《2度目の人生を、楽しく生きる》36話 「學式の前のお散歩」

窓の外から鳥の鳴き聲が聞こえる、布団を被っていても分かる。

朝が來たんだ。

もう1つのベッドからガサゴソと言う音が聞こえる。 セレナが起きたんだろう。

「ルージュ、朝だよ、起き……」

セレナが俺を起こそうと聲をかける、だが俺はセレナが言葉を言い終える前にを起こした。

「……起きてるよ」

「うわっ! びっくりした〜。 珍しいね、いつもは起きるの私より遅いのに」

そう、俺は朝起きるのが苦手だ、布団から出たくない、二度寢したいといつも思っている。

だが今日は違う。 寢たいのに寢れなかったのだ。

小學生の時、遠足の前の日はワクワクして眠れないだろう。 アレだ。

「セレナはよく寢れたか?」

「うん! 今日は學式だからね、いつもより早く寢たよ!」

「そうか…寢れたのか…」

「まさか…ルージュ…?」

セレナは察したのだろう、不安そうな表になる。

「そのまさかだよ、寢れなかった」

「何してるのさ……もう準備しなきゃなのに」

「このままで行くよ、眠気ぐらいなんとかなるだろ…」

正直に言うと、かなり眠い。 

こんなに眠いのにいざ寢ようと思うと眠れないんだ、地獄だろ。

眠いせいかいつもよりテンションが低い。

「本當に大丈夫?」

「大丈夫大丈夫…心配ないって。 さ、早く準備しようぜ」

「うん…」

無理やりかし、ベッドから出る。

そして俺とセレナは自分の荷をまとめ始めた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「セレナ〜、忘れはないよな?」

「うん、大丈夫!」

「よし、んじゃ鍵しめるぞ」

著替えやら大切なれたカバンを背負い、部屋から出る。

もうこの部屋には戻ってこない、今日からは學園の寮に泊まる事になっている。

部屋の鍵を閉め、一階のロビーに行き、鍵を返卻し外に出た。

「集合は8時だったよな」

「うん、今は6時だから、ゆっくり行っても間に合うね」

俺達が泊まっていた宿から剣魔學園はそう遠くはないのだ。

昨日は人に聞きながらだった為1時間くらいかかったが、本來は30分で著く距離だった。

なので俺達はゆっくりと剣魔學園へ向かって歩き出した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ねぇねぇルージュ、剣魔學園にはどんな人が居ると思う?」

