《異世界で、英雄譚をはじめましょう。》第二百十三話 偉大なる戦い⑭
とにかく、僕は事を話すことにした。あくまでも木隠からあった話は隠しておいて、のわけだけれど。それは隠しておいたほうが取り敢えずいいだろう。別に木隠が誰にも言うな、と言ったわけではなかったが、人々に不安を與えないほうがいい。
「……程。確かにまあ、いろいろとあるのだな。強さを求めることは、悪いことでは無い。しかし、その力をどう使うか。それは味せねばならない」
年はそう言って腕を組んだ。
やはり仕草と言を見ると老人そのものではあるけれど、しかしながら、風貌は年そのものだった。その対比がどうしても慣れない。
「では、大丈夫なのでしょうか。僕を……修行させていただいても」
「うむ。しかし、修行をさせるのは哀歌のほうだ」
そう言って、年は哀歌――さっき長刀を僕に振りかざしたのことだ――を指さした。
それを聞いた哀歌は年のほうを向いて、
「それはどういうことですか」
「どうもこうもない。簡単に搔い摘んだわけだが、もうし掻い摘んで話すべきだったか? ……つまり、私では彼の修行をさせてあげることができない。の大きさ的問題も大きいがね。長著しい哀歌がやったほうがいいと思うわけだよ。それに、人に教えることも修行の一環として考えれば悪いものではないぞ?」
「それは……そうかもしれませんが」
「うん? それに、君は逆らっているようだけれど。今回のことに関しては、別にデメリットがあるようには見えないけれど?」
「それは……」
これ以上話は聞きたくないといわんばかりに年は踵を返し、家の中へとっていった。
「ええと、君……名前は?」
「風間修一、です」
「風間修一。うむ、いい名前だ。……では、ってきたまえ。ああ、そこで靴をいでくれよ。當然なことになるが、道場は土足厳だ。同乗の中で待っていてくれ。哀歌、彼のために刀を用意してあげて」
「木刀で……いいのですよね?」
「君はここで殺人を犯すつもりか?」
そんな冗談の言い合いはさておき。
僕はそのまま年にいわれたとおり、道場の中に足を踏みれるのだった。
道場の中は寂れていた。まあ、外見の時點で大分寂れていたことは解っていたのだけれど、それにしても酷い。
「……何をじろじろと見ている。この道場が古いことについて、疑問を抱いているならばさっさと出ていけ。ここは昔からこういうところなのだ」
「そういう意味でじろじろ見ているつもりはないのだけれど……」
僕はきょろきょろと見つめつつも、哀歌が持ってきた木刀を握る。
とても使い込まれたように見える。もともと誰かが使っていたのだろうか?
「……まあ、いいわ。あなた、木刀を使った経験は?」
「そんな多くはないかな。真剣は使ったことがあるけれど」
とはいっても、どちらかといえば長剣に近いものだと思うので、日本刀とはまた違う種別になるのだろうけれど。
「ふうん、真剣を使ったことがあるの。あなた、意外と結構経験しているのね。……まあ、いいけれど」
余計なお世話だ。
そんなことを思っていたが――彼は小さく溜息を吐いて、木刀を構えた。
「一応言っておくけれど、木刀と真剣は使い方がまったく違うから。重さも違う。持ったじが違う。そして何より、戦法が違う。木刀に慣れた人が真剣を使うとそのバランスが崩れてしまうし、逆もまた然り。……逆の場合は、ちょっと力が強いかもね」
「何故だ?」
「解りきった話でしょう」
肩を木刀でぽんおんと叩いて、彼は言った。
「……真剣は基本的に、切り抜いてしまうからね」
それもそうか。確かに真剣を使い続けていると、そのまま切りかかってしまい力をかけることが多い。だから、それをいざ木刀でやると、當然その刀では切れることはないのだから、とても強い力がに及ぶことになる。主にこのような模擬戦で使うような木刀になると、そのようなことにはしないほうがいいというのは得策と言っても過言ではないだろう。
さて。
「……さてと、そんな託はそれくらいにしておきましょうか。あなた、真剣では慣れているかもしれないけれど、木刀は初めてなのでしょう? ならば、先手を取らせてあげる。これはハンデ、ってやつかな」
ハンデ。そう言われて彼は構えた。しかしながらそれはあくまでも構えているだけで、ほんとうにこちらに攻撃をするつもりは無いらしい。防の姿勢をとっていることは間違いないだろうが、その通り、相手が先手を打たないと言ったのだから、こちらとしては有難いことかもしれない。
しかし、裏を返せばそれは有難いことよりも舐められていると言ったほうがいいだろう。
現に彼は僕を見て笑っていた。余裕の笑みだ。
それを見てを逆でされない人間はいないだろう。僕だってそうだった。
だから僕はそのまま、構えていた木刀で、構えもむちゃくちゃだったけれど、彼に向かって切りかかっていった。
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