《2度目の人生を、楽しく生きる》38話 「張しまくりの自己紹介」

「おぉ! 5人共二組か!」

「すごい偶然だね!」

俺達は今クラスが書いてある紙の前で話している。

まさか同じクラスになるとは思わなかった。 話す相手が居るか居ないかで學校生活は大きく変わるからな。

「早速行きましょう!」

アリスのその言葉を合図に、俺達は一年二組がある教室へと向かった。

剣魔學園は初等部、中等部、高等部がある。 今俺達が居るのは初等部校舎と言われているらしく、他に中等部校舎、高等部校舎があるらしい。

別々に校舎があるなんて、つくづく凄いなと思わされる。

ちなみに一年生の教室は一階にある。

紙がってあったのが玄関の前で、そこから歩いて1分程で、教室が見えてきた。

「うわー…なんか懐かしいな」

學校にいい思い出はないが、やっぱり懐かしいは懐かしい。

しかも何故か剣魔學園は日本の學校に良く似てるんだ。

「何が懐かしいの?」

「い、いや、なんでもない」

セレナの質問を流し、早速俺は教室にった。

教室へる扉は橫にスライドする扉で、こういう所も懐かしい。

「うわー! 椅子とテーブルがいっぱいあるよルージュ!」

セレナが椅子と機を指差しながら笑顔で言う。

まぁ初見だとこうなるのかな? しかも機を知らないのか、テーブルって言ってるし。

っていうか意外と人多いな。

「あれは機って言うのよ」

「機と椅子は木から作るらしいですよ!」

フィリアとアリスがセレナに機と椅子の事を教えている。

あの2人が知っているって事は、ただ単にセレナが知らなかっただけか。

「僕達は何処に座ればいいんだろうか」

「適當で良いんじゃないか? とりあえず5個空いてる機を探そう」

あの3人が話している間に、俺とクリスは皆が座る席を探し始めた。

流石にバラバラに座るのは嫌だ、5個纏まって空いている所は……

「あ、そこあいてるんじゃないか?」

クリスが指を指した場所は、窓際の後ろ側の席だ。

クラスに居るほとんどの奴らは座って居るので、あいて居る場所がすぐ分かる。

そしてクリスが言った場所は確かに機が空いていた。 しかも5個纏まっている。

「ナイスだクリス! あそこにしよう」

「そうだな」

俺は窓際の1番後ろに座り、クリスは俺の前の席にに座った。

「このクラス、人多いよな」

「そうか? 僕はよく分からないが、一年生は一クラス50人の6クラスらしいぞ 」

「6クラス⁉︎ 50人⁉︎ 多いな」

俺がいた學校は確か30人の3クラスだったはずだ。 それと比べるとやっぱり多いな。

とりあえずクラスを見回してみた。 まだ全員は集まってないみたいだが、やっぱり多かった。

そいつらは読書をしていたり、俺たちのように話していたりと、様々な奴がいた。

これだけ見ると日本とあまり変わらないが、機の橫に剣や杖を立て掛けていたり、髪のがいろいろな人が居て、それだけで異世界が増す。

「お、ルージュ。 セレナ達が戻ってきたぞ」

さっきまで口の前で々話していた三人が戻ってきた。

「席取っててくれたんだ! ありがとね!」

「おう、好きな所に座れよ」

「うん!」

セレナは俺の隣に、アリスはクリスの隣に、フィリアはセレナの隣に座った。

「よーし、後はのんびり話でもしてるか」

「そうですね」

俺達は席に座り、雑談を始めた。

雑談の途中にも人がたくさんってきて、クラスに人が増えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あ、もう8時になりましたよ」

アリスが腕につけているを見て、俺らに時間を伝えてくれた。

あれは腕時計か? この世界にもあるんだな。

もうクラスに空いている席は無く、50人全員が來たらしい。

って事はこいつらが今日から俺のクラスメイトか……仲良くしよう。

「この後の流れってどんなじなんだ?」

俺がそう聞くと、アリスが答えてくれた。

「えっと…まずは擔任の発表、そして自己紹介ですね」

「タンニン? ねぇフィリア、タンニンって何?」

「はぁ…擔任っていうのはね…」

フィリアとセレナがそんな事を話している中、俺は震えていた。

じ、自己紹介…?

「おい、ルージュどうした?」

「震えてますけど…大丈夫ですか?」

「じ、じこっ、自己紹介……」

自己紹介には良い思い出が無い。

小學校の6年間、中學校の3年間、そして高校一年生、1度も自己紹介がうまくいった事は無かった。

噛んだり、名前を間違えたり、吃ったり、聲が小さかったりと、々トラウマがあるんだ。

「おい、本當に大丈夫か?」

「お水飲みますか? 私持ってますよ」

アリスが自分のカバンから水筒を取り出そうとするが、俺はそれを手で制した。

「い、いやいい。 ちょっと嫌な事を思い出しただけだから…」

「そうですか…」

自己紹介……自己紹介か。 今のに何を話すか決めておけば問題ないよな。

そうすればパニックになる事もないし、よし、それで行こう。

「よしっ! もう大丈夫だ」

ガラララッ! と音がして、前を見ると、そこには1人のが立っていた。

あの人が擔任か? 年は……20代後半くらいか。

髪は緑、は……デカイな。

凜々しくてカッコいい系のだ。

その人は機に持っていたを置くと、俺達を見て言った。

「このクラスの擔任になった。 私の名前はモーナだ。 以上」

……………え、終わり? 

