇行についてだった。

｢レイスってあんなことする奴だったんだな。びっくりした｣

｢いや、俺も驚いた正直｣

｢カイも？お前ら長い付き合いなんじゃねーの？知らんけども｣

そう言ってニビは首を傾げる。

彼の言うことは最もだ。

それに俺らが隨分長いこと一緒にいるのだって事実。

｢レイスとは隨分長いこと一緒にいるけどあんな事したの初めて見たよ俺だって。あいつ普段なら極力必要ないことはやりたがらねぇもん｣

｢だろうな｣

｢おう｣

｢何があったんだろうなー｣と俺の先を行くニビを見て、俺は困ったような笑みを浮かべるしかなかった。

……レイスがあの行に出た理由は、なんとなく察しがつく。

んでいた時、アイツの手足は若干震えていた。

人前に出て何かするとか目立つとかいうのが苦手な奴だから、あんな事をすればそうなっても無理はない。

大聲出してて誤魔化してたけど、聲だって僅かに震えてた。

そこまでしてあの行に出た理由。

(レイスの中で仲間の為にくっていう考えが芽生えてんのかもなぁ。今まで俺に対してはなかったけどさ……でもだとしたら…)

｢ニビには謝しないとなぁ｣

｢なぁに気持ち悪い顔してボソボソ言ってんだよ気持ち悪い｣

｢え、気持ち悪いって2回言った？俺だって傷付くことはあるのよ？｣

｢今日レイスの後ろで煽ってきたお返しだバーカ｣

｢あ、バレてた？｣

｢ったりめーだろ｣

不服そうな顔で隣を歩く彼は、俺にはどこか嬉しそうにも見えた。

人の為にくことは疎か、人を信じたり頼ったり、自分の意見を持つことをしなかったレイスがニビの為に自分の苦手とする事をし遂げた。

俺はアイツの親でもなければ兄弟でもないただの腐れ縁の馴染だけど、今日起きた出來事をどうしようもなく嬉しく思うのだ。

｢え、カイもおかしくなった？そんな良い笑顔浮かべてどうした？今日は早めに寢るか？｣

｢いや大丈夫。寧ろ宴會でも開きたい気分だわ｣

｢それは…俺が遠慮しとくわ疲れたし…｣

他もない會話をしながら歩みを進める。

これをきっかけにしでもレイスが良い方に変われたらいいなぁ…。