夕刻

クマサンのは格納庫に安置した。

地面へ埋葬してあげようかと思ったが、損傷がなかったので、何かに利用できるかと判斷して取っておく。

悲慘な死を遂げたクマサンだったが、どうせなら隅々までしっかりと役に立てて上げたい。

クマサン。ありがとな。

さて、クマサンの犠牲によって、遂にフィリのレベルが最大になった。

やっぱし、同格や格上を倒せば手にる経験値も多いようだ。

森を散策する時、大切なのは安全な場所を作ること。

言わば拠點だ。

これがあるのと無いのでは、力や神面で大きな差がでる。

俺達はクマサンと戦ったこの湖畔を拠點にすることにした。

周りに、魔除けの短剣を數本設置したので、魔獣対策はバッチリだ。

飲め水は湖で、たき火はフィリの【風炎魔法】で付けた。

寢床として適當な場所を掘ってそこに落ち葉をしく。

これで即席のベッドの完だ。

現在、そのベッドにはフィリがペタリと座り込んでいる。

「ロウ、始めるね？」

『おう。ここで見てるからな』

いよいよ進化の時だ。

フィリのが淡いに包まれる。

次の進化は、確かハイエルフだったか？

ガーさんが言ってた気がする。

他人の進化を見るのは初めてだ。

何だか俺が張するな。

その時だった。

《條件の達を確認。対象の進化を確認。　【神々の系譜】を発。進化先を創造…。創造完了》

ちょ！　お前！！

究極進化事件の時と一緒じゃねえか！

どういうことだ！?

まっ！　進化中止プリーーズ！！！

◆◆◆◆

いつぞやの脳アナウンスが止むと同時に、包まれていたの中からフィリが姿を現す。

まず、一番の変化は服裝だった。

纏っていたボロキレが一転。

貓耳？(若干、狼の耳っぽい)フードの著いた黒いローブ、膝から下と、顔が出するタイプで、激しいきに対応出來るデザインになっている。

機能重視の服に見えるが、正直言って、メッチャ可い。

次の変化。

服がしっかりしたのもあるのだろうが、全的にし大人びたような気がする。

まあ、進化前の型が丸出しだったので微々たる者だが、

例えるなら、小2から小5への変化だ。

ぺたんこだったも慎ましい程には膨らんでる気がする。

うん。

総じて、評価はメッチャ可い。

黙ったまま、じろじろ見られるのが恥ずかしいのだろう。

若干頬を紅させてフィリが言う。

「どう？」

もう一度言う、メッチャ可い。

『お、おお！　メッチャ可いぜ！』

「ん…♪」

茹でられたタコのように顔を染めるフィリ。

やっぱ、の子だな。

服を譽められると嬉しいみたいだ。

ガーさんにも見せてやりてえ。

それにしても、この外見の変化。

やっぱり、俺のスキルの影響だろうか。

ちょっと怖えが、【鑑定】してみるか。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

名前　フィリーネ・エアロ

種族　ヴァン・エルフ(固有種)

