《異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー》4-18 傷跡と忘卻
「うっ…ここは?ボクは一…」
気を失った朝日が目を覚ましたのは自宅の二階にある自室のベットの上だった。
朝日はベットからを起こし、目覚めたばかりのよく回らない頭を総員し、記憶を探っていく。
「そうだっ!華夜!?」
記憶を探っているうちに気を失う前の出來事、あの謎の現象と目の前から姿を消した華夜に辿り著き朝日は思わずベットから跳ね起きる。
よく見ると部屋の家がいくつかなくなている気がするがそんなことには目もくれず、そのまま隣にある華夜の部屋に向かおうと自室の扉のドアノブに手をかける、が。
「あれ?開かない……?」
その扉はびくともしなかった。
「ドアノブが回るってことは外から押さえつけられてる…?」
そこまで考えた朝日は部屋の中にたまたまあったガムテープでドアノブを固定し部屋の隅まで行き、そのまま勢いよく扉に當たりをした。
朝日の當たりをけしだけいた扉。
その開いた扉の隙間からはいくつもの段ボールが積み上げられているのが分かった。
「よし、いた。もう一回っ!」
扉が外から固定されていないことが分かった朝日はもう一度部屋の隅まで行き、扉に當たりをした
またしだけく扉。
それを數回繰り返していくうちに隙間はなんとか橫になった人がギリギリ通れるくらいの広さになった。
「うーん。ちょっと狹いか。いや、この際通ることができれば何でもいいか」
そんな獨り言を言いながら朝日はその隙間にを通していく。
扉の外に出ればやはりというか、そこには複數の段ボールが積まれていた。
扉には『アサヒ』と書かれたプレートが掛かっている、はずっだったのだが、そのプレートは先程の當たりの衝撃で落ちてしまったのかどこにも見當たらなかった。
「プレートは後で探そう。それよりも今は…」
足にぶつかる段ボールを蹴とばし、そのまま隣の華夜の部屋にる朝日。
一応部屋にる前にノックをしておく。
……返事がない。
「華夜、るよ?」
部屋のドアノブに手をかけ扉を開ける朝日。
その視線の先には主のいない妹の自室が広がるのみだった。
「そ、そんな…まさか本當に華夜は」
思わずその場に立ち盡くす朝日。
すると突如、一階のリビングのあたりから音が聞こえた。
「華夜!?」
その音に過剰反応した朝日は勢いよく階段を下りリビングに向かう。
普段なら父と母が寛いでいるそこには誰もおらず、リビングの真ん中に置かれたテーブルの上に一枚の手紙らしきものが置いてあるだけだった。
「これは……っ!?」
その手紙を手に取った朝日の表は驚愕に染まっていた。
手紙には自の知らない事実が書かれていた。
東山朝日は私たち夫婦の実の子ではない。
その一文を見たとき、朝日の心は完全に凍り付いた。
確かに、朝日は小さなころから近所の人に似ていない親子だの兄妹だのといわれ続けていた。
それでも、いつかは長して父親や母親と似たような顔つきになるのではないかと思い特別気にしていなかった。
中學校に上がってからもその顔つきは全く両親に似ついていないことが気がかりだった。
更に手紙を読み進めていくと、そこには自の出生について書かれていた。
曰く、東山朝日は捨て子で孤児である、とか。
曰く、その本當の両親はすでに死別し縁者のいない天涯孤獨のみである、とか。
そこに書かれていた言葉は朝日の心に深々と傷をつけていく。
そして朝日の手から手紙が落ちた。
そのとき、朝日の視界にある寫真が映った。
手紙の下に置いてあったために気が付かなかったそれは家族寫真。
自分が進學した時に撮った寫真だった。
暫らくそれを何とも言えない気持ちで見つめていた朝日だったが、その下にもう一枚寫真があることに気づく。
二枚目の寫真を見たとき、朝日の中は恐怖に支配された。
それは先程の寫真、その自分の顔だけを拡大したものだった。
自の顔には黒で大きなバツ印が書かれ、寫真の至るところに同じ文字が書かれていた。
『ヤクタタズ』と…
その寫真を見た朝日は思わずその場から數歩後ろに後ずさった。
そして背中に何かが當たったのに気が付きその場で振り返る。
そこには無な瞳で自分を見下す母親の姿があった。
「かあさ……」
朝日が母親に聲をかけようとしたところで後頭部に鈍い痛みが走ったのをじた。
薄れる意識の中振り返るとそこには走った目でバットを振り下ろした父の姿があった。
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それからのことは朝日は覚えていない。
暗い部屋で呪詛のようなものを口にしながら自のを痛めつけてくる父と母。
ただただ痛みつけられる痛みだけが自の生を自覚させ、食事も碌に與えられなかった。
はやせ細り、髪ののは変し、には新たな傷が刻まれる。
衰弱していくと薄れゆく自意識の中で虛ろな目をしながら痛みに耐える日々。
永遠にも思えたその日々はある日を境に終わりを迎えた。
ある日から一度も家から外出した様子が見られない一家の様子を心配した近所の住民からの通報だった。
駆け付けた警察は開いていた玄関の扉から家屋の中にり、偶然にも朝日のことを痛めつけている最中の東山夫婦を発見した。
東山夫婦はすぐさまその場で警察に取り押さえられ、朝日も無事に保護された。
夫婦が逮捕され、朝日が病院へ搬送されたことでこの件は落ち著きを見せたと思われた。
だが、ある問題が起きた。
ある日、ずっと病院で寢たきりだった朝日が目を覚ました。
朝日の目覚めを聞きつけて事聴取に來た警察との面談で、ある事実が発覚したのだ。
朝日は自に関するほぼ全ての記憶を失っていた。
醫師はその狀況を極度のストレスからくる一時的な記憶喪失だと診斷した。
だが、醫師がそう診斷したのに反して朝日の記憶は戻ることはなかった
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記憶を失った彼は常に無気力で、リハビリにも意的に參加することはなかった。
病院から退院した後、彼は事件の現場となった自宅へと帰って行った。
自宅にった際、彼に記憶を取り戻したような様子は一切見けられなかった。
彼は自宅に帰ってから何をするでもなく自墮落な日々を過ごしていた。
だが、彼が自の部屋と思われる部屋からあるノートを発見したことで彼の日常は一変した。
そのノートの正は日記だった。
記憶を失う前の彼が小さなころから書き続けていた數冊に及ぶ日記だった。
その日記にはある単語が何度も何度も繰り返しでできていた。
『妹』そして、『華夜』だ。
彼は記憶のほとんどを失った。
だが、ほとんどを失ったのであって全てではない。
わずかに殘った記憶の中にあったのは自分には妹がいた、そしてその妹がどこかに行ってしまったという記憶だった。
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彼は、その日記を見つけてから人が変わったようにき始めた。
病院で行われているリハビリに意的に參加し、日記やアルバムを読みふけっては記憶を取り戻すことに盡力し、集めた報の中で妹がいるかもしれないところをピックアップして日夜走り回った。
「っち、一どうしたら記憶が戻る…?一どうすれば華夜を見つけられんだよ」
そう言って悪態をつく彼に、以前の無気力さや記憶を失う前の優しそうな雰囲気はなかった。
ただただ、この世のどこかにいる妹を見つける事に対する執著心だけがそこにあった。
走り回って疲れた朝日は近場の公園で一休みをすると、再び次の場所めがけて走り出した。
そして、朝日は出會った。
一人の年と。
「君、手助けは必要かい?」
to be continued...
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