下へ下へと下り進め、現在二七層。

ここまで來る途中に変わった事が何點かあった。

まずは、迷宮が広がった事である。

広がったと言っているが、デカくなったという訳ではない。

迷宮の幅や高さが、一層などに比べれば徐々に広がっていっているのだ。

最初はしずつだった為、気の所為だろうと二人は思っていたが、だんだんそれが目に見えて來る様になってきて、確信を得た。

そしてこの変化と共に、もう一つの変化も起きていた。

それは、魔が徐々に大きくなっているという事である。

魔自の大きさ。それに纏う煙がだんだん濃くなっていた。

そしてそれに伴い、魔が急激に強くなっていったのだ。

一撃で歪め倒す事が出來ていた重力をる魔法が、下に降りるにつれ一撃では効かなくなっていった。

一撃だけでは、右半だけが歪んだ狀態に、というじであった。

流石にエルもこれにはと、しずつ他の遠距離で使える魔法も使い出してきた。

ロタンも強くはないが使える遠距離の魔法を使って、魔を倒し始めた。

今まではエル一人で何とか出來たレベルだったが、そうにも行かなくなってきた。

つまりはそれ程までに魔のレベルが急に上がった訳である。

だが、それだけでエルとロタンがしだけだとしても、苦労するわけがない。

ということはつまり、この地上では中々いないまでに魔は上がっていたのである。

キラリの様に【鑑定】を使えればレベルが知れるのだが、エルとロタンには使えない。

いや、ロタンは使えたはずなのだが、昔よりも魔法が使えなくなった様に、【鑑定】含めるいくつかの能力も使えなくなっているのである。

なので今まで戦ってきた覚だけでの判斷なのだが、推定レベル１００以上。

この世界で言う、上位の魔レベルであるのだ。

いないと言う訳ではないが、中々いないレベルであった。

まぁ、アルの迷宮で考えると、一層に出て來るレベルではあるのだが。

それでも、他の冒険者であれば倒す事は難しいかも知れない。

複數のパーティーで挑む様なレベルだろう。

レイドボスとかそういう系統のボスであるのだろう。

なくとも二人で挑むものではない。

……そもそも二人で挑む様な迷宮では元々ないので、當たり前だとも言えるかも知れないが。

「エルよ」

何かを思ったのか、ロタンがエルに話しかけた。

エルは「なんなのですぅ〜？」といつも通りの聲で、聞き返した。

「この魔達、しおかしくないのだ？」

息を吸い、続けてロタンは言う。

「この魔から出て來る雰囲気にし心當たりが出てきたのだ」

「それはエルも思ったのぉ〜」

そう全ての知識を司るロタン。

この禍々しい雰囲気を持つのに出會った事があるエル。

この二人だからこそこの雰囲気の正に気付けたのだ。

ーーそれは、

「魔人が持つ雰囲気と同じなのだ」「魔人と同じ雰囲気をしてるのぉ〜」

そう、魔人が持つ獨獨の雰囲気。それがこの魔達が放っていたのだ。

ーーどう考えてもおかしい

魔と魔人には明確な差が存在する。

魔とは、に魔素を持った生。

生が歪んだ姿、それが魔と言う事である。

それに対して魔人とは、魔の中でも上位の存在。

魔素から生まれた者、魔の突然変異種、や魔獣から進化した者など誕生方法は様々で、知識を有し生能力を持つ者たちの総稱である。

大抵の場合、魔人となった者は、人型の姿をしている。

魔と魔人では、魔よりも何倍も魔人の方が強い。

何故なら、魔人の方が知識を持ちながら、使う事ができるから。

魔にももちろん知識はある。

だが、魔人の様にの魔素を放つ・・・・・・・・という事で、強さを表す様な知識を持ってはいないのだ。

それが魔素と魔人に存在する大きな差である。

だと言うのに、ここに出て來る魔は、魔人の様に人の姿をしていないのに、の魔素を外に放つと言う知識を得ているのだ。

それがエルとロタンがじた可笑しなことであった。

だが、この原因が起きている訳が分からない。

ロタンの知識を持ってでしても、この様な事は、どの世界にも、どの並行世界にも、どの過去にでも、起こり得なかった事なのだ。

ーーそして

二人は原因の分からぬまま、最下層となる三〇層まで辿り著いた。