裝備　銀狼の加護

LV 4/50 up

HP 633/633 up

MP 5369/5369 up

攻撃力：310 up

防力：200 up

抵抗力：180 up

俊敏：622 up

魔法力：6739 up

運　：0

：ユニークスキル：

【風の王Ⅲ】【風炎魔法Ⅱ】【夢霧】new

：パッシブスキル：

【神汚染無効】【風魔法系統耐特大】【魔力知】

【風王の加護】【氷結無効】new【聴覚上昇大】new【銀紋】

：ノーマルスキル：

【風魔法Ⅲ】new【弓】【回復魔法Ⅱ】【短剣】new

【眠る★】【瞬足】new

：稱號：

〖風王の加護をけし者〗〖眠り姫〗〖固有種〗

〖乗り越えし者〗〖銀狼の加護をけし者〗

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『…フィリ』

「ん？」

『ごめんな』

「？」

いや、ホントにすまん。

まさか、俺の謎スキルが他人にも影響するなんて思わなかった。

『えっと…。の調子はどうだ？　気分が悪いとか、何か変な所はねえか？』

しばしの間、自分のの調子を確認するフィリ。

「ん。問題ない。むしろ、調子が良い♪」

『そうか。良かった』

まあ、ステータスが軒並みアップしてるし、調子が良いのはそのおだろう。

このステータス構なら、さっきみたいに、フィリの行一つ一つにハラハラする事も無い。

後衛よりのステから、魔法重視の前衛型のステになってる。

ん？　軒並みアップ？

まて、よく見ると、運が下がって…！！

まさか！！

〖銀狼の加護をけし者〗：特典　【氷結無効】【銀紋】【神汚染無効】運にマイナス補正。銀狼の加護をけた証。

『どうしたの？　ロウ？』

思わず地に伏した。

ホンットすまん！！

まさか、俺の加護がデバフ付きだなんて！

自分で自分を呪いたい。

フィリに、俺の加護の詳細を伝える。

「そんなこと、気にしない。特典たくさん。それに、ロウを凄く近くにじる。溫かい。嬉しい」

『フィリ…』

確かに、加護を通してフィリと神的な意味で深く繋がった覚がある。

目を閉じてもフィリの居場所がじ取れる。

これは便利だ。

『そうだな。俺も嬉しいぜ』

まあ、フィリもこう言ってるし、そこまで悲観する事じゃねえかもな。

それに、特典盛り沢山だし。

ポジティブに行こう！

それにしても、特典の一つ【銀紋】が気になるな。

調べてみるか。

【銀紋】：銀狼の加護をけた者に生じる証。

魔力を流すことによって、強化も可能。

長する。〈収納〉可

何だこりゃ？

いや、使えるっちゃ使えるが説明がアバウト過ぎてよく分からん。

長する？　フィリが？　スキルが？

條件もわかんねえしな。

まあ、いいか。

説明から、証がフィリのに表れているはずだが……。

見えねえな。

『なあ、フィリ』

「ん？」

『ちょっと、いでみ？』

「……！！」

ん？

どうしたんだ？　真っ赤になって？

「……ロウの、エッチ…」

……あ！！

や、そう言う意味じゃねえ！

『や、やっぱ今のなし！！　俺は、【銀紋】がどんなんか見たいだけで、変な気持ちは「分かった」ない──は！？』

「〈収納〉」

服が収納されたことによって、フィリのがわになる。

慌てて俺は両手で視界を隠す。

…額に爪が刺さったが、気にしない。

『ちょっ、フィリ。何して──』

「ロウがやれって言った」

いや、言ったけども…。

「早く、見て。…恥ずかしい」

くっ、そうだ。

いくらフィリでも、を曬すのが平気な筈が無い。

それに、日が傾いてきた森は寒い。

このままでは、フィリが風邪を引いてしまう！！

男なら、覚悟を決めろ！　俺！！

よし。

一瞬！

ちらっと見るだけだから！

確認したらすぐに目を閉じる。

はい！　オッケ！

行くぞ！！

恐る恐る、片目を開いて、指の隙間からフィリを見る。

まず目にったのは、顔を真っ赤にしているフィリの顔。

もうすぐで湯気が出そうだ。

やっぱ、可いよな…。

はっ！！

いかん、いかん。

【銀紋】を探せ！　俺！

ここから、視點をしずつ下へずらしていく。

きめ細やかな白い、マシュマロみたいだな──って違う！

そっちじゃねえ！！

慌てて視線を上に戻す。

視線を下にずらしすぎた！　他意は無い。

無いったら無い。

ん？　あれか？

鎖骨の間に、【銀紋】らしきを確認する。

大きさは、子供の手のひら大ほど。

正面から見た狼の顔を模した形をしており、名前の通り、鈍い銀をしている。

【銀紋】と見て間違いなさそうだ。

よし！　確認終了！！

『フィリ、もう良いぜ！　服を著てくれ』

「ん…」

【銀紋】が一瞬ったかと思うと、そこから狼耳ローブが出てきて、あっという間にフィリが元通りの格好になった。

このローブが、”銀狼の加護”なんだろうか？

俺も、顔を覆ったいた手を下ろす。

『「ふぅ」』

お互いに、一息吐く。

疲れた…。

今回の進化で発言した他のフィリのスキルについては、後で考えよう。

今日は寢よう！　そうしよう！

「じゃあ、次はロウの番」

ん？

俺が、フィリの傍に行って寢転び、いざ寢ようとしたときだった。

フィリが言った。

『ん？　ぐ服なんかねえぞ？　俺』

フィリの目のハイライトが消える。

ちょ、そんな目で見るなよ。

「違う。私、進化した。次、ロウがする番」

え～。

眠たい…。

空はまだし明るいけど…。

『きょ、今日はいいんじゃ──』

「ダメ、一緒にするって言った」

目に涙を溜めて、頬を膨らませるフィリ。

『…分かった。やるよ』

目を閉じる。

いつぞやの脳アナウンスが聞こえる。

《進化が可能です。　進化しますか？　YES/NO》

 YESで。

《選択を確認。進化を開始します》

俺は、フィリが見守る中、に包まれていった。