《小さき蒼雷の魔法使い》第二話「迷子?」
改稿しました。
ライガは困っていた。何を困っているのか――
「……部屋の扉に付いている取っ手に手が屆かない」
この部屋を出て他の部屋の探索をしようと意気込んでいたライガだったが、周りを見渡しても部屋の中には使えそうなは無い。
しかし、選択肢として外にならベッドを足場として使用して、出ようと思えば出る事が出來る。だが、現在居るのは2階だった。
「ここから出ないと話にならないし……これは外から行くしか無いのか?」
前回のステータス畫面で異世界へと転生した事と、現在は『拳聖』と『魔導師』と呼ばれている人の子供だと言う事が分かっている。
しかし、ステータスではそれ以上の報を得ることは出來なかったライガは、次に確かめなければいけない事が出來た。
――『拳聖』と『魔導師』の2人について――
ライガはこの2人について何も知らない。それどころか他のことに関しても分からない事が多過ぎる。
考えたくはないが、ライガは萬が一に備える必要があった。
「この家にどんな奴が居るか分からないし、やはり危険でも飛び降りるか? 幸い下にはクッションの代わりになりそうな何かの植があるし……」
そして、ライガはあれこれ頭を捻り考え始めた。
× × ×
靜かな一室。
寢室に居るサーシャは、何かの気配をじて、既にベッドに寢転んでいるガイヤへと聲をかけた。
「あなた、何かいるわよ!」
「ん? 何かって何が?」
サーシャの聲に上を起こすと、真剣に何かの居場所を探そうとしているサーシャが目にる。
真剣な表を目の當たりにしたガイヤは、サーシャの指示に従う事にして、今は靜かに見守る事にした。
そして、しの間をおいてサーシャは呟く。
「あなた、下の階にいるみたいよ」
「下の階? なら行くか。下のどこだ?」
「えっと……リビングの辺りね」
サーシャが何かの位置をガイヤに伝えて、靜かに行を開始した。ガイヤを先頭にゆっくりと廊下を進み、その後をサーシャが付いて行く。
そして、目的のリビングに辿り付くと、ガイヤとサーシャはお互いに合図をして突した。
「サーシャ? 敵はどこだ?」
ガイヤはリビングを見渡すが敵らしき影は見當たらない。だが、サーシャはある一點を見つめていた。
「……何かいるのか?」
何度見ても見つけられないガイヤは、同じ場所を見つめたままかないサーシャに振り返り聲をかけようとした時――
「なあ? サー「あなたっ! 後ろっ!!」
突然ガイヤの後ろから何かが放たれた。サーシャはとっさにガイヤにぶと、サイドステップでギリギリかわす事に功する。
「――っ!? 危ないな!!」
薄暗い中を高速で移しているため、姿を確認できない2人は合図を取りあい同時に行に移す。
そして、薄暗い中で見つけることは厳しいと判斷したガイヤは、部屋の明かりを點けた。
「あなたっ! そっちに行ったわよ!」
「あ? 何処だ!? 姿を見せやがれ!」
2人が見たのは、黒いで足が複數ある大きめの生。黒い奴はとても素早くあらゆるところを駆け巡りながら、魔力が若干込められている糸を吐き付けてくる。
奴の正は――蜘蛛だった。
蜘蛛は、高速移を繰り返してガイヤの足元で不意に止まる。
「足元! 足元に居るから~かないでね?」
サーシャが、ガイヤの足元に蜘蛛を捉えると、靜かに魔力を高め魔方陣が組み込まれていく。
「おい? サーシャ! その魔方陣は何だ!? おおお落ち著こうな? な?」
「ふふふ。食らいなさい!」
ガイヤの制止も虛しくサーシャの聲に掻き消され魔法が発した。
「氷結領域アイスフィールド!!」
その瞬間、この室を氷の世界へと姿を変えていく。
