《2度目の人生を、楽しく生きる》28話 「合流」

「なぁソーマ、今何人くらい合格してると思う?」

「知るかよそんなの。 ただ、時間がねぇのは確かだ」

現在、俺とソーマは草原を全速力で走っている。

周りを見る余裕はない、とにかく速く走る事だけを考えている。

「だよなぁ……」

「まぁ…この學園の教師の強さを考えると、まだ合格者はない可能がある」

「本當か!」

「可能の話だ、あまり期待はするな」

確かにこの學園の教師達は強い、ザイルとグレンとしか戦っていないが、他の教師もあのレベルだと考えてもいいだろう。

セレナ達は大丈夫だろうか……

「あっ、ルージュだ! おーい!」

突然、右側から聲を掛けられる。

橫を見てみると……

「おっ、セレナ! 無事だったか!」

セレナだった。

ところどころ汚れている場所があるので、セレナも教師と戦闘したのだろう。

「なんだ、知り合いか?」

「あぁ、俺の友達のセレナだ」

「せ、セレナです…」

セレナがオロオロしながらソーマに挨拶をする。

ソーマは直ぐにセレナから目を逸らし……

「お仲間が來たんならもうお守りは必要ねぇな」

と言って校舎がある方向へ走って行った。

お守りって……

「とにかく、無事で良かった。 ………ん?」

もう一度セレナの方を見ると。

セレナの後ろにもう1人誰かがいる事に気づいた。

「えっと…セレナ、その人は?」

「あっ、この人はね!」

「フィリアよ」

フィリア。 とそう名乗った長い銀髪を持つ

「フィリアか、俺はルージュだ。 よろしくな」

「ふん…別に、仲良くするつもりはないわ」

フィリアは俺から顔を背けた。

えぇ……初対面でこの対応かよ…

「ちょ、ちょっとフィリア……なんでそんなに冷たいのさ…」

セレナがフィリアの肩を揺らしながら尋ねると……

「私、男の人嫌いなのよ。 だから仲良くするつもりはないわ」

「えっ、そうなの⁉︎」

セレナがビックリしている、俺だってビックリだ。

セレナとは普通に會話してるし、男嫌いなのは本當なのだろう。

「わ、分かったよ。 んじゃ、そろそろ校舎に行くか」

「うん。 ルージュ、ごめんね? フィリアは悪い子じゃないから……」

セレナが申し訳なさそうに言ってくる。

どうやら俺の機嫌が悪くなったと思ったらしい。

「あぁ、大丈夫だよ。 気にしてないから」

そう言って俺は走り出す。

俺の後ろをセレナとフィリアが並んでついて來ている。

「ねぇ、ルージュは先生とは戦ったんだよね?」

「あぁ、1人は魔師の先生で、もう1人は……ほら、あのダルそうに試験の説明をしてたグレン先生だ」

「あの強そうな先生⁉︎ あの人に勝ったの⁉︎」

セレナが驚いた聲で聞いてくる。 見ればフィリアも驚いた顔をしている。

「いや…勝ったが、倒した訳じゃない。 

グレン先生が「俺に攻撃を1発當てたら勝ちでいいぞ」って言われたから、さっき一緒にいたソーマって奴と協力して攻撃を當てたんだ。」

「そんなに強かったの…?」

「あぁ、めちゃくちゃ強かった。 多分、この學園の教師達は皆強いだろうな。 セレナ達の所はどうだったんだ?」

俺とセレナの會話を、フィリアは黙って聞いている。

黙ってないで混ざればいいのに……

「私達の方はね、魔師ので、最初は私1人で戦ってたんだけど……、その人が強くてね、負けそうになったの」

「えっ…本當か?」

「うん。 でもね、負けそうになった時にフィリアが來てくれたんだ。 そしてそこからは2人で協力して倒したの」

マジか…セレナも危なかったんだな…

フィリアが助けなかったらセレナは不合格だったって事か。

「フィリア」

「…………何よ」

絶対に聞こえてたはずなのに遅れて返事をしたのは、きっと嫌がらせだろう。

