ノベルバでの更新を忘れておりましたので、２話連続更新です……申し訳ありません！

中央塔から北にし離れたところに、警備兵の駐屯所がある。その地下にある牢獄に俺は來ていた。

隣にはセレーナとリリーはいない。代わりに市長書の男と、看守長の男がいる。

今朝、中央塔で魔皇教団についての対策會議が行われた。そこでの話の流れで、王を襲撃した盜賊たちから報を聞き出すことになった。

盜賊たちはこの牢獄に捕らえられている。

警備兵の人たちも取り調べはしたが、肝心なことは聞き出せなかったらしい。

あまりいいところではないため、セレーナとリリーは外で待ってもらっている。セレーナは付いていきたいと最後までごねていたが、この件が終わったら１日何でも言うことを聞くという約束で引き下がってくれた。

本當に何でも？　と聞かれたときは、思わず頷くのを躊躇ってしまった。まぁセレーナが笑顔だったからいいとしよう……。

牢獄はいくつかの部屋に分かれ、その全は薄暗くジメジメとしている。

看守長に続いて歩いていると、目的の牢屋に著く。

「ここです」

低く渋い聲で看守長は言う。

その牢屋には５人の男が両腕を縛られて投獄されていた。広くはない牢屋に無理矢理詰め込まれたようなじだ。

看守長に続いて現れた俺を見た１人の獄囚が、相を変えて怒り出す。

「貴様ッ！　よくも我々をこんな薄汚い所に！」

その男はキャロット郊外で、王様が乗っていた馬車を襲っていた盜賊の１人だ。殘りの４人も俺に気がつき顔を歪める。

５人は盜賊集団の中でもローブを著ていた魔師らしきグループのはずだ。魔法を使わせる前に捕まえたから、本當に魔師かわからないけど。

今はローブや杖を取り上げられて、シンプルな布の服姿だった。

「この者たちが魔皇教団と関わっていると疑いのある者たちです」

市長書が報告書を片手に淡々と述べる。

「それで、ユーリ様。本當に魔法で報を吐かせることができるのですか？　そんな魔法が存在するとは聞いたことがありませんが……」

聲を潛めて市長書は俺に話しかけてきた。やや疑っているような目で見ている。

報を吐かせるというとし語弊があるかもしれないが、結果的には同じことになるのは確かだ。

やり方は簡単。

質問をする。思念魔法を使う。相手の思考を読み取る、といったじだ。

思念魔法に長けた相手（アカネとか、師匠とか）なら簡単には読み取れないけど、俺の拘束魔法から逃れられないこの人たちなら簡単に読み取れるだろう。

萬が一上手く読み取れないときは、催眠魔法や々脅して聞き出すとしよう。

思念魔法が一番手間がかからないから、それで上手くいけばいいなという程度だ。

「大丈夫です。見ていてください」

俺がそう答えると、市長書は頷いて一歩下がる。

牢屋にもうし近づき、俺は盜賊たちに話しかけた。

「あなたたちは何者ですか？」

「ハッ！　貴様に言うわけがないだろう」

最初に突っかかってきた盜賊が馬鹿にするように言い捨てる。

だがしかし、言葉にせずともこっちにはわかっちゃうけどね。

俺は盜賊に向かって思念魔法を使う。

「“魔皇教団の下級信徒”」

「ッ！？」

わかりやすいほどに盜賊の表が驚きへと変わる。他の盜賊たちも警戒のが強くなった。

「目的は？」

「……」

次はだんまりを決め込むようだ。その目だけは俺をずっと睨んでいる。

「“伝道師様の命令で、キャロットに向かう王を乗せた馬車を襲って拐すること”」

「くッ！」

苦蟲を噛み潰したような表で盜賊は俺を見ていた。

拐が目的か。

「何故、拐を？」

「黙れッ！　先ほどからデタラメなことばかり言いよって」

「拐の目的までは聞かされてないんですね」

「うるさい！」

怒鳴った盜賊はそのまま怒りのままに牢の柵を毆りつける。その暴れた盜賊を他の盜賊が、もう無理だ、と言って止める。

「本當に報を吐かせる魔法が存在するなんて……」

市長書が驚いた聲で呟く。

「教団の拠點はどこですか？」

俺が問いかけると、盜賊たちから諦めの空気が漂った。答えなくともどうせわかるのだろう、と顔が言っている。

まぁその通りなんだけどね。

「魔皇教団の拠點がわかりました」

「どこですか？」

振り返った俺に、市長書は報告書に書き込んでいた手を止めて顔を上げる。

俺は盜賊たちが見ていた景、その地名を確かめるように思い起こして答えた。

「――西の大都市リーキです」

そこはこの國で王都を除き、一番大きな都市だった。

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