――ガイヤも巻添えにして――
「ギャァァぁぁぁぁぁぁっ!!」
ガイヤのび聲が辺りに響き渡り、サーシャはと言うと。
「はぁ~終わったわ! 明日早いのにライガが起きたらどう……するの……よ? あなたっ!?」
サーシャは無事に解決したことを喜び、ガイヤと分かち合おうと振り返った。そこには若干凍りついた狀態で怒っているガイヤがいた。
「サーシャ? なんてことしやがる……もうし加減を~ 「ごめんなさいっ!」
「はぁ~ 俺は疲れたから寢る。サーシャ、ちゃんと元に戻しておけよ?」
サーシャの食い気味の謝罪に呆れたガイヤは、もう寢ることに加えて部屋の片づけを言いつけて寢室へと向かう。
その姿を確認したサーシャは、反省の気配の無い聲で返事を返して再び魔力を込めて魔法を使った。
「はーい! 時間遡行タイムバック弱!」
サーシャが魔法を使用した瞬間、散していた室は戦闘をする前の狀態に戻り、満足そうにガイヤを追いかけ寢室へと向かっていった。
こうしてサーシャ達の、小さな闘いが終わりを告げた……。
× × ×
「いや~ まさか飛び降りて、ダメージが全然無いとは思わなかったなぁ」
先ほどまで悩んでいたライガは、部屋から外に出ることを選択し、偶然が重なることで奇跡的に無傷で降りることが出來ていた。
偶然と言っても緩衝材にらかそうな場所を選び、外したカーテンを使って出來るだけ怪我をさける事に集中していた……それでも、普通であれば骨折等の怪我をするものなのだが、ライガ自信それを知るよしも無い。
「よし。無事に部屋を出られたし探索を再開しようか?」
ライガは家の探索を再開しようと振り向く――
「は? 家が無い? 今降りて來たばかりだぞ!? どうなっているんだ」
ライガは家が消えたことでしの間茫然と立ち盡くす。
外に出るまでは良かったライガだったが、家が消えるような事態は予想出來ていなかった。
「どうしよう」
この先の事を何も考えていなかったライガは、1つ重大な事を思いつき心呟く。
(この狀況ってかなりやばくない!?)
何も報の無い異世界の森の中。辺りは先ほどより多明るくなっているが、木々によって明かりが遮られているため薄暗い事に変わりは無い。
これが晝間であればまだ良かったのかも知れないが。
そしてライガ自信がやばいとじている要因だが、異世界の生と言えば魔のイメージが強かったからだ。
しかしこの世界での常識が無いため、ライガには判斷が出來ないでいた。
「この狀況下で、萬が一魔と遭遇しても対処ができないし、を隠せる場所がしいところだな」
この世界に魔が生息しているのか分からないライガは、萬が一に備えて近くの木に目印を付けながらを隠せる場所を探し始める。
を隠せる場所を探して數十分、運良く魔の類いとは會うことなく順調に進むことの出來たライガは大きめの窟を見つけていた。
窟にはり口から奧へとまっすぐ通路がびているようだが、奧の方は暗く確認する事が出來ない。
そしてライガは、大きめの窟の端に見える小さな小を見つけ、丁度大きさも丁度良かったのでここで休むことにした。
「窟か。本當は調べてみたいけど、今はここで休もうか」
小にると見た目以上に広くゆったりと出來る空間がある。ライガはこれからの事を考えるついでに、ステータスの確認もしておく事にした。
「これからどうしよう……もう一度ステータスでも確認しておこうかな? 何かしら発見が在るかも知れない。ステータスオープン!」
――ブオゥン!――
ステータス
名 前:ライガ
種 族:人種?
別: 男
年 齢: 3
レベル: 0
職 業:___
稱 號:転生者 魔導師の子
拳聖の子 ???
