「俺は枝里香を庇って死んだんだ」

「その通り。で、人助けによってそのを投げ出しちゃって、本來の天命を全う出來なかった君に、ボクは第２の人生を授けちゃおう！」

神様、調子が出てきた様である。妙にハイになっている。こちとら死んだというのに。

「いやいや、第２の人生って。それなら、元の世界の元のに戻してくれればいーじゃんよ！」

「君の主張は尤もだけど、ミンチになったに魂れてもどうにもならないよ？レボリューションしないよ？」

「俺のミンチなのかよ……」

「それに、もう火葬も済んでるし、君は完全にあの世界では故人だ。だから別の世界に出向しちゃおう！ってなわけ」

「異世界召喚モノときたか……。いや、俺死んでるんだから、転生モノが正解か」

ラノベをかなり読み漁っていたせいか、拒絶反応のようなが湧いてこなかった。

「すんなり飲み込めてるんだね、狀況を。まぁ、なんと言われようが転生させるし、拒否権なんて無いんだからね。神と人間だし」

神様、暴。中には訳もわからず俺と同じようにここへ來て、転したまま転生までいっちまった人たちもいたんだろうな。合掌。

「無言は肯定とするよ？ざっくり、君のいた世界との違いを上げれば魔法を使えることだ。」

 魔法！　使ってみたい……。

「食い付きがいいね。大気中や地中、水中、あらゆる所にマナ粒子が存在しているんだ。そこに意識の力で介し、事象を発生・変換させるってわけ。自分のイメージをマナ粒子に再現させる、って方が伝わるかな？」

「なんとなーくだけどわかった」

「心配しなくても君は魔法を使えるよ。この空間で意識が覚醒し、僕と會話まで出來るんだ。意識の力、つまり魔法を扱う力はかなり上位と言えるだろうね。魔法の才能が無ければここには辿り著かないし、僕も転生させない。転生先が奴隷で、そのまま自殺なんてされたら堪らないからね。リスタートするんだから、ある程度のモノは持たせてあげないと、なんにも出來ないし、見てて楽しくない。もちろん個人差はあるけどね。転生先での行によっても上下はするし」

「魔法力が上位って言ったけど、ちゃんと人間の姿なんだよな？　嫌だよ、俺。魔力は強いですがエリートのゴブリンでした、とか」

「希があるなら融通はするけど、基本的には人間で固定されてるよ、転生先は」

「人間でお願いします！」

翔一は貞のまま死んでいた。初験は人間相手以外有り得ないし。そんな事があったかは定かではないが、即答であった。

「もう転生先は決定済みなんだけど……。とりあえず、金銭的に不憫な環境では無いはずだよ。最低限の生活は保証されるだろうね。それと君には、再生能力を授けているから、何度も人助けができるね。一定のラインを超えたところで無意識下でに２４時間前の狀態を上書きする、って形になる。アル・ヒールとでも唱えれば、周りの目から見ても問題は無いだろうね。使わないのが一番だけど」

「了解！　別も固定だよな！　よしじゃあ転生おーけーだ！いつでもカモン！！」

(ご飯を待たされる犬のようだね……)

「それじゃ、いってらっしゃい。妹によろしく頼むね」

「な、妹って、それどういうッ……」

年の姿が遠ざかり、世界が黒に戻っていく。聲が出ない。がかない。意識が途切れる。