《SNS仲間で異世界転移》第8章 2話 ありがとう
ドルゼとバンギックは龍剣の事や、先程までの狀況を一通り説明した
リク「龍剣が……死んだ…?」
ティアーノ「あいつのしそうな事だよ……ったく」
場の空気が一層暗くなる
イオネット団長「いつまでここでメソメソしているつもりだ。帰るぞ」
団長が背中を向けて歩きだすと、皆もそれに著いて行く。その中でも泉をおんぶしているソフィアは、必然的に1番後ろを歩いていた
泉「 ……てる……」
ソフィア「え?」
寢言だろうか。泉はソフィアの背中で寢たままブツブツと何かを言い始めた
泉「……い……てる」
ソフィア「泉、大丈夫?」
おそらく魘うなされているんだろうと思い、ソフィアは優しくを揺らす。すると今度は目を開き、はっきりとした口調でこう言った
泉「生きてる!!」
兵士達は皆振り向いた。そんなことはお構いなしに、泉はソフィアから降りてさっきの場所に戻って行った
ドルゼ「どうしたソフィア」
ソフィア「なんか、"生きてる"って言ってそのまま走っていきました…」
イオネット団長「うむ…とりあえず戻ろう。泉1人置いて行く訳にもいかないからな」
総員、困り顔をしながら來た道を引き返す。さほど離れてなかったので、すぐに泉に追いついた
ソフィア「どうしたの!?泉!」
泉は草原へと変わり果てたこの荒れ地を立ったまま凝視している
泉「龍剣が……龍剣が生きてる……」
背中を向けているが、涙ぐんでいる事が聲から伝わる。だからといって、泉の見ている景には誰もいない。あるのは草や花といった植だけ
イオネット団長「泉よ。ショックが大き過ぎて心がまだ不安定なんだろ。お前には安靜が必要だ」
現実をけ止めきれない泉に向かって団長が語りかける
泉「いや…違うんです!本當に龍剣が…龍剣の力をじるんです!」
団長は正面に回り、泉の顔を覗いてみる。とても現実逃避をしているような顔ではなかった。その目は自分を信じ、何かの可能にただひたすら賭けている強い目だった
香奈「………あ、本當だ」
壯助「確かに、龍剣の力だな…」
汏稀「言い表せないけど…なんかこう、溫められるような…」
他の3人も駆け寄ってきて手を合わせると、泉に同調した。それを見た団長は4人を信じて自分も靜かに待った
ジェット「団長まで一何をしているんですか!過ぎた事は仕方がないでしょう!!」
団長はこの言葉に何も応答しない。なくともランク4の何人かはジェットと同じ気持ちだろう
そして再び沈黙が続く。泉達は両手を合わせ、目を閉じている
そんな時だった。泉達の前に、パッと音を立てて1つの小さな芽が生えた。後ろにいる兵士達も音に気付き、気になって前に出てくる
泉「このじ……!!」
汏稀「まさか…!」
その芽の下から複數の太いツルが球狀になって出てきた。ツルのきが止まると、ゆっくり一本一本剝がれていった
全員「!!!!!!」
なんと中から出てきたのは死んだと思われていたはずの龍剣だった。今はどうやら気絶しているようだ
イオネット団長「龍剣…!!」
リク「龍剣!!!!」
皆喜びの表に変わり、自然と龍剣の周りに集まった
「「こやつ、いきなりワシの所に降ってきよったわい」」
龍剣を包んでいたツルが聲を発した
泉「やっぱりこのじ、ドクの神木様だったんですね」
龍剣を運んできたツル。それは、聖妖の森に住むドクの神木様の一部だった
ドクの神木「心配せんでも龍剣は生きておる。それにしてもここまでツルをばすのは重労働じゃったわい」
イオネット団長「ドクの神木様…一これはどういう事ですか?」
ドクの神木「こっちが聞きたいわい。ゆっくり寢ようと思ったのに急に空から降ってくるんだからな。ワシがけ止めたからよかったものの、他なら死んでおったぞ」
