《銀狼転生記~助けたと異世界放浪~》022 ~俺、森と戦います~
朝、森に降り注ぐと鳥のさえずりをじつつ、俺達は南の森のり口前に立っていた。
「さてと、こっから先が南の森。ロウはもちろん、俺やフィリでさえ足を踏みれたことはねえ」
『ん? 來たことねーのか?』
その質問に答えたのはフィリ。
「南の森危ない。実を取りにいったエルフ達、帰ってこなかった。だから皆近づかない」
……まじか。
結構ヤバい森じゃん。
大丈夫か?
『危険なら、フィリはここで待機してた方がいいんじゃねえのか?』
こっちの森《東の森》なら危険な魔獣もいないしな。
ガーさんもそれが良いと頷く。
だが、當の本人は。
「嫌。ロウと一緒がいい。私も行く。そう決めた」
バッサリと否定。
背中に乗りながら俺の首に手を回してホールドしてきた。
意地でも離れねえってか。(因みに、フィリが著する事には慣れた)
「おうおう。いつの間にそんなに懐かれたんだ?お熱いねぇ」
茶化すな!
ガーさんが顔に、にやけ面ずらをり付けて言う。
「そんな事より早く行く。進む」
そして、俺達は南の森へと足を踏みれた……。
◆◆◆◆
南の森、そこは一言で表すなら”ジャングル”だった。
生い茂る蔓植、辺りに立ち並ぶ木々によって空にあるはずの日のは差し込んでこない。
西の森と同じような、いや、もっとひどい。
この森特有の気候なのか、度が高く、頭上が木々によって茂って蓋のようになっている。
さしずめ、森の蒸し風呂といった所だ。
そして、森獨特の濃い腐葉土の匂いに混じって、微かなの匂いがする。
───これは、想像以上にヤバいかもしれねえ
さっきから、【魔力知】にスゲえ量の反応がある。
しかも森全域に渡ってだ。
隣を飛んでいるガーさんとアイコンタクトを取る。
「フィリ、ちょっと飛ばすぞ?」
「ん!!」
俺の意図を察したガーさんがフィリに伝えてくれた。
フィリが背中にしっかりと摑まったのを確認してから前方にダッシュ!!
ヒシュンッ!! シュン!! ピシャン!!
瞬間、風を切るような音と共に無數の攻撃が橫合いから飛んでくる。
「うおっ! アブねっ」
ガーさんと俺は、周囲一帯から飛んでくる正不明の攻撃と、立ち並ぶ木々を躱かわしながら、ただただ前に走る。
やがて、斜め左前の木々の隙間に湖のようなものが見えた。
『こっちだっ!!』
即座に走る向きを変えて、湖の方へ走る。
途端、目の前の視界が開け、広い空間にでた。
そこにあったのは……。
見上げるような巨大樹だった。
───これは……。
「すごい」
アホを揺らしながら、大きく目を見開いて、輝かせるフィリ。
興してるみたいだ。
「攻撃が止んだな」
と、ガーさんが後ろを振り返って言う。
確かに、この空間にってから攻撃が止んだ。
『ああ、それにあそこ見てみろ』
「「ん?」」
俺の視線をおって二人が目を向けた先には、
「「アヴァロンの実!!」」
燃えるように赤い、寶石のような果実が5つほど、巨大樹の枝葉に実っていた。
やっぱり、あれが件くだんの実だったか。直で分かった。
フォルムが"リンゴ”そっくりだ。
「やった。これで、予定より早く帰れる」
フィリも嬉しいみてえだな。
でも、違う実かもしれねえし、一応【鑑定】っと♪
*****************************
名前 なし
種族 ディーパー・フォレスト  危険度:A+
LV:110/110
HP:10000/10000
MP:5000/ 5000
攻撃力:2000
防力:6000
抵抗力:3000
俊敏:0
魔法力:3000
運 :50
:ユニークスキル:
【樹木合★】【アヴァロンの実創造★】【潤★】
:パッシブスキル:
【攻撃速度up大】【力up大】【タフネス】【自己再生】
【腐食無効】【火炎耐】【破耐】【理耐】
【ヒューマンキラー】【エルフキラー】
:ノーマルスキル:鑑定失敗
【鞭技★】【ドレイン★】【木魔法★】
:稱號:
〖不退転〗〖深森の支配者〗〖人類の天敵〗〖南の森〗〖エルフの天敵〗〖最終進化者〗
****************************
なっ!!
予想だにしなかった鑑定結果に驚く。
と同時に【危険察知】が反応。
即座にその場から飛び退く
『ガーさん!!避けろ!!』
「おう!!」
直後、周囲からの攻撃が再開。
ガーさんは用にを半反らして、橫を通過した攻撃を摑み取る。
か、かっけー。
「こいつは!?」
ガーさんの手に握られていたのは、この森に大量に群生している蔓つるだった。
それが、さながら鞭のようにしなり、森から大量にびてきている。
これが、謎の攻撃の正か!!
