《異世界で、英雄譚をはじめましょう。》第二百三十二話 閑話:西暦二〇四七年③
『話を聞いている方の中には、この話をどこかの企業のパフォーマンスと思う人間もいるかもしれないだろう。まあ、當然の話だ。しかしながら、我々は本気だ。それを見せつけてやろう。まずは我々の「力」を見せつけてから話をしようではないか』
力を見せつける?
いったいどうやってそれをしよう、というのだろうか。
皆目見當がつかないが、どうするつもりなのだろうか――そんなことを考えていたら、
ぼん、と何かが弾けるような音がした。
「ひ、ひいいいい! なんで、急に、スマートフォンが……発した……?」
音のしたほうを向くと、先程の金髪の男が右手を抑えながらぽつりぽつりと呟いていた。右手はがぽたぽたと滴り落ちている。
今、スマートフォンが発した――そう言ったか?
そんなことが現実的に可能なのか。昔、スマートフォンの発が大きな話題に上がった時、その原因はバッテリーの二つの端子が接した事によるものだと聞いたが、今回は外的要因。ただ、アンドロイドが『力を見せつける』と言ったことで、発しただけ。
そんなことが現実的に有り得るのか?
『恐らく、我々の「力」を目の當たりにしたことでしょう。まあ、運悪く見ることが出來なかった人も居るかもしれませんが……。でも、それはいずれ大きな流れとなります。我々はそれを期待している。今回は小さな力ですが、いずれ大きな力を見せつけましょう。そう、それは……』
畫面が切り替わり、ある場所が映し出される。
それは、東京にほど近い場所にある原子力発電所だった。今も首都圏に電力を供給している源となっている。海に近い場所に設置しなければならないことと、土地の問題があって、確か首都圏から百キロメートル離れていたと思う。
しかし、なぜその場所が?
『ここは島國の首都圏に近いある原子力発電所だ。そこだけではない。世界には至る所に原子力発電所が存在している。その數は百を超えると言われている。その百を超える原子力発電所を……三日後、順次破していく。破といってもメルトダウンと言えばいいか。その場合、世界に駆け回る放能は……いったいどれ程のものとなるだろうか。想像もつかない』
おぞましい計畫だった。
もしそれが実際に行われてしまえば――人類のほとんどが放能に汚染されてしまう。いや、それだけではない。水に野菜、牛や豚なども汚染してしまい、仮に人間が汚染されなかったとしても汚染された食べを摂取せざるを得ない狀況になってしまう。
『そんなことが出來るわけがない、とは思わないはずだ。なぜならあなたたちは我々の力を、決意を目の當たりにしたはずだ。それで決意は理解してほしい。趣旨は理解してほしい。そして、けれろ。その運命を。何千萬年とこの星を掌握し続けた人類は、ここで滅びる。人類が作り出した、初めての人類以外の知能を持った存在によって』
そして、映像は終了した。
その後はいつも通りのスマートフォンのトップ畫面が表示されるだけだった。
◇◇◇
それから、世界は大パニックに陥った。どうやら世界各所でスマートフォンがほぼ同時刻に発したらしい。外的要因でスマートフォンが発したなど考えられず、誰もがスマートフォンを開発した會社や攜帯電話會社を疑ったが、彼らは関與していないの一點張りだった。
そして僕に何らかの封筒がやってきたのは、アンドロイドが世界に対して『犯罪予告』をした次の日のことだった。
「修一、封筒が來ているわよ」
「封筒? いったい誰から?」
母親の言葉を聞いて、僕は封筒をけ取る。
母親の返答を待つことなく、封を切って中を取り出した。
そこには明朝でこう書かれていた。
「人類保管委員會……?」
そして封筒の中には一枚の便箋とカードがっていた。
容を要約すると、アンドロイドの犯罪予告を止めるが無いこと、安全策を考えて人類の種を殘すために人間を冷凍保存コールドスリープする必要があること、しかし生産量が追いついていないため、世界で三百人しか確保出來ないとのこと――そういった容が難しい単語を織りぜながら記載されていた。
「このカードを持って行って、指定された場所へ向かえ……か」
カードは手のひら大の大きさで、番號が記載されているだけだった。ロゴか何かっているものかと思ったがそれもみられない。非常にシンプルなレイアウトだった。
「修一……。何が書かれていたんだい?」
僕の表を読み取ったのか、母親が不安そうな表で質問してきた。
僕は正直に母親に言った。これは冷凍保存が実施出來る招待狀であるということ、そしてそれは自分一人分しか無いということ、それが出來ない人たちは放能に汚染されてしまうということ――。できる限り自分の言葉で話したけれど、知識が足りない部分があるから、なかなか難しい。母親に言葉を理解してもらえたかどうか怪しいが、二十分ほどかけてなんとか説明することが出來た。
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