溫泉にるっていう話になった時なんだけど、僕は結構ごねてたんだ。

さすがに銀以外のの方いっぱいと一緒に溫泉にるのはって。

「別に初めてというわけでもなかろ。なにをそう抵抗するのじゃ」

「いやいやだって僕と銀だけじゃないんでしょ！」

「くふふ、まあ見てみよ」

大丈夫大丈夫だなんて言いながら、銀は僕を小脇に抱えて溫泉に無理やり連れて行ってくれたんだけど……。

その大丈夫の意味はすぐにわかった。

緋禪桃源郷の名所の一つとも言われている、ひたすらに広い溫泉。

サッカーコート2面分くらいの広さはあるんじゃないかという巖の浴槽に、白く濁ったお湯が張られてる。

その浴槽の中には、大きな巖があったり、橋なんかがかかってたり滝があったりして、景観的に壯大なものじる。

そしてなにより、散った赤い桜の花弁が白濁してる溫泉によく映えるんだね。

とっても綺麗だ……。

「蛇姫共は向こうじゃろうな」

「ああ、なるほど！」

これだけ広い上、湯から昇る湯気のせいで遠くが見渡しづらいんだ。

だから離れてるとほとんど別々にってるのと変わらないくらいになる。

「わしも今はぬしと二人でゆっくり湯に浸かりたいからの」

「僕も今は銀と……」

「くふっ」

なんだろう、あんなことがあったからか銀が僕を求めて、僕は銀を求めているような……。

お互いに視線を合わせると離せないし、しでも近くにいようとどこかしらがれ合ってる。

なんだか不思議な覚だ。熱ぼったくて、けそう。そのまま銀と一つになってしまいそうな。

お互いに著をいで、素っになって掛け湯して足先から溫泉に浸かってく。

とろりとした泉質、溫度はうちの溫泉よりし低いくらいかな。

長く浸かるには丁度いい溫度だ。

「ふう……生き返るー」

「ふむ、昔から変わらんの。ぬしの旅館の湯には劣るが。……ほれ」

「う、うん……」

なんだか熱ぼったい妙な雰囲気の中、僕は銀に言われるがまま銀の腕の中に収まった。

そのまま抱きしめられて引き寄せられ、背中に銀の大きなのをじる。

「今回はぬしの好奇心のおかげで難儀な目に遭ったの」

「うぅ……これからは気をつけて行するよ」

「かかっ！　よいよい、ぬしは自分の思う通りにいてよいのじゃぞ。そのためにわしがおるのじゃからな」

好奇心を殺すことをせず、のびのびと生きろと銀はそう言った。

神様がそう言ってくれるなら、こんなに頼もしいことはない。

それは前々からじていたことであって、今回のことでも確認することができた。

そんな頼もしい銀が僕は大好きだ。

「しかし、ぬしもよう頑張ったじゃろ」

「男として當たり前だよ！」

「容姿はともかく心意気は男じゃったぞ。うむ……そう、このわしがくらりとくる場面もあるくらいにの」

銀は頬をぽりぽりと掻きながら目線を泳がせつつ、し恥ずかしそうに言ってくれた。

「ぬしは本當にらしい……が、心持ちはちゃんと雄じゃ。わしは勇敢な雄が好みじゃが……しかしわしより小さくらしい者も好みじゃ」

「そ、そうなの？　僕見た目も男らしい人が好きなんだと思ってたけど……ほら、黒狼様みたいな」

「ふむ……まあ奴も悪くはないがな。いまいち琴線にれん。わしは勇敢な雄を己のに染め上げるのも好みでの」