《異世界で、英雄譚をはじめましょう。》第二百九十六話 聖戦、東京⑥
僕たちは立ち向かう。
その目的は、たった一つに帰結する。
オリジナルフォーズを倒すこと。
そうして、この世界も平和になるし、あの世界も平和になるし、ルーシー・アドバリーも救うし、ロマ・イルファも救うことになる。
とどのつまり、すべての目的を達することと言えるだろう。
問題は、オリジナルフォーズを倒すために――有効な手段を持ち合わせていないということ。
「オリジナルフォーズは、メタモルフォーズの元となる存在。とどのつまり、メタモルフォーズと化してしまった存在の攻撃が有効打となるだろう」
「それって?」
「……ここまで言っても分からないのか。つまり、メタモルフォーズにはメタモルフォーズをぶつければいいということだ。もちろん、エネルギーは相手のほうが大きいから、簡単に倒すことは出來まい。しかしながら、倒すことの出來る確率がしでも上がるならば……、そちらにかけたほうが良いとは思わないか?」
とどのつまり。同じ力には同じ力を持って制するということ。
メタモルフォーズの力には、同じメタモルフォーズの力を持って制する。
簡単には言ってくれるが、問題としては、そのメタモルフォーズの力は誰だ? 誰を使えば良い。メタモルフォーズなど今この狀態でいるはずが……。
「何を躊躇っている、フル・ヤタクミ。目の前に、メタモルフォーズが居るだろ」
「……お前、いったい何を言っているんだ」
僕は、バルト・イルファの発言、その意図が理解できなかった。
だって、バルト・イルファは自らを指さし、ウインクをしているのだから。
ウインクをしている。それは何らかの指図をしているようにも思える。いや、指図というよりかは――合図、といったほうが近いか。
「ここにメタモルフォーズが居るじゃないか、フル・ヤタクミ。僕の力をつかえ。きっと、相反する力とはならないが……、その力は溶け合って、やがて消えることだろう。この世界に永遠と、メタモルフォーズが殘っている道理にはならない」
◇◇◇
上空一萬メートルに飛ぶといわれて、何を思い浮かべるだろうか。
答えはジェット機。
ジェット機は空気を吸収し、圧・燃焼・発という三つのプロセスを経て、推進力を生み出している。
機への空気抵抗との兼ね合いを考えると、ベストな高度が一萬メートルであり、ジェット機の大半はこの高度にて安定的に飛行している。
その日。ロサンゼルスから田空港間を飛行するジェット機の機長、ルゴールは後にこう語っている。
――あれは、黒い化だ、と。
球にも似たその存在は、中がうっすらと見える程、完璧な暗黒では無かった。
ルゴール機長は話を続ける。その口調は淡々としていたが、しかし事実をはっきりと述べている。
――黒い球の中には、確かにはっきりと城塞に似たようなものが見えていた。しかしながら、その城塞は、沈黙を保っている。
ルゴール機長は、航路上に存在する黒いにぶつからないためにも、航路を変更するべく、縦桿を下に向ける。
ゆっくりと、しかし確実にジェット機は高度を落としていく。それは乗客を不安にさせないためにも、彼らに気付かれない程度にゆっくりと。しかし重力に敏な人が居るならば、それは確実に気付かれてしまうことだろう。
そして、運悪くそのジェット機にはその敏な人間が乗り合わせていた。
◇◇◇
「きっかけは些細なものだったんです」
東都新聞で記者を務める新崎竜一はインタビュー冒頭にてそう告げた。
新崎はアメリカ大統領の會見を取材した後、本社へ一度帰るためにそのジェット機に乗り合わせていた。
「恥ずかしい話なんですが……、僕、胃腸が元々弱い人間でして。その時も、トイレに居たんですよ。トイレでスマートフォンを眺めながら、日本の勢を見ていました。日本では、あの獣……、何でしたっけ? そうそう。確か、最初は獣だったけれど、突然変異したんですよね。獣から……立方に。だから政府は一時間後に記者會見を開いて、その特異生命をこう名付けた」
――突然変異メタモルフォーズ、と。
新崎は俯きがちな目線を送り、話を続ける。
「結局の所、だから何だという意見が多かったですね。そりゃあそうですよ、東京のど真ん中に突然謎の生が姿を見せて、それが巨大な立方へと変化を遂げたのですから。確か畫配信サイトでもアップロードされていましたよね。生放送もされていました。今はテレビや新聞よりもインターネットが報の伝送速度が速い時代です。だから、僕もそれを見ていました。……記者失格と、あなたはそう思いますか? でも、記者だって他人の記事は見ますし、が一つしか無いのですから、出來ないことは他人に任せるしかありません。勿論、悔しいという気持ちはありますが」
新崎はテーブルに置かれているコップを手に取り、水を飲み干す。
ふう、と一息吐いてさらに話を続けた。
「インターネットに転がっている畫にはたくさんの報が並べられている、訳ではありません。得られる報はないものでしたし共通項も多かった。當然ですよね、所詮は素人が撮影している畫に過ぎません。報道に攜わる人間ならばもっと違う側面で撮影出來るものの、素人ならばそれが敵いません。ですから、その畫から得られた報は、本當に僅かなものだったんです。……突然変異。まさに、その一言で片付けられる程の、謎の巨大生。僕たちの世界の理を超越する存在、と言ったとしてもきっと信じられないなんて言い出す人は居なかった。それほどに突飛な存在だったんですよ、あのメタモルフォーズという存在は」
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