俺は、ルナの素直な賛辭に戸いつつも、これが魔力なのだと理解する。

なるほど、流れているように見えたのは魔力の流れで、この自が魔力か？

それとも、流れている狀態になって初めて魔力と呼べるものになるのかな？だとすれば、停滯狀態のはさしずめ魔素と言ったところかな？

つまり俺は、魔素をかして、魔力にし、何らかの方法で魔法の形まで持って行く第一歩をいつの間にかしていたことになる。

まぁ、暴発した魔法もどきを発現できたのは、この練習のお蔭だったわけだから、関連があるとは思っていたのだが…

魔法を使っている當人からの言葉だと説得力が違う。

そう言えば、ルナは俺の魔力が綺麗だと褒めてくれたが…

考えてみれば、俺は自分の魔力をじる事が出來ていない。

いや、より正確に言えば、ルナの魔力や大気を取り巻く流れ（これも魔力なんだろうが…）の様には自分の魔力を認識できないのだ。

何となく、覚で、『あ、ここ通ってる』とか分かるんだが、ルナの魔力の様にはっきりとした存在として認識は出來ない。り方とか、とかそういうのは全く分からないのだ。

まぁ、認識出來たら出來たで、他の魔力知の妨げになりそうな気はするが、ここら辺はどうなんだろうか？

折角、目の前にスペシャリストがいる訳だから、ちょっと聞いてみようと思い立つ。

「ルナ聞いていいかな？ルナは俺の魔力…とおぼしきが見えてると思うんだけど…ルナ自の魔力は見えているのかい？」

ルナは俺がそう問うと、「んー」と首を傾げて、フルフルと首を振る。

そうか…主観では魔力はじる事が出來ないのか…それとも、とても難しいのか？

結構これは問題だな。自分の魔力が人にどう映っているか分からないっていうのは不安だ。

ルナは綺麗だと言ってくれたが、萬人から見て、自分が禍々しい魔力を放ってたりしたら、俺は立ち直れないかもしれん…。

さわやかな笑顔で近付いたつもりの俺を見て、恐怖する住民の図とか見たくないぞ！

「俺の魔力が綺麗って言ってくれて嬉しいんだけど、ルナには俺の魔力はどういう風に見えてるんだい？」

ルナは、「むー」とし眉を寄せて考え込む。

もしかして…お世辭だったとかだったら、俺は素でへこむぞ。

それから暫く考え込んだルナは、

「黒…ざばー！キラキラ！キラキラ！」

うん、俺は今…蠻族と対話をしている気分になったよ。擬音だらけじゃないの！

しかし、黒…黒いのか。なんか俺の心は真っ黒だ！って言われてる気がしてし泣きたくなった。

黒いのに綺麗っていうのもよく分からんが、今はルナのを素直に信じよう。神衛生上、その方が良いと思った。

「そ、そうか。ちなみに、俺から見たルナの魔力は、月の様に靜かに輝いていて神々しいよ。俺はとても綺麗だと思うし、好きだな。」

俺はちょっと落ち込んだ事を悟られない様に、し大げさにルナの魔力について想を述べる。

ルナはその言葉を聞いて一瞬、何故か固まった。しかし、すぐにし考えると、

「ルナ、綺麗？」

クリクリとした目をキラキラと輝かせながら聞いて來た。

こういう姿を見ると、ルナもの子なんだなーと、妙に慨深くなってしまう。

綺麗とか、しいとか、可いって言葉には反応するが、男はそういう言葉を自分に言われてもあまり心に響かない。

やはり、恰好よく、強く、勇ましいという言葉を求める人が多いのだ。

どちらも自分を良く見てしいという気持ちの表れなのに、その存在の在り方で、こうも違う形になるとは…何とも不思議なことだと、改めて俺は思った。

そんな全く関係ない事を考えつつ、

「うんうん、綺麗だよ。初めて見た時、余りの綺麗さに見とれちゃった位ね。」

笑顔でそう答えると、ルナは「にふー！」と何とも形容しがたい笑みを浮かべた。

その後、「んふー！むふー！」と、よく分からん奇聲を上げつつ、妙に興した様子でし赤くなったほっぺに両手を添えて、

イヤンイヤンという擬音が盡きそうなほど、もじもじしていた。

しまったやり過ぎた…完全にお壊れになられた…。

つか、イヤンイヤンとかああいうきを、生きている間に生で見る事になろうとは…

俺があっけにとられ見ていると、更に劇的な変化が現れた。ルナの魔力だ。

壊れあそばれた瞬間から、ルナを中心に魔力があふれ始めたのがじられたのだ。別に意識して知した訳でも無いのに、分かってしまうほど濃な魔力だ。しかも、その魔力がまた何とも言えず、幸せをじさせるものなのだ。魔力は人にをも伝えるなのか…と、驚きをもってその事実をけ止める。

と、同時にこんなにまで幸せな気分になってくれて良かったと思う、親馬鹿的な自分もいる。

更に、お子様かと思えば、やはりこの年でも変なところでの子なのだな…と、し冷靜な目で観察している自分もいたりと、自分自の思考ながらまとまりが無かった。

しかし…今はまだルナと二人きりだから良いものの、いずれここを立つ時がきたら、この現象は非常に問題になる可能がある。

そもそも、ここまで魔力だけで人に影響を與える事が出來るとは想定外だった。

もしかしたら、俺も気分が高ぶればこのような狀態になるかもしれないのだ。

これは何か対策を練る必要がありそうだ。

魔力を隠ぺいする技。これが必要だとこの時になって初めて考えた。

俺も外から魔力を見られてるって言うのは、よくよく考えてみると結構恐い事だ。

それに、わざわざ人様に見えるように魔力を振りまいて移するっていうのも気分的になんかやだな。

なんだか、さも、『俺ってすごいだろ！』と自慢ばかりしている子供の様ではないか…。

更に、これが一番大事だが、萬が一隠れようとしたときに隠れられないじゃないか。

これはなかなかに深刻な問題だと俺は気が付く。

時間にしたら、ほんの數十秒だったのだが、俺が思考の海に潛っている間に、ルナの周りは更に凄い事になっていた。

「ちょ！？ルナさん！？それなんすか！？」

思わず俺は、大聲を上げて問い掛けていた。

ルナは蛍の様なる球に群がられていたのである。しかも、とりどりのである。の柱の中に立つという幻想的な景ではあるが、さすがに聲をかけない訳にはいかなかった。

ルナは、相変わらずイヤンイヤンと腰をくねらせていたようだったが、俺が聲をかけ、周りの様子がとんでもない事になっていることに気が付くと、ぽけーっとる球を見上げていた。

つか、気付かなかったのか…どんだけトリップしてるんだよ。ルナさんや。

俺も、とりどりに、ルナの周りを舞するる球を見ていた。そのどれもが淡く発していて、なんだか嬉しそうにルナの周りを飛びっているように見えた。なくともそのきや伝わってくる印象に、悪意や害意は全く見られないので俺はホッとした。

良く観察してみると、は４だった。赤、黃、青、緑。それぞれのに対して數はまちまちであった。一番多いのは青と緑だった。

しかし、數は…わからん…。なくとも、ルナの姿が軽く覆い隠される程度の多さであるとは言っておく。

暫くの間、ルナは突然開始された白晝堂々の擬似エレクトリックパレードに心を奪われていた。

何分経っただろうか？ルナは、俺の方に向きる球達を指さすと、

「ツバサ。綺麗…」

と、うっとりした顔で微笑んでいた。

の中に立つ笑顔のを見て、『ルナも負けてないと思うけどね。』と思ったが…

またトリップされても困るので聲には出さなかったのは緒である。