《異世界で、英雄譚をはじめましょう。》第三十九話 決戦、リーガル城⑩
そのあとの話を簡単に。
ミシェラが殺されたことによって、メタモルフォーズの大群は消え去った。やはりサリー先生の予想通り、ただの幻影だったらしい。もし彼が死んでも消えなかったらそれはそれで厄介だったが。
ミシェラのは裡に処理されることとなり、そのまま淀み無くエルファスに居るカーラさんの元へ屆けられることとなった。『処理』と言ってもあくまでも火葬や土葬の段階まで進めたわけではなく、必要最低限の処置をしたまでのことだという。
カーラさんがどのような心境でその事実を聞いたのか――出來れば考えたくない。
その日の夜は酷く眠れなかった。
目の前で首を斬られた人間を見たから?
それとも仲間が裏切ったから?
……いいや、何故だろうか。
どうして眠れなくなってしまったのか――それについては理解できなかった。理解したくなかった、と言えば間違いではないのかもしれないけれど、きっとそれは、いろんながごちゃ混ぜになってしまった、その結果なのかもしれない。
「……フル、眠れないの?」
外を見つめていたら、隣から聲が聞こえた。
その聲はメアリーだった。そちらを向くと、メアリーも隣のベランダから空を眺めているようだった。ああ、そうだった。説明を省いていたかもしれないけれど、今日も男別の部屋だ。別に何も起きないけれど、何か起きたら……という配慮なのだろう。
「そうだね、ちょっと今日はいろいろあったから……」
「そうだよね。仕方ない、なんて一言では片付けられないくらい、今日はいろいろとあったよ。……まさか彼が敵なんて、知るはずがないのだから」
メアリーの言葉ももっともだった。もしあの狀況で敵だと解るのならば、それは予知のレベルに近い。
でも、そんな理不盡ともいえることであったとしても、僕は自分が許せなかった。
どうしてこのような結末を、防ぐことが出來なかったのか――ということについて。
「難しく考えないほうがいいよ」
そう言って、深く溜息を吐いたのはメアリーだった。
さらにメアリーの話は続く。
「普通に考えても解る話じゃないよ。だって、あなたは悪くないのよ。私だって、ルーシーだってそう。みんな悪くないの。あなただけが悪いわけじゃない。誰も悪くないのよ」
「うん……ありがとうメアリー。なんだかしだけ、頑張れる気がするよ」
メアリーはいつも勇気をくれる。僕を勵ましてくれる。とっても優しい。
メアリーが居るから、僕は頑張れる気がする。
そう思ってメアリーと別れると、僕はそのままベッドに潛り込んだ。
やっぱり眠れなかったけれど、メアリーと話したからか、しだけ眠れるような気がした。
◇◇◇
「リーガル城の襲撃は失敗に終わりましたか」
リュージュは水晶玉を見つめながら、彼の向こう側に膝をついている科學者に告げた。
「はっ。リーガル城へと向かわせたメタモルフォーズが不完全だったようで……」
「だから言ったじゃない。自分で神をコントロールできないようならば、ココロをメタモルフォーズに植え付けるのではない、と。メタモルフォーズはただの木偶。けれど優秀なメタモルフォーズにはココロを植え付けて自分で事を考えさせる」
「僕のように?」
リュージュの隣にバルト・イルファが近づいた。
バルト・イルファはリュージュが腰かける椅子に重を乗せて、
「……まあ、ココロって不完全で不確かなもの、というくらいだからね。それがほんとうに正しいか正しくないか、なんて科學者のミナサンにも難しいことじゃない?」
「……それをメタモルフォーズであるあなたが言うのかしら?」
リュージュは溜息を吐いて、再び科學者を見遣る。
「はてさて、今回の失敗について、どう言い訳をするつもりかしら」
「メタモルフォーズにはその種を広げていくための手段があることをご存知でしょうか」
逆に質問されたリュージュは一度バルト・イルファのほうを見て、考える。
數瞬の時間をおいて科學者を見ると、
「染、だったかしら。空気染ではなくて、経口染だったと記憶しているけれど」
「ええ。そしてメタモルフォーズに染する人間には特徴があると考えています。しかしながらまだその條件ははっきりとしておらず、未確定となっているのですが……」
「それがどうかしたのかしら? 明らかに言い訳とは繋がらないように見えるけれど」
「いいえ、これは言い訳ではありません。一つのプランの説明をしています。メタモルフォーズを失ってばかりでは、こちらもすぐに戦力の増強が出來ませんから。先ずは、あと一日お待ちいただけませんか。そうして、ある一定の結果を生み出すことが出來るはずです」
「……ほんとうに?」
科學者は何も言わなかった。
それを見たリュージュのほうが先に折れた。
「……解ったわ。あと一日だけ時間を與えましょう。しかし、それでいい結果が得られなければ……その時は、覚えておくことね」
小さく首を垂れたまま、科學者は何も言わなかった。
