《銀狼転生記~助けたと異世界放浪~》025 ~急転~
その日の夕方。
俺の部屋には現在、晝頃にガーさんとれ違いにってきた、小柄なエルフの、フィリがいた。
でもって、現在會議中だ。
「……じゃあ、ガーゴにも話した?ロウの」
『ああ、そうなんだ。元々バレてたっぽいけどな』
議題は「俺のをガーさんに教えたことについて」だ。
別に言わなくても良いかと思ったが、ここでを作ってしまえば、お互いのを共有しあって築いているフェアな関係が崩れ去ってしまう。
それじゃあ、本末転倒だ。
『まあ、ガーさんとももっと仲良くなれたし、結果オーライって奴だな』
すると、フィリはベッドの上で育座りをし、足の間に顔を埋める。
「二人だけのだったのに」
うおっ、怒ってらっしゃる。
僅かだが。言葉に怒気が含まれている。
『まあ、そう言うなって。俺達はもっと固い絆で結ばれてるだろ?』
「……ん」
頭を前腳でポンポンしてやる。
そして、話題転換。
『それで、俺に何の用だったんだ?』
フィリが俺の部屋に來た理由を聞く。
関口一番にバレした件で土下座謝罪したからな。
肝心のフィリが來た理由は聞いてない。
「ん。姉さんのこと」
っ!! そのことだったか。
『そうだったな。その、大丈夫なのか?』
フィリにとってこの話題は辛い筈だ。
「ん。確かに悲しい。にポッカリが空いたみたいに。でも心配ない、私にはロウがいる。ロウが傍に居てくれる」
フィリが俺の銀をでながら言う。
「泣くのはもうお仕舞い。姉さんは私の泣き顔が一番嫌いだった。だから、姉さんの為にも私は泣かない」
……強いな。お前は。
昨日は世界の終わりみたいな顔してたのに、今じゃ決意と希に溢れた顔してやがる。
本當に12才かよ? 俺より年上なんじゃねえのか?
フィリも決意は固めてる。ガーさんのおで俺の決意も改まった。
くよくよすんのも後悔すんのもこれで終わり。
手始めにまずは……。
『飯食いに行くか!』
「ん。お腹ペコペコ」
今、気付いたが昨日の夜から何も喰ってねえ。
腹が減っては戦は出來ぬ。
ガーさんが何か作ってくれてるかもしれねえ。
部屋を出ようとベッドから降りようとした時……。
「あ……」ドサッ
『フィリ!?』
フィリが突然気を失って倒れた。
どうしたんだ!? 一!?
『おい!! フィリ、どうし──アッツ!!』
フィリを抱き起こそうとをると、燃えるような熱を伴っている。
さっきまで元気だったのに。
なんかの病気か?
慌てて【鑑定】でフィリの狀態を確認する。
すると……。
名前 フィリーネ・エアロ 12才
種族 エルフ
狀態 呪い
な!!
なんでフィリまで呪われてんだ!!
里の呪いが移ったのか?
とにかくガーさんへ連絡しねえと。
1階にいたガーさんに念話を送る。
その際、ガーさんの位置を調べるのに【魔力知】を使ったのだが……。
──雨に、魔力反応がある?
今まで気づかなかったが、雨粒一つ一つに微弱な魔力が宿っているのに気がついた。
それこそ、普通に過ごしていては気がつかないほどに。
この世界の雨はこういうものなのだろうか?
そこまで考えたとき、相を変えたガーさんが部屋に飛び込んでくる。
「フィリが呪いにやられたってどういうことだ!?」
『わからねえが、取り合えず俺達だけじゃどうしようもない。この屋敷の使用人全員集めてくれ』
俺には、この世界の知識が殆どない。ガーさんも魔である以上、エルフの看病には疎い。エルフの事はエルフに聞くのが一番。
そう考え、使用人の集合を要求したのだ。
が……。
「あ? なに言ってんだ。この家に使用人なんか一人も居ねえぞ?」
……は?
今、”使用人が居ねえ”って言ったか?