汏稀「でも龍剣はさっきの発で死んだんじゃ…」
ドクの神木「発?死んだ?龍剣はここに生きておるし、発なんていつ起きた?」
ドルゼ・バンギック・泉・汏稀・香奈・壯助
「!?」
確かにあの時、発こそは見えなかったが、莫大な音と空間の歪みが空に生じていた。それは6人とも見ていたはず
ドクの神木「それだけでバッドローグが発したと決めつけるのはおかしな話じゃろ」
ドルゼ「ドクの神木様は見てないからわからないと思いますが、あれは確かに…」
ドクの神木「見ておったよ。忘れたかドルゼよ、ワシはこの世界の全ての植と繋がっておる。いつだって世の中の出來事はワシにってくる」
リク「(すげ…)」
泉「じゃあ、あの時の空の歪みは何だったの…?」
ドクの神木「そこまでは知らんよ。じゃがの。泉・汏稀・香奈・壯助よ、お前達はあの時じなかったのか?空の上で発生した莫大な力の塊を」
泉「え…そんなのが…?」
香奈「気付かなかった…」
壯助と汏稀も首を橫に振る
ドクの神木「まぁそんな余裕はなかったわな。とりあえず話はこやつに聞け、ワシは寢る」
ドクの神木の一部であるツルは龍剣をつんつん、と突ついてから地面に戻っていった
龍剣「ん…んん…」
すると龍剣は頭を抑えながら起き上がった
龍剣「あれ…俺何してたんだっけ…?思い出せない…」
泉「りゅうけん……」
生きている龍剣を見て泉の目から涙がこぼれ落ちる
龍剣「何でこんなところにいるんだろ…確か荒れ果てた氷山の麓に居たはずなんだけど…」
ソフィア「鮮明に覚えてるじゃない…」
苦笑いをしているソフィアの橫を飛び出して、泉が真っ先に龍剣を抱きしめた
龍剣「おっと、どうした?泉」
泉「うるざい…いっづもいっづも勝手な事ばっかりじて…心配するごっちのにもなりなざいよ!!」
ボロボロに泣きじゃくる泉を龍剣は優しく抱きしめ返す
龍剣「もう泣かないんじゃなかったのか?」
泉「誰のぜいでこうなってると思っでるのよ…」
龍剣「フッ……俺のせいです」
泉「でも…生きててくれてありがとう。世界を救ってくれてありがとう!」
泣きじゃくっているくせに太のような笑顔を見せる泉。それを見た龍剣は照れて、人差し指で頬をかく
ソフィア「なぁ~に照れてんのよ」
リク「こんの幸せ者がぁ~!」
ソフィアに頭をポンっと叩かれリクに首を締められる。龍剣の周りの兵は楽しそうに笑っている
龍剣「ギブギブ!リク、苦しいって!」
リク「しょうがない、英雄様は疲れてるから今日は許してやろうかな」
龍剣「何だよ英雄って」
リク「お前達のことだよ」
龍剣「えっ?」
2人でじゃれていると、バンギックが背後に來て龍剣のを思いっきり蹴った
龍剣「痛って!」
そして何も言わずに後列の方に去っていった
龍剣「な、なんなんだろ…」
ドルゼ「嬉しいんだよ、あいつ。素直じゃないから顔には出さないけど」
泉「ツンデレさんなんだよ、きっと」
龍剣「いや、ツンデレとはまた違うと思うぞ…」
を抑えている龍剣の前に団長が出てきた
龍剣「団長…」
イオネット団長「龍剣、無事でよかった」
団長は手を差しべて龍剣を立たせる
龍剣「団長達が無事って事は…泉、奧義を使ったのか?」
泉「うん、使ったよ」
龍剣「そっか」
イオネット団長「いろいろ話を聞かなければならないが、まずは帰ろう。我らが故郷、センテッド境に」
全員「はい!」
増援で來た兵達は、疲労しきっている龍剣達を荷馬車に乗せてセンテッド境に向かって馬を走らせた
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