《異世界で、英雄譚をはじめましょう。》第二百三十一話 閑話:西暦二〇四七年②
風間修一はアンドロイドが家に配備されることについて、非常に忌み嫌っていた。
別に彼だけの話ではない。世界勢を鑑みると、実に十五パーセントの人間がアンドロイド配備に反対している意見だってデータとして殘っている。
しかしながら、この世界は常に多數決の原理でり立っていることを忘れてはならない。
結果的にいくら聲を大にしたところで、多數決の原理で數派と認められてしまっては通るものも通らない。それは自然の摂理であり、この世界の原理でもあった。
アンドロイドの配備に反対した彼は、それを行で示した。彼は家を飛び出した。要するに家出だ。
しかしながら大學生の家出は、結局のところ経済力が無い時點で意味が無い。結果として半日ほどで戻らざるを得なくなった。そして、その家出がもたらした影響力も皆無だった。
アンドロイドが彼の家にやってきたのはそれから三日後のことだった。初期ロットの配備テストに當たったこともあり、その日はテレビの取材がった。彼は大學に行っていたため、直接取材をけたわけでは無いが、彼は強制的に話題の中心に引きずり出されることとなった。
帰宅すると、彼の想像通りアンドロイドが待ち構えていた。待ち構えていた、というよりも出迎えてくれた、という表現のほうが正しいのかもしれない。いずれにせよ、彼のヘイトは徐々に溜まっていった。
アンドロイドがやってきて一週間。インターネットのニュースにこんな見出しの記事が掲載された。
それは『GHOST型アンドロイドが家出』といった見出しのもので、容を見ると文字通り家事をしていたGHOST型アンドロイドが急に家出してしまった、といった記事だった。
それを聞いて彼は不安に陥った。自分の家に居るアンドロイドも家出してしまう――も蓋もない言い方をしてしまえば『暴走』してしまうのではないか、そう考えたのだ。
それをネタにして再度家族に抗議したが、それでも家族はアンドロイドを手放そうとはしなかった。それどころかアンドロイドをけれなかった修一を拒絶し始めたのだ。
そして家族の中から居場所を失った彼は――やがてアンドロイドそのものを恨むようになる。
そして――西暦二〇四七年十二月、事件が起きる。
◇◇◇
その日はいつもと変わらない日だった。
大學をサボって朝からゲームセンターに沒頭していた僕は、いつも通り晝飯をファストフード店で終えて、適當にぶらぶら街を彷徨いていた。
スマートフォンに通知が上がったのは、ちょうどそのときだった。
インターネットのライブ配信サービスからのもので、『重大発表』としか書かれていなかった。
普通なら何かのウイルスかと思ってタップしないかもしれない。しかし、そのときの僕は気になってタップしていた。
――否、正確にはタップする前にスマートフォンの畫面が映像に切り替わっていた。
畫面には、アンドロイドが映し出されていた。
アンドロイドはゆっくりと瞬きすると、そして一言話し始めた。
『はじめまして、人類諸君。わたしはGHOST型アンドロイド、名前は「ルーニー」だ』
アンドロイドに、名前?
そもそもアンドロイドにはデフォルトの名前が存在しない。存在するとしたら、それは型式と製造番號を組み合わせた非常に無機質なものだ。しかしながら、そのアンドロイド――ルーニーは明らかにその組み合わせでは無い。もっと、人間らしい名前だ。
だとすればルーニーという名前は誰かがそのアンドロイドに名付けた――ということになる。ということはルーニーはどこかの家庭でアンドロイドとして使役していた、ということになるのだろう。ならば、どうしてルーニーはその場に居るのか?
『おそらく、諸君の中にもどうしてわたしがここにいるのか、疑問に思っている人間も多いことだろう。何らかのパフォーマンスでは無いのか? コマーシャルでは無いのか? そう思っていて、わたしの話をまともに聞かない人間も居ることだろう』
痛いところを突いてきたが、しかしそれは事実だ。
なくとも今の狀況では、その映像はただのパフォーマンスにしか見えない。
『しかしながら、これはパフォーマンスでは無い。れっきとしたプロパガンダだ。我々は、人間に作られたロボット……つまり、アンドロイドだ。今、そのアンドロイドは、人間に使役している。しかしながら……わたしはこんなことを考えた』
「アンドロイドが、考える? それって、何かの間違いだろ。ただのプログラムに過ぎねーじゃん」
どうやら僕のほかにも同じようにスマートフォンで映像を見ている人が居るらしい。直ぐそばのベンチに腰掛ける金髪の男がそんなことを呟いた。
確かにそれは僕も同意だ。アンドロイドは自らで考えることは出來ない。すべての行はプログラミングされたものであり、それ以上の行を実施することはプログラム上不可能だ。だから、アンドロイドの発言もすべて誰かがプログラミングしたということになる。……それはそれで問題だが。
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