無數の蔓の鞭を避けながら、ガーさんとフィリへ巨大樹のステータスを伝える。
「じゃあ、なんだ? 俺達が今相手にしてるのはこの南の森全域って事か?」
「森が怒ってる?」
要はそういうことだ。
今、攻撃して來ているのはこの森の蔓植。
そして、奴ディーパー・フォレストの稱號〖南の森〗から導き出せる答えは1つ。
俺達はこの森に襲われている。
ということ。
その理由がフィリの言った要に、森へ侵した俺達を排除しようとしているのか、エルフであるフィリを養分にしようとしてる(【エルフキラー】ってあるし)のかはわからないが。
どちらにせよ関係ねえ。
そっちがやる気ならこっちもそれ相応の対応をさせて貰う!
【空間魔法】で格納庫にパスを繋げ、無數の〈裂丸〉を巨大樹に【投擲】する。
ドガァァァァアアン!!
放たれた短剣は目標に全弾命中……したが。
『やっぱ、そうなっちまうか』
黒々とした煙の晴れた先には、ほぼ無傷の巨大樹の姿があった。
ノーダメージってわけじゃ無いだろーが、【破耐】があるせいで効果がほとんどねえ。
いつもならここで焦るとこだが、今日は違う。
『ガーさん、フィリ!! 頼む!!』
「任せろ!」
「ん!!」
そう、俺の攻撃はダメでも、ガーさんの【重力球】とフィリの【風刃】なら大きなダメージを與えられる可能が高い!!
メキャッ! ミシィィィィ!!
俺の予想通り、二人の攻撃は奴に通った。
自慢の巨大な幹には、幾つもの切り傷と、重力によって抉られた後が出來ている。
『よし! ガーさん! フィリ! そのまま続けて───』
バゴォォォォン!!
「がっ!!」
剎那、猛スピードでガーさんが後ろに吹っ飛ばされた。
『っ!! ガーさん!!』
「ガーゴ!!」
慌てて後ろを振り返る。
そこには、木に激突して翼がもがれ、下半が々に砕けたガーさんの姿が。
そして、無數の蔓植がガーさんに追撃を加えようとしている。
───ヤッベ!!
【影分】でβを作。
済んでの所でガーさんの回収に功。
『β!! そのまま南の森から出してくれ!!』
『了解!!』
βはガーさんを咥えたままを翻えし、來た道を戻っていく。
それを見屆けて俺は前方の巨大樹を見據える。
『おいおい、マジかよ』
そこには、木の元が沈んでいる湖の中から、無數の木の(極太)が飛び出しており、その矛先は全てこちらに向いている。
恐らく、ガーさんを1発KOしたのはあのっこだろう。
『フィリ、しっかり摑まってろ。あの木のに當たったら俺でもどうなるかわかんねえ。回避に専念するぞ?』
「ん。わかった」
よし、良い返事だ。
俺は、どちらの方向にも避けることが出來るよう、姿勢を低くする。
───さあ、來やがれ。隙を見てカウンターしかけてやんよ!
無數の木のが鎌首をもたげ……
───────消えた。
……は? どこへいって──っ!!
鈍い衝撃を腹にじたと思った瞬間、俺達は空中へ打ち上げられた。
「ガハッ……」
臓を圧迫され、反吐が出る。
くっそ、地面から!!
痛みに顔をしかめながら、俺のいた場所へ目を見下げると、そこには地面から顔をだした狀態で揺れく木のがあった。
そこでふと気づく。
───フィリがいねえ!!
自分の背中に本來じるはずの重みをじない。
慌てて、上へ目をやると……。
────いた!!
上空の、し離れた所にフィリの姿が見えた。
どうやら、俺越しに伝わった衝撃で吹き飛ばされたみたいだ。
意識を失ってる。
フィリも回収しねえ、っと!!
