《2度目の人生を、楽しく生きる》33話 「合格者達」

「降參だ、君達の勝ちでいいよ」

「………は?」

思わずそう答えてしまった。

え、降參? 意味が分からない。

そりゃカインは傷を負っているが、まだ全然けるはずだ、なのに何故……

「この試験はね、君達の能力を見る試験だったんだ」

「能力? あなたを倒すのが試験じゃなかったんですか?」

セレナがカインに問う、先程俺達はカインに「あなたを倒すのが第二試験ですか?」と言ったらカインは、「そうだよ」と言った。

「まぁ、倒すつもりで來てもらわなきゃ意味がないしね」

「能力…とは、なんですか?」

今度はフィリアが問う。

カインはニコニコしながら答えた。

「連攜、魔、剣、戦、狀況把握能力だよ」

「……………」

「第一試験はね、言ってしまえば個人の実力を測る試験だったんだよ。 そして第二試験は、団でどれだけ実力を発揮出來るかの試験なんだ」

なるほど、確かに個人で強くても団で力を発揮出來なきゃ意味がない。

だが……

「でも…それならもし私達みたいに3人で來ないで、1人で來た場合はどうなるんですか?」

セレナが俺が聞こうと思っていた事を言う。

カインは笑顔を崩さずに答える。

「その場合は筆記試験をけてもらう事になってるよ、知能も大事だからね」

なるほどな、思った以上に計算されていた。

流石としか言いようがない、ただの學試験でここまでやるか? 普通。

「って事で、見事君達は第二試験合格だよ! おめでとう!」

「……次は第三試験とか言いませんよね?」

「…………」

俺がカインに聞くとカインは無表になり黙る。

え、 噓だろ? まだ試験続くの?

「冗談だよ冗談、だからそんな不安そうな顔しないで、さっきも言っただろ? 第二試験を合格すれば學だよって」

「焦らせないでくださいよ…」

「ははは、ゴメンゴメン」

まじで焦った、セレナとフィリアも口には出してないが安心した表をしている。

「じゃあ、君達を控え室に案するからついて來てね」

俺達は剣を鞘に戻し、カインの後ろを歩き始めた。

カインが向かった先は……第一試験會場と書いてある教室だ。

俺達もるが、周りには何もない。

「あの、カイン先生? これは…」

「大丈夫、すぐに移するから」

俺の言葉を遮って、カインは地面に手をつく。

そのまま目を閉じ、何かブツブツと言っている。

なんだ? 不安になって來た、逃げるべきか?

そう思っていると、急に地面がりだした。

「なっ⁉︎」

「集団転移テレポート」

カインが言った瞬間、俺達はに包まれた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…………」

次に俺が目を開けると、目の前に壁があった。

「ルージュ、こっちだよ、後ろ向いて」

後ろからセレナの聲が聞こえたので、振り返ると……

そこには沢山の人が居た。 全員こちらを見ている。

こいつらが全員合格者か……50人は居そうだな。

俺達が今いる部屋はかなり広く、端の方に椅子が重ねて置かれている。

自由に椅子を持っていって座れって事か。

俺がキョロキョロと部屋を見回していると、聞いたことのある聲が聞こえて來た。

「ルージュ? ルージュじゃないか!」

その聲の方向を見ると、直ぐに分かった。

お前も無事合格してたのか。

「久しぶりだな、クリス」

「あぁ! お互い無事合格出來てよかったよ!」

俺とクリスが會話をしていると、セレナが不思議そうにこっちを見ている事に気がついた。

俺はセレナにクリスを紹介する事にした。

「紹介するよ、コイツはクリスだ、出會った経緯は……アリスと一緒だ」

流石にこんなに人數がいる中で奴隷商人というワードは出せない。

セレナもそれで察したらしく、クリスをジッと見る。

「セレフィーナ・エゼルミアです。 ルージュと一緒の村出です」

「クリスだ、よろしくな」

お互い堅苦しい自己紹介だ。

俺は周りを見ると、いつの間にかフィリアが居なくなっている事に気がついた。

「あれ…どこ行ったんだ?」

部屋中を見回すと、見つけた。

フィリアは1人で椅子に座って居た。

フィリアの周りには何故か人が居なかったので、直ぐに見つけることが出來た。

俺は椅子を持って行き、フィリアの橫に座る。

「………何よ」

「いや、なんで1人で居るんだ? セレナと話さないのか?」

「別に…話す事なんてないじゃない」

「でも1人で居るよりはマシじゃないのか?」

「1人の方が楽だから、無駄に気を使わなくていいし」

フィリアはさっきから機嫌が悪そうにしている、そのせいで人が寄り付いてないのだ。

俺は頭を掻きながら話す。

「そんなんじゃ友達出來ないぞ?」

「友達なんていらないわ」

それは、俺とは真逆の考えだった。

俺はずっと友達がほしいと思っていたが、フィリアはそれをいらないと言った。

俺には意味が分からなかった。

そりゃ一人一人考え方が違うのは分かる。

だが何故か……俺にはそれがフィリアの本心だとは思えなかった。

「…理由を聞いてもいいか?」

「嫌よ、話したくない。 いいからもう私に構わないで」

「でも…」

「……………」

それきり、  フィリアは何も答えなくなった。

んー……仲良くなったと思ったんだけどなぁ…

俺はフィリアに一言「またな」と言うと、セレナ達の元へ戻った。

「あ、ルージュ、フィリアと何話してたの?」

「ん? あぁ、試験お疲れって言ってきたよ」

「あ、私も言ってこよ!」

「あっ、ちょっ…」

俺が止めるより先に、セレナはフィリアの元へ向かっていった。

まずいな、これじゃあ俺がセレナを行かせたと思われるじゃんか……

………スマンなフィリア。

苦笑いしながらセレナと話しているフィリアを見ながら、俺は心の中で謝った。

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