「はっ！　やっ！　せいっ！」

俺は迫り來るお母さんの猛攻を何とか避けながら、こちらからも攻撃を仕掛ける。だが、お母さんはそれを飄々ひょうひょうと避けていく。

あたらない！　なら、こっちは……ここからなら……くっそー！　全然あたらない！

「右、左、右、上、下……よしっ、そうだ！　いいぞ、ユーリ！」

「はぁはぁ……ぜんぜん、おかあさんのうごきがよめない」

本當に何でこんなきができるんだろう？

「ユーリ。きを読むのではなく、相手をかすんだ」

「うーん、わかった。がんばる」

相手をかす……かす……かす……んー、とりあえずやれるだけやるしかない！

「こい！　ユーリ」

俺は頷き、お母さんに向けて構える。息を整え、まず正面に狙いをつけて走り出す。もちろん、それだけではお母さんにカウンターを食らうだけなので、お母さんの間合いにる直前に右に方向転換する。

先ほどまで俺がいた所にはお母さんの腳があった。俺は意識を戻し、側面から攻めることにする。

軽く飛び、上段蹴りをする。しかし、お母さんは勢を直ぐに戻すと、し下がり蹴りを避けた。俺はすぐさま、攻撃を拳に変える。右、左と互に打ちつけるが全ていなされる。

俺は著地し、一度距離をとる。

隙がない……うーん……なら！

俺はクラウチングスタートで走り出す。ギアを２段階上げ、勢いをつけてお母さんに拳を突き出すように飛ぶ。

「スピードはあるが、きがまるわかりだぞ」

お母さんは左足を引き、半を下げて避ける。

ここで終わる俺ではない。俺はお母さんとすれ違いざまに魔力を現化させる。背中から溢れ出る蒼いをした魔力は、俺の意思に従いお母さんのもとへ何本ものロープのようになってびていく。

ロープのようになった魔力はお母さんの腕やにクルクルと巻きついて離さない。

「ん？」

俺は巻きつけた魔力を再びの中にしまい込むように引き戻す。お母さんは引き戻される勢いで前に重心が崩れ、一歩足が前に出る。俺は魔力を引き戻した反を使い、空中で無理やりをかすと、ボレーシュートの勢をつくる。

お母さんと俺のが近づく。このままいけば俺の腳がお母さんにあたるはずだ。そう、かないなら無理やりかす作戦だ。意味が違うんじゃないかと思うが気にしない。

――あたれ！

あ、勢いが足りたない……。

俺はそのままお母さんに飛び込み、け止めれる。お姫様抱っこ狀態だ。

「ふふ、魔力を使ってはいけないとは言っていなかったな。し驚いたぞ。だが、し詰めが甘かったな」

「うっ……」

くそー、あとちょっとだったのに……。まぁ、魔力を組み込んで戦うのはありだってわかったしいいか。

「……それと、大きくなったな、ユーリ。ついこの間まで赤ん坊だったのになぁ。子供の長は早いものだ」

そうなのかな？　自分だとわからないよ。でも、毎日が楽しくてしょうがない！

「よし、武はここまでにするか」

「あれ？　けいこ、おわっちゃうの？」

「いや、今日は魔についてやろうと思ってな」

魔！　やったー！　ずっと武ばかりだったから、うずうずしてたんだ。

「なになに！　なにするの？」

「お、落ち著けユーリ。とりあえず一回降ろすぞ」

あ、そっか。今、抱っこされてる狀態だった。ちょっと懐かしいけど、やっぱり恥ずかしい……。

俺は心地よさと気恥ずかしさの中、ゆっくりと地面に足をつける。あらためて、自分がまだ子供だということをじるのであった。