《銀狼転生記~助けたと異世界放浪~》029 ~新たな旅立ち・前~
空はまだし薄暗い、向こうの世界で言えば、午前五時頃だろうか。
エルフの里は靜寂に包まれている
あれだけ降っていた雨が噓のように、空には雲一つない。
草や木までが寢靜まったままかのような……。
そんな朝。
俺は、里の中央に位置する家──スフィアの家の前にいた。
「本當に、行っちまうのか?」
「そうですよ。ロウ殿、し急ぎすぎではないですかな? せめて、晝頃に出られてはどうか」
そう。
今日、俺はエルフの里を発たつ。
見送りはガーさんとその側近のジゲルだけだ。
フィリを含めて、里の連中はまだ夢の中だろう。
『ああ、短い間だったが世話になったな。それとジゲル。俺にはやるべき事がある。ここで時間をくっちまった以上、なるべく早く出発したい』
次の目的地は〖アルデンス王國〗にしようと思う。
魔神になることも大切だが、三橋達クラスメイトの事も気になる。
あいつらの無事を確認することがしばらくの目的だろう。
その為には一刻も早くこの森を出ておきたい。
「さようですか。ですが、ロウ殿のおでこの里は長きに渡った呪いから解放されたのです。もてなしぐらいは──」
『いや、謝されるようなことはやっちゃいない。それに、もてなすほどの余裕はないだろ? 無理しなくていいさ』
「……謝致します」
結論から言えば、この里はバアルの呪いから解放された。
勿論、俺がスフィアを捕食したことによって得たスキル【恩恵】によってだ。
〈アヴァロンの実〉の効果は凄まじかった。
呪いによって荒れ地と化していた畑は、とりどりの花々が咲き誇る花・畑・に、淀みきった里の空気は澄み切った泉のような清らかなモノへと変わった。
月日が経たてば、資や食糧不足の問題も薄れ、幻想的なエルフの里──それこそ俺が思い描いていたファンタジー溢れる里になるだろう。
◆◆◆◆
他たあいのない會話をし、互いの別れを惜しむなか、ふとガーさんの事が気になった。
『ガーさんは、これからどうするんだ?』
俺が聞きたいのは、スフィアの居なくなった今、この里を守り続けるのか否かだ。
「勿論、この里に殘るさ。やることは今までと変わらねえ。森の魔獣共からこの里を守ったり馬鹿なガキ共の子守をしたり、畑仕事に明け暮れたりな」
迷いのない言葉、それほどまでにガーさんの意思はいみたいだ。
「それに、俺にはあのスキルがある。それこそ、魔王が直々にこねえ限りはこの里は安全さ」
『それもそうか』
ガーさんの言う、あのスキルとはユニークスキル【愚者の波】の事だ。
その効果を一言で表せば、〈導〉。
ガーさんが指定した地點から波を周りへ放出し、その範囲の魔法や自よりステータスの低い他者の行を制限・導する事が出來るという、とんでもスキル。
普段は、里全へ波が屆くようにし、波へ足を踏み込んだゴブリン等を森の方へ導したりして、里への侵を防いでいる。
また、エルシアを葬ったあの極も、このスキルの応用だ。
俺の咆哮を合図に、ガーさんが里の連中の聖魔法を導、収束し、空から奴へと降り注がせたわけだ。
「そろそろ時間だな」
ガーさんが空を見上げて呟く。
つられて、俺も空を見上げた。
薄暗かった空が明るんできた、太が顔を出したようだ。
『そうだな。そろそろ出発しねーと…フィリに宜しく頼んだぜ』
昨日、俺は戦闘の疲労から速攻で夢の國へと旅だったため、フィリとは祿に話も出來ていない。
別れの挨拶くらい、顔を見て言うべきだったか?
いや、もう決めた事だ。
迷う必要はねえ。
俺の言葉にガーさんは、顔をしかめて言う。
「本當に、あいつは連れて行かねえのか?」
『ああ、悪いな。これはもう決めたことなんだ』
本音を言えば、もっとフィリと一緒に居てやりたいし、旅もしたい。
だが、いつかこんな風にフィリのに危険が及ぶかも知れねえ。
魔神になるための道のりが、決して安全ななんかじゃないっていうのは簡単に予想できるからな。
魔王サイドにも関わっちまったし。
苦渋の決斷だが、フィリとはここでお別れだ。
幸い、里の呪いを解いた功労者は、フィリと俺の二人ということになっているので、今までみたいにフィリが〈忌み子〉と呼ばれることもない。
フィリの居場所が出來たのだ。
昨日のにフィリと里の奴らは和解を果たしている。
俺の返答を聞いたガーさんはジゲルと顔を見合い、また俺の顔を見て言った。
「まあ、お前がそう言うなら止めはしねえよ。頻繁に會いに來てやってくれよ?」
『ああ、そうするさ』
この里の座標は登録済みだ。
いつでも、【次元魔法】の〈門〉で訪れることができる。
「では、ロウ殿。武運を」
「元気でな」
『そっちもな!』
そう言って、俺はガーさん達の元を去った。
歩くこと數分、前方に西門が見えてくる。
このまま、〈西の森〉へり〈北の森〉へ、そこから街道沿いに進めば〖王國〗へ著くらしい。
報源ソースはガーさんだ。
と、門の向こう側に人影が見える。
──誰だ?
徐々にその郭がはっきりしてくる。
『なっ!! フィリ!?』
そこには、ここに居るはずのない人──目に涙をらせ、仁王立ちでこちらを見據えたフィリが居た。
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