《異世界で、英雄譚をはじめましょう。》第三百九話 聖戦、東京⑲
「……人間も、それと同じになるべきである、と?」
ロマの言葉を聞いて、ヤルダハオトは漸く笑みを浮かべた。
「その通りだ。わかりが良いではないか、人間とメタモルフォーズの中途半端な存在であるくせに」
「ロマを馬鹿にするのは、僕が許さないよ……」
「言っていろ。そんなで何が出來る」
確かに、そう思うのも仕方ないことだった。今のバルト・イルファにはそのような力は持ち合わせていない。第一、バルト・イルファはその右腕をヤルダハオトに踏まれている狀況である。
とどのつまり、今のバルト・イルファには何も出來なかった。
「ぐぐ……」
「お兄様!」
「人間に意志を與えたことが、そもそもの間違いだった。人間に知識を與えたことが、そもそもの間違いだった。……だから私は、ガラムドの意見には反対だった。そもそも、あの神格の格差こそが間違いだったのだよ。私こそ、この世界を統治すれば良かった」
「それは大きな間違いよ。あなたみたいな自分勝手な存在が世界を統治していれば、とっくにこの世界は滅んでいた。……ガラムドだから、ガラムド様だから! あの世界は、ずっと続いてこれたんだと、思う」
ヤルダハオトに反論したのは――メアリーだった。
そしてそれは神の怒りを買うには、十分過ぎた。
「神に反論するというか? ……いやはや、それにしても、自分勝手な人間もいた者だよ。まさか神に反論出來る人間がいるなんて。普通なら頭を垂れて話を聞いているところ」
「あなたは神なんかじゃない」
「……何だと?」
メアリーの反論に、次第に怒りを増していくヤルダハオト。
そのオーラに蹴落とされそうになるメアリーだったが、それでもなお、話を続ける。
「あなたは、信仰されるべき存在じゃない。誰がそれを決めたのかは分からないけれど、ガラムド様がこの世界を統治するようになってくれて、ほんとうに良かったと思っている。実際、ガラムド様はこの世界に積極的に関與してきたわけじゃないけれど、封印だけで終わらせてしまったオリジナルフォーズについても対抗策があったわけだし。きっと、あなたなら、オリジナルフォーズは最終兵でも使うつもりだったでしょう。人間を滅ぼす最後の手段として」
「……貴様、何が言いたい?」
「だから、私が言いたいことは、たった一つ」
人差し指を立てて、メアリーは告げる。
それは死刑宣告か何かのような、そんな言葉にも聞こえた。
「神様だか何だか知らないけれど、私たちの世界を勝手に引っかき回すんじゃない! 私たちの世界は、私たちが舵を取る! ただ、それだけのことよ!!」
「言わせておけばあああああああああ!!!!」
そこで、ヤルダハオトの堰が完全にぶっ壊れた。
魔剣フランベルジェを何度も何度も振り始める。
それをメアリーは簡易的に作り上げた壁で応戦する。ずっと話を見ていたロマも水の壁を作って何層かのシールドを作り上げた。それによって何とか魔剣フランベルジェの攻撃は耐えきることが出來る。
「私は神だぞ!? ずっと話を聞いていれば、私を軽視しているような発言ばかり! 確かに私はあの世界の歴史には語られてこなかった、いわば影の神だ。だが、それがどうした! 人間は上位の存在に跪いていれば良い! 上位の存在の言うことを頭を垂れて聞いていれば良い! それだけであっという間に何でもかんでもうまく行く! それだけのことだったのに――!」
「そんなこと、あるわけがないだろう」
気迫ったヤルダハオトは、気付かなかった。
というよりかは、気付くことが出來たはずなのに、気付けなかった。
足下に溜まっていた、そのエネルギーに!
「バルト・イルファ……!」
「至近距離での発、もう一度食らえば流石に神といえど守ることは出來ないはずだ!」
「しかし、お前もそれは同じはず……。そのエネルギー、どこから……」
ヤルダハオトはすっかり狼狽えていた。
「ロマ!」
バルト・イルファはロマに聲をかける。
「お兄様! ご無事でしたか! 今、お助けします」
「いや。もう良いんだよ、僕は」
バルト・イルファのがを放ち始める。
それを見たロマは――今からバルト・イルファが何を始めるのかを理解した。
「お兄様! まさかその魔法を! おやめください、それは命を使う魔法のはず!」
「バルト・イルファ、貴様…………!」
ヤルダハオトは何とかシルフェの剣で防をしようとする。
しかしバルト・イルファは既に彼の腕を摑んでおり、必死にしがみついている。もはや離れることは葉わない。
バルト・イルファのが輝きを増す。
「ねえ、ロマ」
「お兄様……!」
「これは僕の命をかけた、最後の切り札だ。だから、止めないでくれ」
「お兄様。しかし……!」
「ねえ、ロマ」
バルト・イルファのはもうに包まれて、殆ど見えない。
それはヤルダハオトも一緒だった。
そして――バルト・イルファは告げる。
「僕は、君の兄で……ほんとうに幸せだった。ありがとう、ロマ」
最後に、バルト・イルファが笑ったように見えた。
剎那。バルト・イルファを中心に大きな発が起きた。
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