《「最強」に育てられたせいで、勇者より強くなってしまいました。》第一章 第三話 出會い
俺は今、転生という現実離れした狀況に浮かれ、ああでもないこうでもないと夢のようなことを考えている。
   しかし狀況のことを言うのなら、赤子が森の中に一人放置されている異常さに、早く気付くべきであった。
    
   俺がそれに思い至ったのと、視界に狼のような獣が映り込んだのはほぼ同時だった。
    
   狼は唸り聲を上げてこちらの様子を窺っている。
   どうやら周りを囲まれたようで、見渡せる範囲には三匹、俺の後ろにある木の裏からも複數の唸り聲が聞こえた。
    
   ヤバい。
    
   俺の直がガンガンと警鐘を鳴らし、張が走る。
   だがけないことに俺は全くくことができない。
   きっと狼たちの接近が分かったとしても何かができたわけではないが、自分の考えが淺かったのが原因になっているように思えて後悔が盡きなかった。
    
   そんな俺の心境など分かるはずのない狼たちは、完全に俺のことを捕食対象として見ているらしく、じりじりと距離を詰めている。
   そして、ついにそのの一匹が牙を剝いて、俺に向かって跳んできた。
    
   絶絶命。
   見ている人がいたなら、誰もがそう思っただろう。
   俺もそう思い、衝撃に備えて目を瞑ってこまる。
    
   バチィッ!
    
   だが、聞こえたのは完全に予想外の電撃のような音だった。
   思わず目を開けると、そこには淡くる障壁と、それに潰れてくっつく狼の姿があった。
   言わずもがな、音の発信源は目の前三センチのこれだろう。
    
 (これは……結界?)
    
俺に備わる何か“熱い”ものを知するセンサーが、ビンビンと反応し、意識のほとんどをそっちに持っていかれる。
   周りの狼たちがうるさく吠えているようだが、既に眼中にないそれらの聲が、俺に屆くことはなかった。
    
   今俺が見た現象は、ファンタジーなラノベや漫畫によく出てくる「結界」というものの特徴に酷似している。
   その原理は作品によって違えど、大抵はある共通點を持っている。
   それは魔法。
   そう、この結界が現れたことによって、この世界が俺のいた世界ではないことと、ここには魔法があるということが分かったのだ。
    
   バチィッ!
    
   つまり俺もいずれ魔法を使って、あんなことやこんなことができるようになるってわけだ。
   現代知識で無雙するのがお決まりのパターンだが、この世界は俺が大學に行くまでに得た知識で無雙することはできるだろうか
   今から楽しみで堪らない。
    
   バチィッ!
    
   さしあたっては、この外敵だらけの狀況を打開したいのだが……。
    
   バチィッ!
    
   いい加減、狼たちがうるさくて仕方なかった。
    
   しかし俺には狼を撃退するも、狼から逃げるもない。
   今できることと言えば狼たちが諦めて帰ってくれるのを待つことくらいなのだが、それも餌を前にしてお預けを喰らっている狀態の食モンスターを見れば淡い希だということが分かる。
    
   それにギラギラと眼を輝かせて襲い來る狼たちは、一目が結界に阻まれたのを見てからは、どこに結界があるのかが分かったかのように上手く角度をつけて、潰れないように突っ込んでくるようになっている。
   そのため結界には結構なダメージが蓄積されているらしく、発すると音が次第に強く激しくなっていくのをじた。
   もしかすると、このままでは結界が破られてしまうかもしれない。
    
   今まで気にしていなかった可能が現実味を帯びてきて、いよいよ本格的に危機的狀況なのだと再確認する。
   転生してすぐに死ぬことはないだろうと高を括っていたが、最早そんなテンプレを信じるほどの膽力は俺に殘っていなかった。
    
   それからも狼の攻撃は休むことなく、どころか激しさを増して続けられた。
   狼がぶつかるたびに結界はバリバリと不吉な音を立て揺れる。
   俺の心もジリジリと萎していく。
   そして、ついに耐えきれなくなった結界に亀裂が走った。
    
   いつの間にか辺りは暗くなり、狼の赤い眼が暗闇に浮かんで俺を囲っている。
    
   その景は俺の浮ついた心を簡単に恐怖で塗り潰し、絶で染め上げた。
    
   バリィィイ!!
    