早くね? もっとこう……何かあるんじゃないの? 趣味とか特技とかさ……

「ではこれからお前らに自己紹介をしてもらおう、フルネームでな。 まず窓側からだ」

窓側⁉︎ 噓だろ⁉︎ 

このクラスは部屋が広く、縦に5人、それが橫に10列並んでいる。

という事は、だ……俺は5番目って事だ。

「…最悪だ…」

淡々と自己紹介が進んでいき、次はクリスの番だ。

クリスは前まで歩いていき、皆の方を見る。

「あー…僕の名前は、クリス・フォードだ。 得意なものは魔だ。 よろしく頼む」

そう言って頭を下げた。 

クリスの本名、初めて聞いたな。 しかもなんだあの完璧な自己紹介は! 羨ましい!

クリスが席に戻り、ついに俺の番が來た。

俺は重い足を引きずりながら、皆の前に立った。

うっわ…このじ懐かしいな、皆が俺を見るこの

「あー…えっと……」

さっき考えた自己紹介は……あれ? なんだっけ……あれ⁉︎

さっき々考えただろ俺! なんで忘れんだよ!

「どうした? 早くしろ」

「はっ、はい!」

モーナに急かされ、下を向いていた顔を上げる。

うわ……クリスとアリスが心配してるかおをしてる。 セレナは首を傾げて不思議そうにしている。

フィリアに至っては下を向いていて、俺を見てない。 ……ん? 小刻みにフィリアの肩が震えてる…

……おい、まさか笑ってんじゃないだろうな。

しは落ち著いて來た。 よし、もうこの際アドリブでいこう。 俺ならいける、頑張れ俺!

「どっ、どうも! リュージュ・アリュカッ…………」

か、噛んだ……? 今噛んだのか? 

やばいぞ、めちゃくちゃ恥ずかしい。

笑ってる奴もいるし……フィリアに関しては機に突っ伏している。 が震えてるから完全に笑ってるなあれ。

「ふぅ……ルージュ・アルカディアです。 得意なは魔、苦手なは剣です。 よろしくお願いします」

よし、功だ! 俺は小さくガッツポーズをして、席に戻った。

そしてすぐに突っ伏した。

「ルージュ、気にするな」

「ど、ドンマイです!」

「ルージュって自己紹介苦手なの?」

それぞれが聲をかけてくる。

何気にセレナのが1番傷つくな。

それからもどんどん自己紹介は進んでいった。

「あ、私の番ですね。 行ってきます」

「頑張れよー」

アリスは皆の前に立ち、スカートの両端を持ち、お辭儀をする。

うわ、何だあれ。 お嬢様がやるようなお辭儀をだな。

「初めまして。 私はアリスと言います。

 家名は事があり、皆さんに教える事は出來ません。

 得意なものは剣と魔です。

よろしくお願いしますね」

最後にまたお辭儀をして、席に戻ってきた。

……なんだろうか、ここまで上品って言葉が似合う奴はそうそういないだろう。

しかもアリスはめっちゃ可い、クラス中の男子共はアリスが席に戻ってからもアリスの方を見ている。

というか、家名が明かせないってどういう事だろうか、何か事があるのか?

「次は私だね」

そう、次はセレナの番だ。 

セレナはやる気だが、やっぱり心配だな。

セレナは前に立ち、笑顔で言った。

「初めまして! セレフィーナ・エゼルミアです。 得意なものは魔です。 仲良くしてくださいっ!」

セレナは最後に、アリスとは違う、一般のお辭儀をして、席に戻ってきた。

セレナが戻る時も男子共はセレナをずっと見ていた。

まぁセレナもめっちゃ可いからな。

「はぁー張した」

セレナは自分のに手を當てて息を吐いた。

凄いな、完璧な自己紹介だったぞ……

セレナはこんな大勢の前で自己紹介を功させたのに、俺はなんだ、10回も自己紹介したはずなのに……

その後も進んでいき、フィリアの番になる。

フィリアは皆の前に立ち、まっすぐを見て言った。

「フィリア・ジュエル。 得意なものは剣。 以上です」

フィリアは最後にペコリとお辭儀をして帰ってきた。

うん、フィリアらしい自己紹介だな。

分かってはいたが、また男子共がフィリアを見ていた。

さて、これで俺達の自己紹介は終わりだな。

後はクラスメイトの自己紹介を聞いてるか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あれからもどんどん自己紹介は進んでいき、次は廊下側の番になった。

次に自己紹介する奴は……男か。 元気そうな奴だな。

………あれ? なんかあいつ俺を見てるな…なんだ?

「俺はザックだ! 家名は村の決まりで一人前にならないと名乗れないから言えない! 

得意なは武! 目標はこの學校で1番になる事‼︎ だから……」

ザックは銀髪のツンツンヘヤーだ。 見た目からして元気で明るそうな奴だな。

ザックは俺を指差して……え、俺?

「そこの……えっと…リュージュだっけか、お前強そうだから、まずはお前を倒す‼︎」

…………なにこれ、戦線布告ってやつか? 

強そうって思われてるのは嬉しい、嬉しいけど……

俺は立ち上がり、んだ。

「俺は! ルージュ・アルカディアだ‼︎‼︎‼︎」

その瞬間、フィリアがまた勢いよく機に突っ伏した。

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