『そ、そんな筈ねえ!! 出発前の夜にスフィアと話してたとき、確かに使用人が!!』
そう、スフィアと話していた時に、部屋の外から聲をかけてきたの使用人がいたはずだ。
「その、使用人の姿はちゃんと見たのか?」
『…!! 見て……ねえ』
部屋の中から聲を聞いただけだった。
───俺はいつから”使用人がいる”と錯覚していた?
そのことにきずいた時、靄のかかったような思考がクリアになり、幾つかの事象が頭に浮かぶ。
里に掛けられた呪い。
その背景にいる魔王の存在。
存在しない使用人。
スフィアの死。
魔力を含んだ雨。
バラバラだったピースが繋がっていく。
足りないピースを補う。
『……ガーさん、里の呪いは魔王のせいだって知ってたか?』
「あ? なんの話だ? 初耳だぞそんなの」
スフィアは”皆に説明したが信じて貰えなかった”と言っていた。
だが、ガーさんは話自を聞いていない。
つまり、俺に噓を吐いた。
『スフィアは、病気だったのか?』
「なんだ? 聞いてなかったのか? お前に病気のことを話すっていうから部屋に行く許可出したんだぞ?」
これも噓。
俺は病気だなんて聞いてない。
『スフィアが病気になったときはいつだ? 里に呪いがかかる前に雨は降ったか?』
これが最後の質問。
「なんなんだ。さっきから、掘り葉掘り質問しやがって! たく、ええと……スフィアが病気になったのは最近、そうだな…里に呪いのかかった二日後くらいか。
雨は降ったぜ。それも盛大にな。ここら辺じゃ滅多にふらねえから……って、おい!! お前まさか!?」
これで、全てのピースが出揃い、1つの真実パズルが完する。
それから分かること。
それは、スフィアは魔王側とグルだったと言うこと。
完全に魔王側だったのではないと思うが。
元々、おかしいことは多々あった。
あの時、使用人がノックをしたとき俺はその存在に前もって気づくことが出來ていなかった。
スフィアが階段を上ってきた時は知したのにも関わらずだ。
まるで、ドアの前に突然現れたかのように。
そんな事が一介の使用人に出來るはずがない。
スフィアの言もおかしかった。
使用人が來たときに突然、”実”の話をしだしたこと。
”フィリのことを宜しく”などと、盛大に死亡フラグを立てていたこと。
アレではまるで、自分が生きてフィリに會うことが出來ないと
わかっていたってことだ。 
そして、誰にも魔王が裏で暗躍していることを教えてないのに、それを何故俺だけに伝えたのか。
答えは……。
『俺に、フィリを助けてしいって事か』
「お、おい! 一人で何を納得してんだ!? 何のことなんだよ!! スフィアはお前に助けを求めてたのか!?」
多分そうだろう。
スフィアには村の長として魔王側から接があったはずだ。
そこで呪いを掛けられた自分の命と里の連中の命運が惜しければ、〈アヴァロンの実〉を取ってこいとでも言われたんだろう。
呪いは十中八九、魔力付與された雨だ。
この雨が、スフィアや土地、フィリのをじわじわ蝕んだ。
そうすれば、全ての辻褄が會う。
そして俺の考えが正しければ……。
【魔力知】で、スフィアを埋葬した辺りを調べる。
──やっぱりか。
『ガーさん、スフィアのが消えてる』
「な! 誰がそんなことを!? 何のために!?」
心あたりはある。
そして、敵がとるであろう次の行も。
それを阻止するにはガーさんの協力が不可欠だ。
『ガーさん、お願いがある』
俺の言葉にガーさんがいつもの冷靜さを取り戻す。
「なんだ?」
『フィリとスフィアのことは俺に任してしい』
「……ちゃんと、出來るんだろうな?」
ガーさんは、俺の目を真っ直ぐに見據えて問いかけてくる。
”失敗は許さない”と。
『ああ。勿論だ。だがそのためにはガーさんの協力もいる』
「……わかった」
それから、俺はガーさんに里の真実とスフィアのこともを伝え、作戦を練り続けた。
────フィリ、待ってろよ。俺が必ず助けてやるからな。
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