《2度目の人生を、楽しく生きる》18話 「VS奴隷商人の手下達」
「君達にはお仕置きが必要だねぇ」
そう言われた俺達は、パニックになっていた。
俺達の周りには棒を持った奴らが囲んでいて、逃げる事は出來ない。
しかもクレアが捕まっているので、クレアを助けださなければならない。
「クレア! クレアを離せ!」
クリスがぶ、完全に頭にが上っている。
「ど、どうすれば……」
アリスが力なく呟く、この狀況に絶しているのだろう。
「…………」
俺は何も言わない、この狀況を突破する手段は……正直無い。
無いが、俺は諦めてはいけないのだ。
ちゃんとディノスとセレナの所に帰らなければいけないのだ。
だから……
「火球ファイア・ボール‼︎」
どんな手段を使っても俺は帰る。
たとえ……誰かを殺してでも。
俺の火球は棒を持った1人の手下に當たる。
「熱ぃな‼︎」
だが奴隷商人の手下はただ熱がるだけだった。
原因は分かっている、魔力切れだ。
今の俺は魔力がない、なんとか魔は撃てるが、威力はとても低いのだ。
「くそっ…」
魔が使えれば……全員は倒せなくとも、クレアを助けて逃げる事は出來た……と思う。
だが魔の使えない俺は、ただの弱い子供だ。
剣は上手くないし、なんてやった事もない。
俺の戦いの基盤は魔だったのだ。
「さて…どうしますか?」
奴隷商人のボスが突然俺達に話しかけてきた。
「今君達がおとなしく牢屋に戻るなら、このお嬢さんは殺さないでおきましょう」
……そうきたか、あいつらにとって俺達は商品。
なるべく傷は付けたくないわけだ。
「ほ、本當か?」
「く、クリスさん⁉︎」
クリスが震えた聲で問いかける。
するとボスはニコリと笑い。
「えぇ、君達が素直に牢屋に戻り、じっと売られるのを待つならね」
「………」
クリスは黙る、きっと考えているのだろう。
正直、今の俺達の戦闘力ではクレアを助け出す事は出來ない。
「皆……すまない…僕は……」
クリスが俺達の方を振り返り、俯きながら言う。
「僕は、クレアを死なせたくはない。 すまない」
クリスは頭を下げる。
自分の人生を捨ててまで、妹を助けたいのだろう。
兄として、それは素晴らしいだと思う。
「クリス」
「なんだルージュ、君には助けられて謝もしている。 だが……」
素晴らしいとは思う。
だが……
「4人で逃げるんだ」
今はその選択はしちゃダメだ。
「なっ…君は狀況が分かっているのか⁉︎」
「あぁ、絶的な狀況だな」
俺達は相手に聞こえないよう、小聲で會話をする。
「この中で1番強い君は魔力切れで魔が使えない! 敵の數も多い! クレアを助けるにはこれしかないんだ‼︎」
「俺が使えなくても、お前とアリスは魔を使えるだろ」
「使えるが…君に比べたら全然だ」
「それでもいい、俺は自分の魔力が回復したら最大限の威力の魔を使う。」
俺はクリスの両肩を摑み…
「選べクリス、このままクレアと一緒に戻って、一生奴隷として不自由な生活を送るか。
俺達と協力してクレアを助けてこの場から逃げ、自由に暮らすか」
クリスの目が泳ぐ。
「………君達と協力した場合の……クレアの生存確率は……」
「それは…低いと思う。 だがゼロじゃない」
「…………」
クリスが無言になる。
俺は額に冷や汗が流れてくる。
「僕は……できるだけ、クレアに笑って暮らしてほしいんだ」
「あぁ」
「このまま奴隷になったら、クレアの笑顔は見れないかもしれない」
「……あぁ」
「だから、僕は奴隷にはなりたくない。 クレアと共に……自由を選ぶ。
君達と、協力して」
「あぁ!」
クリスは俺達と一緒にクレアを助ける事を選んだ。
これで相手との渉は決裂した。
ボスの方を見ると、まだニコニコしていた。
「おや、どうやら話は終わったかな?」
「あぁ、ちょうど今、終わったよ」
「そうかい、では、もう一度聞こう。 君達がおとなしく牢屋に戻るなら、このお嬢さんは殺さないでおきましょう。
