《異世界で、英雄譚をはじめましょう。》第三百二十六話 終わる世界⑤
「……お前の目的は分かっているぞ。そう言って、僕の気持ちを攪させるつもりだな。絆そうとしたって無駄だ。そんなことで絆されるぐらいなら、こんな場所に一人で居るはずがない」
「それもそうだな。……だから、」
影神は手を振りかざす。
すると、そこに一人の年が姿を見せた。
それは、佐久間來喜がよく知る人であった。
「……古屋拓見……! なぜ貴様がこの世界に現出できる! ができたのは一人分のはず。つまりこの世界には僕しか居ないはずなのに」
「神はその事象だってねじ曲げることができる。それに、人間を作る材料はまだ余っていたことだしね。ざっと千人分。仮に何人分か失敗しても一人が功すれば良い。方舟の老人どもも考えたものだね。世界に悲観して仮想空間に逃げ込んだものかと思ったが、やはり人間はリアリズムなところがある」
「……まさか、老人どもが殘した財産にこんなものが殘っていたとはな」
佐久間來喜は舌打ちをして、拓見を見る。
拓見はなぜこの場所に居るのかまだ把握できていないようだった。そしてそれは彼にとって好機だった。はっきり言ってしまえばまだ狀況が把握できていない狀態が一番隙のある狀態といえるだろう。
とどのつまり、隙のあるうちに処分してしまえば、彼の計畫に支障が起きることは無い。
彼だってそんなことはとっくにわかりきっていたはずだ。
でも、彼はそこで――運を天に任せた。
「……最後は運を天に任せることも、悪くない。人工知能に運の要素など無いと思うがね」
「今の彼は人工知能ではない。意思を持った人間だよ。きちんともできているし、心臓も細胞も活している。それすらも否定するのならば、果たして人間の定義とはどうなるのかね?」
影神の言葉に、彼は耳を貸すこともなかった。
「……いずれにせよ、君が選ぶがいい。未來を」
古屋拓見の手には、剣が握られていた。
その剣は、林檎のモチーフが束に象られている、彼がかつて勇者と呼ばれていた世界では、シルフェの剣と呼ばれていた剣だった。
その剣はあくまでデータに過ぎず、無機の剣が現実世界に現れることはあり得ない。しかし、そこは神の力を使ったのだろう。佐久間來喜はもはや超常現象すらも神の力としてけれることに違いない。
佐久間來喜の話は続く。
「君は、その剣で人の命を一つ消すことができる。それはそういう代だ。……効果なんて、何も殘されちゃいない。あくまでも『始まりの戦い』において勇者が使っていたから、聖剣などと言われていただけに過ぎない。そして、目の前には二人の人間と神が居る。している存在は、その剣で貫くことができるだろう」
こくり。影神は頷く。
影神もまたしている存在として、干渉できる次元に降りている存在として、シルフェの剣で殺すことができる。
「影神を殺せば、君たちの世界は永遠に平和が保たれることは約束しよう。しかし、僕を殺せばどうなるかは分からない。影神によって君たちの世界を保ち続けたサーバやコンピュータは破壊されるかもしれない。そうなると、君は幸せにならなければ、あの世界の人間も失意のまま死ぬことになるだろう。……さあ、最後は君が選べ。古屋拓見。君は勇者だろう」
「……一応、言っておくが、仮に私を殺したところで君たちの世界が守られる保証はない。そして會ったばかりの君に言うのはどうかと思うが……、私は今まで君たちの世界に干渉することはなかった。それはガラムドという優秀な管理人がいたからこそだ。今はヤルダハオトという不安要素が居ることにより、私が前に出ているが……。もしヤルダハオトを殺すことができるならば、私は再度箱庭に引きこもることにしよう。ムーンリット・アートも、そうんでいることだからね。世界を改変し続けることも、神にとっては永遠にできることではないのだから」
影神と、ヤルダハオト。
二人の人間と神が、彼の目の前に立っている。
そうして、彼――古屋拓見は一つの決斷を迫られていた。
誰を、殺すか。
それができるのは、彼が持つシルフェの剣だけだ。
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