――魔法をどう思うかって？

んーそうだなぁ……俺にとって

――憧れであり

――夢であり

――自分の一部であり、どこまでも褪あせることのない……

――世界いばしょなんだ。

＊＊＊

放課後の靜かな教室で、俺は機を教室の後ろへ運ぶ。

よし、全て後ろに運べた。意外と疲れるんだよな。最近は毎日運んでいるから、筋ついてきたかも。なーんてことはないか。

「今日も部活始めるか……」

といっても部員は俺、一人だけなんだけどね。俺が１年の頃、唯一居た３年の先輩は今はもう、卒業してしまっていない。

だから、この魔研究同好會は俺が何とかしないといけないんだけど、部希者はいまだ０人だ。見學者すら來ていない。けど、まぁ何とかなるよね。

高校生にもなって魔法を使いたい！　なんて馬鹿なんだろうか……。

高校２年生にもなって、本気で魔法に憧れているのが俺、堂間　夕裡どうまゆうりである。

現実ではありえないことができる空想上の力――それが魔法。そんなものに俺は魅せられた。いつからかは、忘れちゃったけど。

そして今日も活の一つで、趣味でもある魔法陣を現在進行形で描いている。

「よし、もう一息で完だな。ここに、これを描いて……うんっ、今日のはいつにもまして上手く描けてる」

さすがに、毎日描いているだけのことはあるか。つい、自畫自賛してしまった。はぁ……上手く描けたし、魔法の一つや二つ、発してくれてもいいのにね。

「あー、魔法のある世界に行きたーい」

そのとき、俺の目の前で、描き終えたばかりの魔法陣が、弱々しくり出す。そのは薄白く、今にも消えてしまいそうだが、そこには神々しさがあった。

は、外側から徐々に、魔法陣の幾何學模様をなぞるように中心へとり上がっていく。気づくと窓の外は暗く、隨分前に夕は沈んだようだ。

え、何が……もしかして、本當に発した？　俺の野の一つが葉うってこと？　うぉぉー！　よっしゃぁぁぁー！　魔法萬歳ぃー！

暗い教室中、魔法陣は今もり続けている。その景はどこか幻想的で、でも、いつもどこかで求め続けてきた、魔法ひかりのようだった。

數秒か、數分か、どのくらい時間が経ったのか分からないが、は魔法陣の中心へと辿り著く。そのときだった。

「うわっ！　眩しい！」

突如、魔法陣のが強さを増して、教室中を包み込む。魔法陣を直視することができない。

ん、が弱まって……

そうじたとき、俺の意識は遠くなり、何かに吸い込まれるような覚が襲う。

次第に、覚が消える。それと同時に俺は意識を落とした……。