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「ん? なんだろう。次のページへ? こんなの前見たとき在ったかな?」
ライガはステータス畫面の変化に戸いながらも、次のページをめくり更に困した。
ステータス
力:150/150
魔 力:120/120
魔 法:蒼雷 時空
スキル:纏い 鑑定 念話
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ステータス畫面の次のページには、ライガ自信についての新たな報が表示されている。
「これは追加報だな。取り敢えず1つずつ見ていくか」
ステータス畫面に追加されている報は全部で4つある。しかしライガには、力と魔力 に関するこの世界の基準が分からないため保留にすることにした。
「力と魔力は、置いといて次だな」
ライガは、次に魔法の項目を見た。
魔法には『蒼雷』『時空』の2つが表示され魔法名を確認し、魔法名からし考えてみることにした。
「恐らく蒼雷は雷をるとかの魔法だと思うけど、時空って……」
魔法名を文字通りに解釈するならば、『蒼雷』は青い雷となる。
そして時空――これは 時と空間 を表しているのではないかとライガは考えた。
「もしも、俺の考えが當たっていたら……うん。これは実験が必要だと思うなぁ」
魔法については、広くて周りに誰も居ないタイミングで試してみることにして、最後の項目に目を移した。
最後にスキルの項目を見る。
ライガは表示されているスキルを確認して心呟いた。
(鑑定と念話。この2つは何となく分かるけど、纏いって何?)
ライガの疑問は、スキルの1つである纏いだった。
今回も文字から見るなら何かを纏うのだろうと予測できるのだが、問題は何を纏うのかがわからない。
「発見はあったけど、疑問は増えるばかりだな。」
現狀は試行錯誤を繰り返すしかないライガは、ステータスを見て悩みつつ時間は過ぎていく。
× × ×
蜘蛛との小さな戦闘を終えたサーシャは寢室へと向かっていた。
「ん~ 片付けも終わったし寢ようかな。その前にライガの様子を見てからにしよ~」
サーシャが蜘蛛退治の後始末を終えてライガの様子を見たくなり、部屋へと足を向けた。ライガの部屋までは、それほど離れていないためすぐに著いた。しかしサーシャは心の
で心配していた。
(し騒がしくしちゃったかしら? ライガ……起こしてなきゃいいけど)
そしてサーシャは、部屋の前に立ち室の様子を確認するためしずつ靜かに扉を押し開けた時――
「なにかしら? 今の冷たい風は?」
開けた扉の隙間から、冷たい風が通り抜けてをでる。
サーシャは不思議に思い部屋を覗き込むと、窓が開いたままカーテンは外され端を結ぶ事で下まで伝っている。
「……ライガ~」
サーシャは周りを見渡して靜かにライガを呼んでみることにした。しかし反応は無い。
(外に出たの? この時間帯は魔たちの一番活発な時なのに。取り敢えずガイヤに言っておかないといけないわね)
この部屋の狀態から考えてライガは家の外へと出たのだろうと推測し、サーシャは急いでガイヤの元へと走った。
そしてサーシャは寢室に著いた瞬間、扉を勢いよく開けてガイヤを起こした。
「あなたっ!! 起きて!!」
「んあ? 今度はなんだ?」
サーシャの聲に反応して、靜かに寢ていたガイヤは制を整えながら返事をした。
そしてサーシャは片づけた後の事を話した。
「……おい。ライガは今どこにいるんだ?」
ガイヤは真剣にサーシャへと問いかけるがサーシャは頭を左右へと小さく振るのみ。この森の事を知っているガイヤとサーシャは、今の狀況を素早く理解し今すぐ捜索をする事にした。
「今すぐ探しに行くぞ! ライガはまだ子供だからそんなに遠くへは行ってないはずだ。」
「そうね。ライガを探すなら二手に分かれて探したほうがいいでしょうし、私は家の付近を捜して見るわ」
サーシャは萬が一ライガが戻って來た時のために、家の周辺の捜索を行う。そしてガイヤは家からし離れた距離を探すことにした。
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