リュージュは椅子から立ち上がると、バルト・イルファとともに部屋を出ていった。
お薬、出します!~濡れ衣を著せられて治療院から追放された薬師さんが辺境で薬屋を開きました。極めたポーションは萬能薬と呼ばれて回復魔法を超えるようです~【書籍化コミカライズ企畫進行中】
田舎から出てきた15歳の少女メディは町の治療院で薬師として働いていた。ある日、患者が毒殺されそうになる事件が発生する。 多數の目撃者や証言により、メディが犯人とされてしまった。先輩に當たる治癒師がメディの高評価に嫉妬して陥れたのだ。 「やっぱり薬なんて危ないわ。治癒魔法こそが安全よ」 今までの功績に免じて、院長はメディを追放処分とした。しかし治癒魔法ではすべての體調不良は癒やせない。 何年も入院していた患者の難病を癒やすなど、メディは治癒師顔負けの実力を発揮していた。 治療院の評判に大きく貢獻していたのだが、彼女がいなくなると雲行きが怪しくなる。 一方、メディは新天地で薬屋を開くことにした。萬病をも治すという噂が広まり、いつしか客層もおかしなことになっていく。 王國最強と呼ばれた『極剣』の女剣士や破滅的な威力の魔法を放つ『皆殺し』と呼ばれたエルフ魔術師と、気がつけば特級戦力が集うようになった。 メディは今日も聲を張り上げる。 「お薬、出します!」 やがて治療院は新たな動きを見せるが、やはり傾き始める。 メディの薬屋は辺境を飛び出して名が知られるように――
8 64銀河戦國記ノヴァルナ 第2章:運命の星、摑む者
『銀河戦國記ノヴァルナ』シリーズ第2章。 星大名ナグヤ=ウォーダ家の新たな當主となったノヴァルナ・ダン=ウォーダは、オ・ワーリ宙域の統一に動き出す。一族同士の、血縁者同士の爭いに身を投じるノヴァルナ。そしてさらに迫りくる強大な敵…運命の星が今、輝きを放ち始める。※この作品は、E-エブリスタ様に掲載させていただいております同作品の本編部分です。[現在、毎週水曜日・金曜日・日曜日18時に自動更新中]
8 190『休止中』平成を生きる世界最高峰の醫者は、戦國時代の名もなき農民に転生したみたいです!
世界最高峰の醫者は、戦國時代に転生した?! 転生したら、農民でした。 醫學、前世の知識を使い成り上がりを目指そうとする。 しかし、主人公の前には山賊、海賊、キリスト教などが 圧力や武力で襲い來る。 それを前世の経験、知識で避けて、後から來た他の転生者達と協力をしながら、天下を取る?! ※豊臣秀吉が、主人公ではありません。 ※作者、醫學の知識皆無です。もし、間違っていたらそこは訂正するつもりです。 ※ノベルバでも、更新しています。是非!!! https://novelba.com/works/877492 ※この作品を読んで不快になる方もいると思います。 武將の子孫の方々、キリスト教の方々、仏教の方々、外國人の方々、そのほか歴史が大好きな方々、先に謝罪申し上げます。 これはエンターテイメント小説としてあつかってください。 実際と性格が違う、ここの部分忠実と違う! そんなことが、多數あると思います。 しかし、皆さん何度も言いますが、これはあくまでもエンターテイメント小説としてお楽しみください。 一応、ジャンルは歴史なんですけどね、、、(笑) よろしくお願いします。 なるべく、忠実にそうように気をつけますが(笑) ブクマ登録よろしくお願いします。 感想待っています。 改善したほうが、良いところがあれば教えてください。 善処します。
8 144クラス転移~最強の勇者って言われたんだけどそんな事よりせっかくきたんだからこの世界を楽しもう!~
十六夜響は高2の中間テスト終わり帰りのホームルーム前だったその時急に光に包み込まれ目を開けると白い空間にいた そこで神様に気に入られ異世界に行っても最強だったので自重せずに仲間達と一緒に自由に異世界過ごします 主人公ご都合主義のハーレムものです 気に入ってくれたのなら嬉しいです
8 162転生したら龍...ではなく世界最強神獣になってた(何故?!)
普通に日本で暮らしている同じ高校の三人組 青城疾風 黒鉄耀 白崎脩翔はゲームショップに入ったはずが全く知らない所に來てた(´・ω・`) 小説でお馴染みの異世界に行くことになったので神様にチート(かもしれない...)を貰ってみんなで暴れるお話です!それでは3人の異世界ライフご鑑賞ください!(作品は橫書きで読んでください(〃・д・) -д-))ペコリン)
8 120聖戦第二幕/神將の復活
ラグズ王國を國家存亡の危機に陥れた逆賊トーレスとの反亂があってから2年後、列國はバルコ王國を中心にラグズ王國に波亂を巻き起こし、ラグズ王國は新たなる時代を迎える事となる。 この物語は前作"聖戦"の続きで、ラグズ王國の將軍であるラグベルト、グレン、そして新キャラであるバーレスを中心に巡る物語です。予め申し上げますが、文章に変な箇所があると思いますが、お許しください。
8 164