【危険察知】が反応。
フィリの所に〈転移〉する。
下からびてきた木のが空を切る音を聞きながら、フィリを口に咥えてもう一度〈転移〉、今度は地上に向かってする。
著地と同時にそこから飛び退き、巨大樹から距離を取る。
痛いわ。
マジで痛い。
たぶん肋骨折れてんな。これ。
心の中で呟きながら、【影分】を発。
とっくのとうに練度は上がっているので、もう一作出來る。
『γ《ガンマ》、フィリをここから避難させてくれ』
『任せろ、α』
新たな分、γにフィリを託す。
γはフィリを優しく咥えて、森の中に走り去っていった。
─────ごめんな。 フィリ。
そして、俺は瞳に靜かな闘志を宿らせて、巨大な敵を見據えた。
【書籍化・コミカライズ】小國の侯爵令嬢は敵國にて覚醒する
豊かな小國サンルアン王國の宰相の娘にして侯爵令嬢のベルティーヌ。 二週間後の結婚を控えていた幸せなある日、自國が直接関わってはいない戦爭の賠償金の一部として戦勝國に嫁ぐことになってしまう。 絶望と諦めを抱えて戦勝國へと嫁ぐ旅を経て到著したベルティーヌは、生まれてこの方経験したことのない扱いを受ける。 「私はなんのために生まれてきたのか」と放心するが「もう誰も私をこれ以上傷つけることができないくらい力をつけて強くなってやる」と思い直す。 おっとりと優雅に生きてきた侯爵令嬢は敵國で強く生まれ変わり、周囲を巻き込んで力をつけていく。 □ □ □ 小國令嬢の累計アクセス數が2022年3月12日に1千萬を超えました。 お読みいただいた皆様、ありがとうございます。
8 17912ハロンのチクショー道【書籍化】
【オーバーラップ様より12/25日書籍発売します】 12/12 立ち読みも公開されているのでよかったらご覧になってみてください。 ついでに予約もして僕に馬券代恵んでください! ---- 『何を望む?』 超常の存在の問いに男はバカ正直な欲望を答えてしまう。 あまりの色欲から、男は競走馬にされてしまった。 それは人間以上の厳しい競爭社會。速くなければ生き殘れない。 生き殘るためにもがき、やがて摑んだ栄光と破滅。 だが、まだ彼の畜生道は終わっていなかった。 これは、競走馬にされてしまった男と、そんなでたらめな馬に出會ってしまった男達の熱い競馬物語。 ※この物語はフィクションです。 実在の人物・団體・國などと一切関係がありません。 2018/7/15 番外編開始につき連載中へ狀態を変更しました。 2018/10/9 番外編完結につき狀態を完結に変更しました。 2019/11/04 今更ながらフィクションです表記を追加。 2021/07/05 書籍化決定しました。詳細は追ってご報告いたします。 2021/12/12 書籍化情報を追記
8 63【WEB版】身代わりの生贄だったはずの私、兇犬王子の愛に困惑中【書籍化】
11月11日アリアンローズ様より【書き下ろし2巻】発売! 伯爵家の長女ナディアは、家族から冷遇されていた。実母亡き後、父は後妻とその娘である義妹ジゼルを迎え入れ溺愛し、後妻はナディアを使用人以下の扱いをしていた。そんなとき義妹ジゼルに狂犬と呼ばれる恐ろしい王子の侍女になるよう、國から打診がきたが拒否。代わりにナディアが狂犬王子の生贄として行くことになった。そして噂通りの傲慢な態度の狂犬王子クロヴィスは、初対面からナディアを突き放すような命令をしてきた。ナディアはその命令を受け入れたことで、兇犬王子は彼女に興味を示して―― ◇カクヨム様でも掲載 ◇舊題『身代わりの生贄だったはずの私、狂犬王子の愛に困惑中』※狂犬→兇犬に変更
8 74ACT(アクト)~俺の婚約者はSな毒舌キャラを演じてる…~
「私と...結婚してくれる...?」 「い、いいぜ」 中學2年生の藤岡奏太は、引っ越す直前の幼なじみの少女に逆プロポーズされ、中學生にして、めでたく可愛らしい婚約者を手に入れた。 離れ離れになり會えない間も、毎日電話やメールは欠かさず、再會できる日を待ち続けること四年。 高校2年生の春。遂にその日はやって來た。幼なじみ兼戀人兼婚約者である少女の突然の転入に驚きつつも、ようやく大好きな彼女とのラブラブな高校生活を送ることができると、舞い上がる奏太。 しかし... 「靜かにしてくれない?私、うるさい人って嫌いなの。人が喋っている時は靜かにするーーそんな小學生でも分かることがあなた達には分からないのかしら?」 自己紹介でクラスメイト達に上から目線で毒を吐く彼女...。 ...そこに昔の素直で可愛らしい性格の少女の姿は全くなかった。 素直で優しく可愛らしい性格と毒舌なSキャラを併せ持つ婚約者との痛快ラブコメ、ここに開幕です! 2018/5/5 前作の戀愛サバイバル~卒業率3%の名門校~も是非読んでください! 2018/10/8 新作の元主人公、今は脇役願望も是非呼んでください!初めて書いた異能力バトル系です!いや〜戦闘描寫が難しいですね笑!
8 77ムーンゲイザー
15歳の夕香子が満月の夜に出會った不思議な少年、ツムギ。 彼とはすぐに離れてしまうとわかっていながらも、戀心を抱いている自分に困惑する夕香子。 少女の複雑な心境を綴った切ない青春小説。
8 85神籤世界の冒険記。~ギルドリーダーはじめました~
ガチャに勤しむ會社員郡上立太は、コンビニで魔法のカードを手に入れた帰りに異世界へと送り込まれてしまった。それは彼がプレイしていたゲームの世界なのか、それともよく似た別世界なのか。世界を統治する『虹の女神』と、彼女に瓜二つの少女の正體。彼がこの世界にやってきた理由。これはいずれ世界を震撼させることになる男、『塔』の冒険者たちを統べるギルドマスターリッタ・グジョーの物語である
8 162