《引きこもりLv.999の國づくり! ―最強ステータスで世界統一します―》トルフィンの部 【困ったことになりました】
トルフィンの視界で閃が瞬いた。
続いて、ゴゴゴゴ……とうねるような重低音が耳朶じだを刺激する。
近くで落雷が発生したらしい。
さっきまでの平穏な天候はどこへやら、突如、大雨の音までが聞こえてくる。
それだけではない。
なんの予兆もなしに、今度は強烈な震が発生した。
機や椅子などが、規則的に揺れ、そして倒れていく。トルフィンの前世でも何度かあった。相當大きめの地震だ。
「くっそ……」
思わずトルフィンはき聲をらす。
いきなり訪れた、この天変地異。
シュンやロニンでさえ、自在に天候を作することまではできないはずだ。
それを、熾天使ミュウと名乗るは軽々とやってのけた。
――神に逆らうと、こんなことになっちゃうんだからっ――
奴はさっき、確かにそう言った。
恐らく気にらなかったのだ。さきほどのトルフィンたちの発表が。だから対応策に打って出た。やっと安堵しかけていた人間たちを、さらなる絶に落とし込むべく、ミュウは圧倒的なまでの力を見せつけてきたのだ。
トルフィンたちは所詮、神の創り出した箱に生まれた玩に過ぎない。その玩が、親に勝てるわけがないと――無言で語ってきているようだった。
『うふふ。いい顔。苦しんでるね。いますぐ殺してあげ――』
『……ミュウ。何度言わせるのだ。私の命めいをもう忘れたのかね』
『もう、わかったわよぉ。本當は王子とか王とか、私の手で殺したかったんだけど……仕方ないか。あんたたちに任せるわ』
というやり取りを最後に、天使たちの會話は途切れた。
そして。
トルフィンは気づいた。
教室に、いつの間にか異質な気配が混じっていることに。
気合いを込め、顔を上げると、數名の天使たちがこちらに歩み寄ってきていることがわかった。
どうやらここに《ワープ》でもしてきたらしい。
奴らはみな勝ち誇ったような表を浮かべ、それぞれの武を高々と掲げている。こちらがけないと油斷しているようだが、殘念ながらその通りだ。トルフィンはここから一歩たりとて移することができない。
「ふふ……はははっ」
トルフィンは思わず乾いた笑みを浮かべた。
「こりゃあ……困るなぁ……お呼びでない方々はちょっと……」
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