   狼の攻撃。亀裂が大きくなる。
    
   バリィィイ!!  バリィィイ!!
    
   ラストスパ-トと言わんばかりの猛攻。亀裂はもう結界が機能しているのが不思議なくらいに広がっている。
   いつ壊れてもおかしくない狀態の結界は、それでも三度、狼の攻撃に耐えて見せた。
    
   しかし、終わりの時は突然――いや、この場合分かり切ったことではあったが、やってくる。
    
   バリィィン!!
    
   今までに聞いたことのない、ガラスが砕けるような騒音が響いた。
   結界が破られた音だ。
    
   破片がそこら中に散らばり、この場に似つかわしくない綺麗なを撒いて消えていく。
   どうやら結界は破られるときに外に向けて破裂したらしく、最後の攻撃を仕掛けた狼を含め、周囲の狼が四、五匹、その破片に貫かれて倒れている。
    
   だが、そんな結界の最後の足掻きによる果を見ても、俺の絶はより深くなるだけであった。
   狼が、まだ殘っているからだ。
    
   結界がなくなり、當然何かの力に目覚めるわけでもない俺は、完全に打つ手なし、詰みの狀態だった。
   それも、冗談などではない、本當の「人生詰んだ」という狀態だ。
   生前散々聞いた言葉であったが、実際に験してみると全くシャレにならない。
    
   そんなバカなことを考えている間にも狼たちは警戒を強め、俺を捕食せんとじりじり寄ってきている。
   もう今日何度目か分からない、しかしその中で際立って強い「死」の覚が、俺の意識をぐらつかせる。
   赤子のの限界が近いようだ。場違いなくせに強烈な眠気に視界が閉じかけ、元から力の弱いは余計に力がらなくなっている。
   だが――
    
――死にたく、ない。
    
   逃げなくては、そう思い地を這う。
   この方法でしかけないから。
    
   ――誰か、助けて。
    
   心の中で、懇願する。
   聲は出せないから。
    
  ――もう、嫌だ。
    
泣きながら、蹲る。
   もうはかないから。
    
   グルルルルル……
    
   狼の唸り聲がすぐ後ろに聞こえる。
   だが俺には振り返る気力も力も殘っていなかった。
    
   スッと意識が遠のく。
   それは諦めによる張からの解放と、そもそも赤子の力の限界だったのが原因だろう。
   俺は直後にじた浮遊にを委ね、そのまま意識に幕を下ろした。
    
   幕が下り切る寸前、狼の悲鳴が聞こえた気がした。
    
    
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   溫かなものに包まれる覚。
   閉ざされた瞼を過して視界を真っ赤に染めるの存在。
   チュンチュンと心地よい歌を奏でる鳥たち。
    
   これらは今、意識を取り戻しつつある俺がじているものだ。
   俺の意識はやけにゆっくりと、まるで起きることを拒むかのような速度で覚醒していく。
    
   人間の脳みそは凄いもので、あれだけの恐怖験をしたというのに俺の心は誰もいない室プールのごとく穏やかだった。
   鮮明に狀況は思い出せるのに、だけ置いて來てしまったようでし気持ち悪い。
   あんな思いをするのはもう免蒙るので都合が良いと言えば都合が良いのだが。
   がなくなっていたりはしないだろうな?
    
   あまりの衝撃にを発する機能が壊れてしまったのではと心配をしていると、やっと俺の意識が戻ってきた。
   早速その意識を使って、眼を開けろとに命令を出す。
    
   目を開けると、そこには前と同じで木々が並んでいて、朝日をけて青々と輝いていた。
   空を見上げると木れ日が眩しく、木の枝には小鳥が留まって羽を休めている。
   そして、足元には糞尿が垂れていた。
   俺のはこれらを耐えるということができなかったようだ。
    
   更に見渡し、周囲の狀況を探る。
   すると俺が垂れ流した糞尿が、道を作っていた。
   しかしそれは今いる場所から流れていったようには見えず、どう見ても垂れ流しながら移してきたように見える。
   気付いていなかっただけで、狼から逃げるときには既に垂れ流していたのだろうか。
   赤子のとは言え、お恥ずかしい話である。
    
   そんなことで心で悶えていたその時である。
    
「――、――――。―――――、――――――――」
    
   そんな意味不明な聲が、後ろから聞こえたのは。
    
    
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