「またその話か? もう何回目だよ、ドーラ村にいた時に散々話しただろ?」

「話したけど! 実際に昨日自分の眼で見てどう思ったのか聞きたいの!」

「なるほどな、んーと……」

俺は昨日の事を思い出す。

教師達との戦闘、アリスとクリスという友、そして一時的だが共闘したフィリアとソーマ………

ドーラ村にいた時にこの話題を振られた時、いつも俺はこう答えていた。

『優しい人達だといいな』

ドーラ村にいた時は、”どんな格の人達か”を考えていたが、今はそう答える気はない。

「強い奴らがいっぱい居ると思う」

同世代で俺が知ってるのは、セレナ、アリス、クリス、フィリア、ソーマの5人だ。 

この5人だけでもかなり強い。 

だが剣魔學園の教師達は俺達よりもずっと実力は上だった。

その教師達から直々に剣や魔を教えてもらうんだ、強くならないわけがないだろう。

「そうだね、楽しみだね!」

「あぁ、楽しみだ」

そんな話をして居ると、剣魔學園が見えてきた。

やっとだ、やっと學園生活が始まる。

「剣魔學園、とうちゃーく!」

セレナが笑顔で言う。

「元気だな…」

「だって學式だよ⁉︎ 初めての事ってワクワクするじゃない!」

「まぁ…そうだな」

この世界に來てからは初めての事ばかりだったからな。

いきなり子供になり、いきなり魔法見せられ、本の剣を見せられ、この世界が異世界だと知り、俺は転生したのだと知り、魔や剣を學び……

全てに驚いたが、同時にワクワクもしていたのは事実だ。

「でしょ? まだ時間あるけど、どうする?」

學園の時計を見ると、今は6時30分だった。 まだ集合の時間までまだまだ時間がある、どうするか……

「んー……」

「あら? セレナじゃない」

突然後ろから聲をかけられ、俺とセレナは振り向く。

するとそこに居たのは……

「フィリア!」

「昨日ぶりね」

そう、フィリアだった。フィリアも今來たばかりなのだろう、背中にバックを背負っている。

「ようフィリア、おはよう」

「……………」

フィリアは當然のように俺を無視……する訳ではなく、フィリアは俺の顔をジッと見ている。

「……どうした?」

「……あなた、寢不足でしょう」

「えっ⁉︎」

「わっ、凄いねフィリア! なんでルージュが寢不足って分かったの?」

「明らかに元気がないもの、どうせ今日が楽しみで眠れなかったんでしょう?」

「うぐっ……」

俺の反応を見てフィリアはクスッと笑い……

「大人ぶってるようだけど、は子供なのね」

これは……完全に馬鹿にされている。

セレナもセレナでクスクスと笑っている。

「セレナは……よく眠れたようね」

「凄いねフィリア、よく分かったね!」

「だって昨日より元気だもの」

それにしてもフィリアは本當にセレナと話している時はよく笑うな。 俺と話している時は全然笑わないのに……

やっぱり相當男が嫌いなんだろうな。

「あ、そうだフィリア! まだ學式までまだまだ時間があるけど、それまで暇?」

「えぇ…、別にする事はないけど…」

「じゃあさ! 私達3人でお散歩しようよ」

「お散歩? 私は別にいいわよ」

「やった! ルージュは?」

「俺も別にいいぞ、暇だしな」

「じゃあ、しゅっぱーつ!」

満面の笑顔でセレナが歩き出し、俺とフィリアはそれに続いて歩き出した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「お花畑だよ! 學校の中にお花畑があるよ!」

今俺達は學園の花畑に來ている、花畑には赤青黃など様々なの花が咲いている、だが、日本に咲いている花は見たところ無かった。

「昨日はよく見れなかったけど、結構広い花畑なんだな」

「綺麗なお花ばっかりだね!」

「そうね、よく手れされているわ」

「次はどこに行くんだ?」

「えっとねー、なんか売店もあるみたいだから、そこに行こう!」

「服とかも売ってるらしいわよ」

「學園に服屋⁉︎」

なんだそれは……まるでこの學園が1つの街みたいじゃないか。

「じゃあお店にレッツゴー!」

またもや元気にセレナが歩き出したので、ついていった。

売店エリアは花畑から10分くらい離れた場所

にあった。 

というかこれは売店と言っていいのだろうか

……

「……店多すぎだろ」

そこは商店街と言ってもいいような程、大量の店があった。

直線の道の左右に店が沢山並んでいる、売っているものは様々で、食品、布、服、家、小などいろいろあった。

「これは…さすがに予想外だったわ…」

フィリアも驚いている。

だが1人、目をキラキラさせている奴がいた。

「わぁー! 凄い凄い! いろいろ売ってるよ!」

ただ1人、セレナだけは楽しそうにキョロキョロと周りを見ていた。

「ねぇねぇ! せっかくだからしばらくここに居ようよ!」

どうやらセレナはこの場所が気にったらしい、斷る理由もないので頷いておいた。

フィリアも同じく頷いていた。

そしてセレナは小を見に、フィリアは服を見に、俺は布を見に行った。

「ほー、布っていろいろあるんだなぁ〜」

俺は1人で布を見ていた、せっかくならいい布を使って気持ちよく睡眠したい。

だから俺は布はよく考えて決めたいのだ。

「ほぅ…コレはりがいい…コッチは保溫が高いのか、うーん迷うな…」

布を見に來てから隨分時間が経っているが、まだ決まらない。

だが焦ってはいけない、時間がないから仕方なく買うというのは納得がいかない。

選ぶならちゃんと選ばなければ…!

「……ちょっと!」

さて、りを取るか保溫を取るかだ。

「聞いてるの?」

気持ちよく眠るにはりはもちろん大切だ。

「ねぇ!」

だが暖かくなければ布の意味がない。 

難しいところだな……

「いい加減に気づきなさい!」

「いてぇっ!」

突然脇腹を毆られた。 

俺は何が起きたか分からず、ただただ脇腹を抑えていた。

「ねぇ」

背後から聲が聞こえ、俺は振り向いた。 

そこにはフィリアがいた。

「あれ、フィリア? どうした?」

「さっきから呼んでたのに……、それよりも大変よ」

「なんだ?」

「セレナが居ないのよ」

「………は⁉︎」

「さっき小屋に行ったんだけど、セレナは居なかったのよ」

セレナが居ない…? 拐か? いや、學園でそんな大膽な事は出來るわけがない。

「それで、店員に聞いてみたのよ」

「ん? あぁ」

「そしたら、金髪のの子と、茶髪の男の子と一緒に店を出たらしいわ」

「……………んん?」

金髪のの子と茶髪の男の子……俺の知り合いだとあいつらしかいない。

アリスとクリスだ。

「ど、どうしましょう、拐とかだったら……」

フィリアは珍しくオロオロしている、そうか、フィリアはクリス達を知らないもんな。

「安心しろ、その2人は俺とセレナの友達だ」

「友達…?」

「あぁ、アリスとクリスっていう奴らだよ」

「な、なんだ…そうなの…」

フィリアは分かりやすいほど安心した表をしていた。

……………ん? 待てよ…?

「あれ…? セレナが居ないって事は…俺たちどうするんだ?」

「あ…………」

……………気まずい

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