《異世界で、英雄譚をはじめましょう。》第二百三十九話 偉大なる戦い・決戦編④
シルフェの剣をけ取ってから、キガクレノミコトのから徐々にの粒のようなものが浮かび上がってきた。いや、キガクレノミコトだけではない。ストライガー以外のほかの『使徒』のも同じようにの粒がから浮かび上がってきていた。
「どうやら、我々がこの世界に居ることが出來るのもここまでのようですね」
キガクレノミコトがぽつりとそう呟いた。
「つまり、この世界から消えてしまう……ということですか」
僕の問いに、キガクレノミコトは頷く。
キガクレノミコトはゆっくりと口を開いて、
「なに、悲しむことではない。寧ろこれは世界が進化していくためのプロセスだと思ってもらえれば良い。世界がどうなろうと君たちの知ったことでは無いかもしれないが……いずれにせよ、古い世代からずっと生きている存在は、ここに存在し続けてはならない。それが人間であろうと、そうでないとしても。いつかは弊害が出てくるのですよ」
「でも、そうだとしても……。やっぱり、あなたたちが居るべきでは」
「それは人間の常識での問題でしょう。世界の、次元の、問題からしてみればとっても小さな……些細な問題ですから」
「些細な問題であったとしても……。それは変えることは出來ないのですか!」
僕は思わず的になってしまう。それは普段の僕とは違うのかもしれないけれど、でも、ここで一番報を知っているであろう存在を逃してはならない――僕はそう考えていた。
「それは、あなたのエゴですよ」
まるで心の中を見かされているような気がして、僕は言葉を失った。
すっかり姿形は殘っておらず、郭がぼんやりと見えるくらいにまでキガクレノミコトの姿は消えていた。
「でも……」
「でも、ではありませんよ。あなたが何をんでいるのかは分かりませんが……、いずれにせよ、あなたが私たちの殘留をんでいるのは、確実にあなたの自意識から來ているもの。とどのつまり、エゴイズムによるものです。あなたがそれを理解しているのか、理解していないのかは定かではありませんが」
図星だった。
だからこそ僕はキガクレノミコトに対して、何も言い返せなかった。
「……まあ、あなたに対して何か咎めるつもりはありません。私たちは消え去って、その力を剣に授ける。そして、行はすべて人間に託すのですから。あなたの行一つでこの世界が崩壊しかねない。そんな重要なことを、あなたに託したまま私たちは無責任にこの世界から旅立つのですから」
「そこまで言ったつもりは……」
「けれど、これだけは忘れないでおきなさい」
唐突に。
強い口調でキガクレノミコトは言い放つ。
「世界には大きな意思がある。そして我々はそれに従うしか無い。逆らうことは許されない。それは世界の上位にある【箱庭】が監視しているから」
「箱庭……? 意思……?」
ここに聞いてあまり聞いたことの無いパワーワードが出てきた。
いや、正確に言えば【箱庭】に関してはキガクレノミコトがさらりと言っていたか。その詳細についてはあまり言っていなかったように思えたけれど。確か、ムーンリットという創造神が居る場所だったか?
いや、そんなことは関係ない。
なんでキガクレノミコトは急にそんなことを?
「良いですか、風間修一。はっきり言ってしまえば、私たちだけでは箱庭へと向かうことは不可能でしょう。ですから、この世界の仕組みを変えることは出來ません。ですが、もし可能ならば……、いつかは出來るはずです。そして、箱庭に向かったなら、これだけは決してしてはなりません」
そこでキガクレノミコトの、その郭も消えていく。
キガクレノミコトの言葉も、徐々にノイズが混じり聞こえなくなっていく。
「……神の…………は…………耐え切れ…………だから…………」
そうして、キガクレノミコトのは完全に消失した。
彼のから出てきたの粒は、僕が持っていたシルフェの剣に注がれていく。
の粒が注がれた剣は、どこか神聖な雰囲気を放っているように見えた。
「これが……」
「さあ、行きましょう。風間修一」
殘されたストライガーは、僕に向かって言った。
彼は使徒として、唯一殘った存在だ。そして使徒の中で唯一の人間だ。だからこの世界に存在し続けることが出來た。
だから彼はずっとここに居るのだろう。
「私も力を使ったので、使徒としての特別な力は無くなってしまいましたが……、いいえ、今はそう言っている場合ではありません。シルフェの剣に力が注がれた以上、もう時間が無いのです。急いで、宣言をせねばなりません」
そう言って僕の手を取ると、足早に會議場を後にする。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。宣言って? いったい、誰に対して何を宣言するんだ?」
僕の質問に対して、さも當然と言えるような態度で、こちらを振り向くこともせずに答えた。
「何を宣言するか、って? それは分かりきった話では無いですか。この世界の人間に対して、オリジナルフォーズという脅威に立ち向かう。大いなる戦いの始まりを、今ここに人間の前で宣言するのです」
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