《異世界で、英雄譚をはじめましょう。》第三百五話 聖戦、東京⑮
「関係ない……だって……! ふざけるな! お前の我儘のせいでどれくらいの人間が犠牲になったと思っている!」
「それが私にどう関係してくるとでも言うのかしら? 教えてほしいものね。確かに、この世界にやってきたことは偶然よ。あの世界を捨てるところまでは確定事実だったけれど、別の世界に移することも分かっていたことだったけれど、この世界にやってきたのは偶然に過ぎないのだから。だから、彼らは運が悪かっただけ。そうけ取って貰うしかないわね」
「……そんなこと、けれられる訳がないだろ!」
僕は一歩前に踏み出す。
リュージュは首を傾げていたが、漸く僕の怒りの原因が分かったらしい。
「ああ、そういえばこの世界はあなたが生きてきた世界に非常に似ているのよね。でも安心しなさい。これは無數に存在する世界の中の一つ。強いて言えば、可能の結果。だから別にこの世界が崩壊したとしても、あなたという存在が消えることはない。だから安心しなさい」
「安心なんて……出來るものか!」
僕はリュージュの言葉に抗う。ただ抗うしか道はなかった。
「でしょうね……。そう言うと思っていたわ。でも、それは従えない」
リュージュはうつろな表を浮かべる。
剎那、僕のが直した。
正確に言えば、かせることが出來なくなった。
「フル!」
「考えたことは無いかしら? ……なぜあなたがこの世界にやってきて、予言の勇者だと呼ばれていて、いとも簡単にあの剣を使うことが出來るようになったのか……?」
「……どういう……ことだ?」
リュージュはゆっくりと僕に近づき――そして僕の頭にれる。
とても冷たいだった。
「あの世界は繰り返しからり立っていた。ガラムド暦は二〇一五年で一度崩壊を迎える予定だった。しかしそれを予言の勇者が防ぐというシナリオの元進められていた。ではその後は? 本當に平和が継続するのかしら?」
「……何が言いたいのよ、リュージュ」
メアリーはフルから手を離せと言わんばかりの表で睨み付ける。
「2+2は4。これは常識の範囲。でも、それが5にも3にもなり得る」
「……お前、いったい何がしたい……?」
「あの世界は例え今平和となってもいずれ崩壊する未來が待っていた。そしてその分岐點となるのは予言の勇者たるあなたの転移。つまりその時點でこの世界の未來は決まっていた」
「……どういう……ことだ?」
「あなたねえ、疑問を浮かべるばかりじゃなくてしは考えたらどうかしら?」
リュージュが溜息を吐いて、もう一つの手を僕の頭に當てる。
「……ま、ここまで來たからには教えてあげる。シルフェの剣に宿りし意志を、今解放せよ!!」
そして。
僕の意識は――そこで途絶えた。
◇◇◇
「……私を呼び覚ましたのは、お前か?」
フルは倒れていたが、しばらくしてゆっくりと浮かび上がった。
それを聞いたリュージュはにやりと笑みを浮かべ――一言だけ言った。
「その通りで座います。ヤルダハオト様」
「ヤルダハオト……だって?」
メアリーは目を丸くして、リュージュとフル――いや、今はヤルダハオトと呼ぶべきか――を見つめる。
「そう。ガラムドは元々神としては不完全な存在だった。なぜなら人間から神に昇華した存在だったからね。そうしてガラムドは善の心を持った神として人々に崇められるようになった。しかし、善があれば悪もある。あるところに闇があるようにね……」
「それがヤルダハオト、私というわけさ」
フル――いや、ヤルダハオトはシルフェの剣を構えていた。
シルフェの剣はフルが持っていた時以上にり輝いているようにも見えた。
でも、ヤルダハオトはフルじゃない。それはメアリーが確信している事実の一つだった。
なぜならフルのはずっと床に倒れたままになっているからだ。
「……リュージュ、フルはどうしたの!」
「簡単なこと。彼にはになってもらっただけ。今は空っぽに過ぎない。まあ、はっきり言ってしまえば、フル・ヤタクミが魔法を使うために記憶エネルギーを利用していたのは、ヤルダハオト様として活するための領域を増やすためのこと。そうしてシルフェの剣から得たヤルダハオト様の記憶を元に、ヤルダハオト様は復活なされた」
つまり、今のフルには何も居ない。
空っぽに過ぎない。
いや、そんなはずは無い。なぜならずっと話していたのはヤルダハオトなどではなく、フルだったのだから……。
「しかし、を手にれたのは本當に久方ぶりだ。私を呼び覚ましたのはお前だったな?」
「その通りで座います。私はリュージュ。神のを引き継ぎし一族の末裔で座います」
「ふうむ、神の……ね。お前はいったい何をんで私を蘇らせた? 申してみよ」
「私はこの世界を憎んでおります。私は、ヤルダハオト様を偽りの神とした世界を許せません。ですから、この世界と、元々我々が住んでいた世界の崩壊、およびそのエネルギーを利用して『神の澱』への侵をんでおります」
「ほう。神の澱、か。久しぶりに聞いた名だ。まさか復活してもなおその名前を人間から聞くことになろうとは。良かろう。私も興味がわいた。お前のみ葉えてやろう」
リュージュは頭を上げ、笑みを浮かべる。
「ありがとうございます。ならば――」
しかし、彼のみは葉えられることは無かった。
剎那、彼の首が無殘にも切り飛ばされた。
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