神さまとの修行から一ヶ月たった。

…………確かにミルティスさんは一ヶ月の修業をするって言ってたけどさ。

普通に考えて一ヶ月って神界・・での一ヶ月だと思うよね。

これがまさかの勘違いだったようで。

ミルティスさんの言う一ヶ月って、地上・・での一ヶ月だったんだよね。

ここでこの世界での暦や時間を説明していこう。

一年は３３６日

一年は１２ヶ月

一ヶ月は２８日

１日は２４時間

１時間は６０分

１分は６０秒。

ここまでは、ほぼ地球と一緒である。

違う部分があるのは、月の読み方や、曜日の読み方である。

曜日はそれぞれ、

月曜日　＝　漆の日

火曜日　＝　紅の日

水曜日　＝　蒼の日

木曜日　＝　翠の日

金曜日　＝　葵の日

土曜日　＝　灰の日

日曜日　＝　橙の日

月はそれぞれ

一月 ＝焔の月

二月 ＝冰の月

三月 ＝天の月

四月 ＝聖の月

五月 ＝霆の月

六月 ＝の月

七月 ＝の月

八月 ＝の月

九月 ＝星の月

十月 ＝無の月

十一月　＝霧の月

十二月　＝狂の月

という風に、月や曜日は數字ではなくや魔法の屬の頭文字がつけられている。

まあ、それはさておくとして。

思い出してほしいのだが、前にミルティスさんはこの神界は地上での一秒が一週間になっていると言っていた。

俺が確認していないのが悪いのだが、ミルティスさんは地上での一ヶ月間を想定して俺を鍛えてくれるという。

地上での一ヶ月を神界の時間間隔に変換すると、約五年と二か月になる。

神界では魂の長のみで、には一切の長がみられない。

なので、太りもしなければ痩せもせず、長はびもせずみもしない。

からすれば楽園なのだろうが、俺からすればただの地獄である。

なにせ、飯を食わされず、ただひたすらにしごかれ続けるのだ。

鍛錬の仕方はいたって単純。

ミルティスさんが生み出す化け共を塵も殘さず殺しつくすというものである。

俺の勝利條件は化けを増し続けている裝置ミルティスさんを止めるというものだ。

しかし、この條件で修行してから約二年経っている。

二年だ。

二年間、いろいろな方法を試してきたが、そのどれもが失敗に終わった。

まさにクソゲーの鏡である。

ていうか本當にどうやって攻略すればいいんだよ。

時間が経つにつれて魔のレベルが上がり、一だけならなんとかなるものの、集団で來られると流石に相手にできない。

一応、奧の手は殘している。

え？　じゃあ奧の手を使えって？

いや、別に使ってもいいんだけどさ、どうなるかわからないんだよね。

なにせ俺も開発はしておいて使ったことが一切ないから、計算上での威力しかわかってないし、何が起こる変わらないんだよなぁ……。

だが、いい加減終わらせないと話が進まない。

…………………仕方ない、やるか。

「鬼が出るか蛇が出るか……」

一どんな魔法なのか、一言で言い表すのであればただ単純に、強すぎる弾といったところだろうか。

いや、発なんて生易しいものじゃない。

國を消し飛ばすことのできる程の核弾と言ったところか。

……もうそれ核弾じゃなくね？

ま、まあそんなことは置いておいて、なぜ俺がこれを二年間一度も使わなかったのか。

単純な話、強力過ぎる分、消費する魔力量も尋常ではないのだ。

いくら魔力量が∞だといっても、いったん発すればそれで終わりというような魔法ではなく、発してから消滅するまで魔力を消費し続けるという厄介な代なのである。

半分神であり、【ＭＰ回復上昇】のスキルがついているとはいえ、需要と供給のつり合いがなっていない。悪い意味で。

需要と供給が釣り合っていないということは、魔力を完全に使い切るということである。

そうなるとどうなるのかというと、ご察しの通り、俺は気絶する。

気絶すれば、周りにいる魔たちに襲われてＧＡＭＥＯＶＥＲである。

以上の理由から、使わなかったのである。

いや違うな。使わなかったのではなく、おいそれとは使えなかった、という方が正しいか。

ちなみにいうと、この魔法には無詠唱だとかなりの時間を使うので、詠唱を織りぜることによって発時間の短を図っている。

…………正直な話、かなり恥ずかしいのだが、四の五の言っていられない。

『全ての終結 それは無。

すべてのが行きつく先は

無たる終焉

終わりの果てには何もない

……終焉ゼロ』

そう唱え、前方の敵に向かって魔法を発した。

次の瞬間―――――

―――――視界が白に染まった。

＊

＊

＊

＊

＊

「！？」

突然じた巨大な魔力に私は緩めていた気を一気に引き締めた。

この魔力は、晃さん？

でも、これほどの魔力を使うところなんて見たことがない。

まず、この魔力量はちょっと、本気でシャレにならないのではないかしら……？

そう思い、私は急いで晃さんを探す。

………………いた！

私はすぐさま止めようと、最も発速度が速い魔法で、晃さんを攻撃しようとするが―――――

―――――視界が真っ白に染まった。

思うよりも先には勝手にいた。

反的に使用したのは、私たち神だけが使える防壁。

それでも、彼が放った魔法（？）による衝撃は防ぐことができなかった。

いったいどんな魔法を使えばここまでの威力が放てるのだろうか。

しばらくしてやっと目が利いてきたので、私は周りを見渡す。

目の前に広がっていたのは、真っ白な空間の中に、場違いの、真っ黒な球が浮いていた。

……あれは一……。

あれが何かを確認するために、私は晃さんを探す。

晃さんは先ほどの場所で気を失っているらしく、ピクリともかない。

あれほどの魔力を消費したのだから、當然と言えば當然だけれど…………。

「それにしても、本當に一瞬で消し飛びましたね」

私が作り出したモンスター達。

本來であれば、あそこまでの量を出現させるつもりはなかったのだが、晃さんがどんどん狩り盡していくのを見てつい調子に乗ってしまった。

反省はしているが後悔はしていない！

閑話休題それはともかくとして。

晃さんが放ったあの魔法。

もしこれが件の魔法・・・・であるとするならば、彼は無意識のに目覚めつつあるのかもしれない。

…………極神と並ぶ、いや、もしかすると極神を超える力を持った神、絶神王に…………。