《異世界で、英雄譚をはじめましょう。》第三百十三話 0と1の世界②
「……さあ、世界を一つにしようじゃないか」
ヤルダハオトが放った衝撃波により、世界が崩壊した。
正確に言えば――メアリーたちがその名前を正式に知ることは無いが――東京という都市が完全に地表ごとめくれ上がる形となった。
そしてそこには、世界があった。
正確に言えば、地平があった。恐らくは天井の類い。球が丸々この中に沈んでいる形になっているのだ。
そしてヤルダハオトは球の表面にゆっくりと著地する。
ポケットから一枚の古ぼけたカードを取り出すと、笑みを浮かべた。
「このカードを使う時が、やっと來るとはな」
それはICカードだった。端末か何かにタッチすることで何かを起させる鍵――とでも言えば良いか、そういう仕組みのものだった。
地面をれると、そこから立方がせり上がってきた。
そしてそこにカードをタッチさせると、ゆっくりと球の一部が左右に開き始める。
「……さて、実験を始めるか」
ヤルダハオトは中へとっていく。
「追いかけますよ、メアリー・ホープキン!」
そして、メアリーとロマ・イルファを乗せたホバークラフトもまた、し遅れて球の中へとっていくのだった。
◇◇◇
中にると、そこは大きな立方がモノリスよろしく多數に屹立していた。
「……何これ。まるで巨大な都市……」
「でも。人の気配が一切しない……。死んでしまった都市、というか」
「その通り。このコロニーは、人類が最後まで生き延びた最終生存圏とも言える場所だ」
気付くと、ホバークラフトの前にヤルダハオトが浮かんでいた。
しかし、ヤルダハオトは何か攻撃を仕掛ける様子は見られない。
「よくぞここまで辿り著いた。……褒に、歴史の大見出しを見せてやろう」
「歴史の……大見出し……ですって?」
「歴史は後年誰かが書き記していくものだ。そしてその歴史は勝者によって語り継がれていくのが常。この世界はリセットさせてしまおうと、私は思った。それすらも可能なシステムがこのコロニーには構築されているからだ」
「あなたは……いったい何を言っているの……」
「ICBM、とでも言えば良いかな?」
メアリーとロマ・イルファにはその言葉の意味は知るよしも無い。
大陸間弾道ミサイル、略してICBM。
文字通り大陸間を飛翔することが出來る弾道ミサイルだ。
「このコロニーにはICBMをほぼ無盡蔵に生み出し、発することの出來る施設が存在している。そしてそのICBMには、人間を滅ぼすことの出來る質を積み込むのだよ」
「そうして、世界をリセットするのね……!」
ヤルダハオトはそれを聞いて小さく俯く。
「しかしそれを行うと、元通りになるまで數百年、あるいは數千年とかかるがね。そうしてそこから生命を生み出していくとなると、最終的には數千萬年という月日になるから、結局は誤差の範囲ではあるが」
「でも、あなたはそれをしようとしている。ならば、私たちはそれを止めなくてはならない」
「話はまだ終わっていない。メアリー・ホープキン。ICBMにはね、核というものが積み込まれている。正確には放質とでも言えば良いか。それを発し投下すると、時折私ですら思考の範囲外になってしまうが生まれてしまうことだってあるのだよ。そう。例えば、君たちの世界で言えば……」
「……オリジナルフォーズが、そうだと言うの……!」
「然様。オリジナルフォーズ、およびメタモルフォーズはかつて人間が核の炎で世界を燃やしたことにより突然変異を起こしたことにより発生しただよ。そして私はそれを、進化の可能、その一つとして見ていた」
メタモルフォーズが進化の可能である。
確かそれはメアリーもどこかで聞いたようなことだった。
しかし、だからといってそれを容認するわけには、やはり行かなかった。
「ということは、この世界は、私たちの世界の遠い過去、ということね……!」
「正確に言えば、すべての原點とも言えるだろうね。一度目は観測者を他者にした結果、観測者が暴走して神格も変更を余儀なくされた。二度目は思ったより魔法の文明が発達せず、科學で魔法を実現する世界を生み出したが、最終的にそれを人間そのものが破棄し、勝手に文明が衰退していった。そして三度目、それがあの世界だ」
ヤルダハオトはゆっくりと降りていく。
「ついてきたまえ。世界の選択を、歴史の大見出しだ。二度と見ることは葉わないぞ」
「どうする、ロマ・イルファ?」
「私たちに拒否権などありません。そうでしょう、メアリー・ホープキン。確かにヤルダハオトに従うのは、はっきり言って嫌ですが。だからといってここで戦って敵う相手ではありません。それにここは敵のアジトと言っても過言では無い場所。ならば、チャンスを狙うしかありません」
「どうした、人間よ。……まあ、これから先を見るかどうかは君たちに任せるが。しかし、その場合は何も知らないまま君たちは死ぬことになるかもしれないがね」
ヤルダハオトは、二人の口論をまるで目の前で見ているかのように、言った。
そして二人は決意する。
ここまで來たならば、もうすべてをけれるほかない――と。
そして二人は無言で、ホバークラフトをさらに下降させていくのだった。
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