なんで僕が銀にこんな騒なものを向けてるんだ……と、いうかこれ重い……！！

「祟り斬り、切子薙きりこなぎ……こんなものを與えておったとはの。爭いを好まぬこやつには過ぎたものじゃ」

『隨分坊やをたぶらかしてくれたみたいやねぇ……！！』

うお、僕の口が勝手にく！ をられてるから當然と言えば當然か……。とにかく、誰が僕のを……！！

なんとか抵抗しないと、このままじゃ銀にむかってこの薙刀を振り落としてしまう……！

「白狐、うぬの神気ならば申し分ないの」

『坊や、ちょっとおとなしゅうしとき……！！』

いやいや、抵抗するから！！　自分の口から出る言葉に反抗するのも変なじだけど、とにかく勝手にこうとするを止めておかないと……！

そうしていると、銀が手をばして薙刀の穂先をつかむ。そのまま取り上げるのかと思ったら、そうじゃなかったんだ。

『ぐぅぅ……！！　銀蠅ェ……！！』

「いい加減我慢ならぬ。其奴のを返せ。まあ一番の厄介者を沈めたことだけは褒めておいてやろうかの、玉藻」

なにか僕のから別の何かが銀の手を伝って流れ出ていく覚を覚えた。

頭の違和と持っていた薙刀も一緒に。

「……はあっ、はあ……」

大きく息切れする僕に対して、銀はもう大丈夫じゃと聲をかけてくれた。

正直、何が何だかわからなかったけど……でも。

無意識のうちに、僕は涙を流していた。どこかが痛かったわけじゃない。苦しかったわけでもない。

でも、僕の中にいた白い人が消えるととんでもない喪失と悲しさが襲ってきてどうしようもなくなったんだ。

「……もう、大丈夫じゃ」

「……うん、ごめんなさい、銀……」

神気を取り込んだからか、銀がずいぶん長した姿になっていた。

８割がた元に戻った銀のは隨分と膨らんでいて、し余裕があった著もこれには溢れんばかりの谷間を出させてる。

そんならかなに抱かれたけど、すぐに僕は離れて……。

「なんでこんな泣いちゃうんだろ……」

「ぬしに取り付いておったのが、強い縁えにしを持つ者だったからじゃ。気にらんが、こればかりは……どうしようもないのう」

銀は本當に機嫌の悪そうな表を浮かべながらそう言った。そして、足元にまできた子鞠が僕を見上げて……。

「あにさま元に戻った。だいじょぶ……？」

「うん、大丈夫だよ。心配かけてごめんね」

「んーん」

見渡してみると、黒狼様は満創痍で膝をついているし、その神使達は狼の姿で倒れているしで慘憺たる有様だった。

でも、これで汰鞠を助けることができる。

「苦労をかけたの、汰鞠」

「滅相もございません。このような者たちに捕らえられてしまい、申し訳ございませぬ」

「いいや、ぬしはよく働いてくれた。もう大丈夫じゃ。ここから先はわしだけで十分……」

「僕も行くよ。ちゃんと、僕から蛇姫様に言わなくちゃ」

８割力が戻った銀にとっては、もうこの先困ることなんてないんだろうけど。

それでも今回の事の発端は僕だ。僕自がしっかりけじめをつける必要がある。わがままだってわかってる。でも、ちゃんとそのわがままを銀が聞いてくれることも。

「では、うちらは黒狼様がたを見張っときましょうかね」

「銀狼様……」

「うむ。汰鞠と子鞠もつけよう。くれぐれも目を離さんようにの」