ふあああ……今日は本當にいい天気。

時間は朝１０時、暖かい縁側に腰掛けているのは僕と銀の二人きり。

銀と僕は暖かいお茶を飲みながら中庭に植わっている桜を眺めながら……。

「祭りじゃの……」

「お祭りだね……」

本日日曜日、今日は月並神社で春一番のお祭りがあるんだ。

桜の花びらが全部散ってしまう前に行われるこのお祭りは月読町桜花祭（つくよみちょうおうかさい）と言われていて、町の人たちが春で一番楽しみにしている行事事。

「酒じゃの……」

「わたがし……りんご飴……やきそば……」

「ふふ、食べばかりじゃの」

お祭りっていいいよね。気になるあの子とかっちゃって二人で出店回ったりとか、友達同士で金魚すくいと競ったりとかしちゃってさ。

 浴姿でいつもと違う雰囲気を漂わせるの子にドキドキする男の子、的がうまい男の子にときめいちゃったりするの子とか！

まあそんなロマンあふれる行事なわけだよ。

「楽しいよねお祭り。でもぼく行ったの隨分前だったし……の浴著させられてたけど……」

の子との甘酸っぱい思い出とかないんだよね……。

母さんと伊代姉と父さんと毎年行ってたなあ。

「くふふ、ぬしにの浴は似合いそうじゃの」

「今年はちゃんと男の著るから！　ちゃんと用意してもらってるし」

お祭りということもあって今日は旅館のお客様もそこそこに多い。

母さんも朝から忙しそうだったけれど、今日は銀も朝早くから起きてお手伝いしてたみたい。

銀ってすごく仕事ができるみたいで母さんすごい褒めてたんだ。

お客さんからの評判もめちゃくちゃいいみたい。

「銀もお祭りに參加するのはいいけどあんまり目立っちゃダメだよ？」

「くふふ、千草は心配じゃの。まだまだも沈んでおらぬというのに」

うりうりと頭を銀にでられながら、僕はこの前と打って変わってのんびりしたこの時間を楽しんでた。

うーんでもなんだろう……銀からものすごいいい匂いがする。

なんだろ、フェロモンてきなものをものすごいじる……そういえば銀ってもう盛りの時期なんだって言ってたなあ。

いわゆる発期ってやつだよね。

でも今の銀はそんな時期だってことを悟られるような態度を一切とってない。

けど……。

「銀、そんなに匂い嗅がれると恥ずかしいんだけど……」

「ぬしの匂いを嗅いでおると落ち著く……」

「落ち著くの？　んーじゃあ嗅いでくれててもいいよー」

ずっと僕の首筋の匂いを嗅いできてるんだよね……。

くすぐったくてちょっと恥ずかしいけど……仕方ないなあ、僕は銀の尾のづくろいでもしてあげるか。