だが今はそんな嫌がらせに文句を言うつもりはない。

「セレナを助けてくれてありがとな」

「なんであなたがそんな事言うのよ…」

「セレナは友達だからな、その友達が助けられたんだから、そりゃ謝するだろ」

「……………」

それきり、フィリアは喋らなくなった。

俺としてもフィリアとはたいして話すこともないので、無言で走り出す。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「やっとついたね!」

俺達の目の前には剣魔導學園の校舎り口がある。

あれから數十分走り続けてやっと辿り著いたのだ。

「あぁ、だけど…」

「まだ安心しちゃダメよセレナ。 校舎には教師が潛んでる可能があるわ」

俺が言おうとした事をフィリアに先に言われてしまった。

こいつ、セレナと話す時はハキハキ喋るんだな。

「そういう事だ。 だから校舎にったら常に周りを警戒しながら進もう。」

「分かった!」

「……………」

フィリアは何も言わないが、きっと了承してくれただろう。

「よし、んじゃるぞ。 目指す場所は……あれ? どこだっけ?」

「はぁ……西棟3階の第1試験會場よ」

「あっ、そうだった。 ありがとな」

「……………」

「無視ですか、そーですか」

「ははは……」

俺とフィリアのやり取りを見てセレナが苦笑いをする。

それにしてもフィリアとは會話が続かない。 まぁ男が嫌いなんだから當たり前か。

「西棟って、どこに行けば良いのかな…」

「多分…」

「多分校舎の中に見取り図がある筈よ。 まずはそれをさがしましょう」

「なぁ、お前ワザと俺を喋らせないようにしてるだろ」

「……………」

「また無視か!」

「まぁまぁ…」

フィリアは尚も無言で校舎の中を見回し、セレナはずっと苦笑いをしている。

俺も流石に諦め、校舎の中を歩き出す。

「ルージュ? どこ行くの?」

「見取り図を見に行くんだ」

「えっ、場所分かるの⁉︎」

「んー……半分は勘だけどな」

俺が通っていた小・中・高の學校は、全て職員室の隣に見取り図が置いてあった。

そして職員室があるのは、基本的に校舎のり口から真っ直ぐ進んだ所に……

「おっ、あった」

「本當にあった!」

「ふーん…」

思った通り、見取り図を発見する事が出來た。

だが……

「なんだこれ…広すぎだろ…」

見取り図は、思った以上に大きかったのだ。

高さは大人の平均長よりも高く、幅は俺が3人寢転んでも足りない程だ。

「これじゃ西棟を探すのに時間がかかるぞ…」

「どうしよう……」

だが、仕方がない。 時間がかかるかもしれないが、探すしかないのだ。

アテもなく校舎を彷徨うよりはマシだ。

「よし、んじゃ……」

「あっ」

俺が「よし、んじゃ探すか」と言おうとしたらまたフィリアに遮られた。

「またかフィリア。 あのな、今は嫌がらせしてる場合じゃ……」

「第1試験會場……あったわよ」

……………え? 

「ほ、本當か⁉︎」

「あれでしょう?」

フィリアが指を指した場所を見る。

高い所に書いてあるが、そこにはちゃんと「第1試験會場」と書いてあった。

「書いてある…! ナイスだフィリア!」

「ふ、ふん…」

俺が素直に褒めるとフィリアは目を逸らした。

「すごいねフィリア! 全然分からなかったよ!」

「ふふ…ありがとうセレナ」

何この差、セレナには素直にお禮を言うんだな。

「ま、まぁ。 とにかく目的地は分かったし、忘れないに急ごうぜ!」

「おー!」

「……………」

俺達は最後にもう一度見取り図を見て、校舎を歩き出した。

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