さて、どうしますか?」
クリスが前に出て、ぶ。
「奴隷なんてごめんだ‼︎ 僕はクレアと自由に生きる! クレアを返してもらおうか!」
ボスの顔が崩れた。 あれは、失した顔だ。
「行くぞアリス!」
「はいっ!」
俺は剣を抜き、特攻する。
アリスも俺の後に続く。
「クリスは援護を頼む!」
「任せろ!」
クリスはその場で杖を構える。
俺とアリスが向かう先は、クレアの場所だ。
まずはクレアの救出が最優先だ。
「アリス、俺は今魔を使えないから、魔は任せる!」
「分かりました! ルージュさんは剣に集中しててください!」
「任せたぞ!」
そんな俺達の前に2人の手下が立ちはだかる。
「このガキが!」
「行かせねぇぞ!」
「邪魔だあぁっ!」
「はああぁっ!」
俺が右の手下を斬り、アリスが左の手下を斬る。
手下2人は倒れて気を失う。
斬りはしたが殺してはいない。
今ので分かったが、アリスは剣がかなり強い。
同じ攻撃をしたはずなのに、アリスの方が速さも正確さも全然上だった。
「敵は……數えましたが手下が15人ですね、今私達が2人倒したので、あと13人です」
「了解だ」
「あの2人を無力化しろぉっ‼︎」
ボスの聲で手下全員が俺達に向かってくる。
「行かせるか! 石弾ロック・シュート‼︎」
手下と俺達の間に石弾が通る、やったのはクリスだ。
クリスが石弾を撃ったおかげで、手下の足が止まった。
「アリス!」
「はい! なんですか?」
「俺は今でもしなら魔を使える、だからここら辺の地面一帯を……いやっ、あの手下全員の足元を水浸しに出來るか⁉︎」
「手下全員…ですか…」
手下は13人、しかも四方八方から走ってきている。
流石に無理か…
「いや、無理なら別に……」
「いいえ、出來ます! やってみます!」
アリスはやる気になった。
俺とアリスは立ち止まり、手下の様子を見る。
あと10メートルくらいか。
「よし! アリス今だ!」
「聖水領域セイクリッド・ウォーターフィールド‼︎」
アリスがそう言った瞬間、ここらの地面一帯が水浸しになった。
見れば手下13人全員の足元も水浸しになっている。
凄いな、ここまで出來るとは……
「ルージュさん! 今です!」
「おう! まずは……巖創造クリエイト・ロック‼︎」
俺は自分とアリスの下に土魔法で水にれないくらいの巖を作り、それに乗る。
「なんだか知らねぇがただの水だ!」
「気にせず進めええぇっ!」
手下がびながら走ってくる。
俺は巖の上から地面の水に手を向け……
「雷球サンダー・ボール!」
地面に雷球を撃つ。
「雷球サンダー・ボール!  雷球サンダー・ボール‼︎」
さらに2発雷球を撃つ、いつもは平気だが今の狀態では3発が限界だった。
「ぐああああっ⁉︎」
「ああああっ!」
手下達のび聲が聞こえる。
見ると手下13人全員が痺れて地面に倒れていた。
やっぱり聖水と雷は相がいいらしい。
「やりましたねルージュさん!」
「あぁ、アリスのおかげだ。 ありがとな!」
「はいっ!」
手下全員は無力化した。
あとは……
「お前だけだぞ。 もう諦めて、クレアを返せ」
俺はボスを睨みながら言う。
「はははは! 驚いたな、まさか全員がやられるとはねぇ………
ますます、しくなったよ」
どうやら諦める気は無いらしい。
「戦うやつがいないなら、僕が戦うしかないねぇ」
「別に戦わずに逃げてもいいんだぞ?」
「ははは、君達は必ず捕まえる。 これは決定事項だ」
「そうか。 ーーーアリス、まだ戦えるか?」
「もちろんです。 ルージュさんは、魔力回復しましたか?」
「いや、まだだ。 でも多分もうしで回復すると思う」
ボスがどれ程強いかは分からない、だが、どんなに強くても勝つしかないのだ。
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