《異世界で、英雄譚をはじめましょう。》第二百五十四話 偉大なる戦い・決戦編⑲
僕はその後、ゆっくりと彼に真実を告げていった。
それについては今までの繰り返しになるから直接モノローグという形で語ることは無いと思うけれど、実際の所、それは言いたくなかったことではあった。できる限り隠し通したかったことだったが、もうこれ以上隠しきれない。僕はそう思っていた。
「……それで、お父さんはどうするの?」
すべての事実を聞いて、先ず一花が言ったのはその言葉だった。
  僕は何をすれば良いのか。確かにそれは一花の言うとおりだった。僕はムーンリットから――キガクレノミコトから――ストライガーから――々な存在から話を聞いていた。そして、それはすべて『けれる』形にほかならなかった。
それは自分の意思を尊重している話では無い。そう言われてみればその通りだし、それをずっとけれていた自分も間違ったことである、それは理解していた。
けれど、それをどうすればいいのか――僕は考えてなどいなかった。けれてればいい、という考えは間違っていた。
「僕は、そうだね……。どうしようか」
「お父さんが決めればいいんじゃない?」
「僕が?」
一花の言葉は、はっきりと僕に聞こえた。
短く、しかし的確なその言葉はしっかりと屆いた。
「そう。だって、お父さんがその役割を擔っているんでしょう? だったら、それをするかしないかはお父さんが決めるべきだと思うの! もちろん、やるやらないもそれぞれだと思うし」
「でも、それだと……。世界が滅んでしまうだろう?」
僕の質問を聞いてもなお、一花は表を崩さない。
「世界が滅んでしまうからといって、お父さんがすべてやらないといけない理由にはならないでしょう?」
「それは……」
確かにその通りだった。
ただ僕は、そう言われたから、そう指定されたから、ただやっているだけに過ぎない。
「お父さんのやりたい道をすすめばいいじゃない。たとえそれが世界から非難されることであろうとも。私は、お父さんの味方だよ」
「お父さんの……味方、か」
一花の言葉は、一點の曇りも無く輝いていた。
だからこそ僕はその言葉に眩しくじていたのかもしれない。
「だったら、僕は猶更それをけれないといけないな……」
「お父さん。それって、つまり……」
一花の言葉を聞いて、僕はゆっくりと頷く。
「けるよ、この話。僕に世界を救えるかどうか分からないけれど……、それでも、やれるだけのことはやっておきたいと思うから」
◇◇◇
二日後。
その日は突然やってきた。
確か晝下がりのティータイム。僕たちは家でのんびりと過ごしていた、とても平和な時間だった。
この平和な時間がいつまでも続けばいいのに――そんなことを思いながら、僕は空を眺めていた。
はじめの違和は、太だった。
この世界には太が一つしか無い、はずだった。
にもかかわらず、空には太が二つあった。否、そのうちの一つはもう一つと比べればあまりにも小さく、太というよりも一つの隕石のような――。
そして――そんな悠長に構えている場合では無かったことは、僕たちは直ぐに思い知らされることとなる。
「風間修一は居るか!?」
「何かありましたか! ストライガーさん。ってか、ストライガーさんが來るということは……」
「そう、あれはオリジナルフォーズよ! まさか連中、こんなにも早く投してくるなんて……。はっきり言って、想定外だわ」
「オリジナルフォーズ……! そんな馬鹿な、どうしてそんなにも早くジャパニアに辿り著けたんだ……!」
「きっと、私たちの想像以上に事が進んでいた……、そういうことになるでしょうね。とどのつまり、私たちの予定ではまだ復活する予定のなかったオリジナルフォーズは、どうやらとっくに復活していて、二日の間にジャパニアに到達した……ということになるのでしょうね」
「ね、ねえ……? 話が理解できないのだけれど……、オリジナルフォーズっていったい」
見ると、話がまったく理解出來ない様子の秋穂がキョロキョロと辺りを見渡していた。
僕は結局秋穂に事実を言い出すことが出來なかったのだ。
最大の失敗とも言えるだろうその事例を、僕はどう贖罪すべきかと思っていた。
伝えることをせず、問題を先送りしていたのだから、すべて僕の責任だ。
しかしながらそれは秋穂を危険な目に合わせたくなかったから、それに盡きる。ほんとうは一花もそうしておきたかったが、あの創造神の気まぐれによって、それも出來なくなってしまった。はっきり言ってすべてが臺無しになってしまった、ということだ。
だから、今の僕に出來ること。
それは彼を救うこと。
どうにかして――秋穂を助けないといけない。
「ごめん、秋穂。黙っていて」
「……何か、やりたいことがあるんでしょう? ううん、どちらかと言うと、やらないといけないこと……になるのかな」
「それくらい、分かっているよ。けれど、あなたが何をしたいか……今の私には分からない。それだけは確か。でも、それがあなたのやるべき道なのでしょう。だとしたら、その道を突き進めば良い。あなたが生きたい道を進めば良い。それについていくのが、私の役目なのだから」
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