調を崩してしまい、し遅れてしまいました。すみません。

フィオとイチョウが旅立った日から、俺はモミジとユキの二人といることが多くなった。

それはイチョウがいなくなったからだと考えるのが妥當ではあるのだが、なんと言うか距離が近い。

嫌ではないのだが慣れないことであるために戸ってしまうのだ。

すぐに後ろから抱き著いてくるし、その時に生まれた隙を突いて前から跳びかかってくることもある。

一日一サンド以上することが彼らの日課になっているのかもしれない。

五、六歳というこの時期は、まだ男の區別がはっきりとしていないような時期である。

ましてやここにいる人間はみな家族だ。

俺に姉や妹がいたことはないが、きっと家族ならこれくらいが普通なのだろう。

というか普通であってくれ。

そんな距離のまま、今は三人でヴォルムの授業――もとい戦闘訓練をけている。

俺は穏やかに暮らすために防系や回復系のを重點的に鍛え、モミジとユキは特異技能ユニークスキルを生かした戦闘をするための訓練をしていた。

彼らのユニークスキル《モミジ》と《ユキ》は、とても似通った技能スキルだ。

もっと言えばイチョウの使っていた妖とも似ている。

それは、基本屬と呼ばれる「火」「氷」「雷」「風」「水」「土」の六つの屬の中から、モミジは「火」「雷」を、ユキは「火」「氷」をそれぞれ紅葉モミジの葉や舞う雪の形にして現化できるという能力だ。

イチョウがやっていたように使うことが基本的なきなのだが、大きさの調節や屬の切り替えの使い勝手が良く、よりトリッキーな戦闘ができると見込まれている。

また雙子であるために連攜が上手く、二人がかりでこれを使われたら練の戦士でもなかなか厳しいのではないだろうか。

正直なところ、現段階で俺は防ぎきれそうにない。

とは言え、まだ攻撃力や速度に問題があるらしく、実際に使えるかと言われたら主力にはできないというのが現狀であった。

頑張る後輩に負けないように、俺も頑張らなくてはな。

そう思っていると、ヴォルムが話しかけてきた。

「スマル、お前に教えているのは今のところ全て魔だ。それも殘すところは超級だけ。だが超級を教える前に他のも理解しておかないと後々面倒だ。次からは呪と妖、それからマイナーなを教えるからな」

いつもは俺の意見を窺ってから方針を決定するヴォルムが、今回は決定事項だというような、有無を言わせないような空気でそう伝えてきた。

そこまでしないと習得できない超級魔とは、一どんな魔なのだろうか。

気になるところである。

俺は超級魔に思いを馳せながら特訓を続けた。

一方で、モミジとユキはあーだこーだと議論を始めていた。

離れた場所にいる俺にはその容を聞くことはできないが、きっと拙い言葉遣いで技能スキルの運用について言い合っているのだろう。

それはフィオ姉とイチョウもしていたことである。

俺はそんな二人の長に期待して、一緒に旅に出れたら楽だろうな、と怠けたことを思うのであった。

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時は流れ、俺は十四歳に、モミジとユキは十三歳になった。

俺がここに來た時にいた面子はもうおらず、今では俺が最年長者だ。

ヴォルムからは未だにいろいろと教えてもらっているが、そろそろ數が増えすぎて使いきれなくなりそうだ。

そうなったら無理に使わず、自分が得意、または使いたいものだけを上達させれば良いとヴォルムは言うが、だったら教える必要もないのではないだろうか。

直接それを言ってみたこともあるが、ヴォルムはいつか使うかもしれないと聞く耳を持たない。

確かに、いつ使うんだってくらい使える場面が限定されているようなでも、その場面になる可能が全くないわけではない以上、覚えておいて損にはならないだろう。

だがどうしても、そんな限定的なものを覚えるくらいなら日頃から使えるを磨きたいと思ってしまう。

いつかの授業で「自分が使わなくても構造を理解していれば、ける側になった時に対処がし易いだろ」と言われ、俺もそれに納得したが、さすがに基礎が理解できた辺りから未知のでもなんとなく構造が分かるようになった。

まだそれについては話していないが、今度変なを教えられそうになったらもう必要ないと言ってみよう。

段々とヴォルムが鬱陶しくなってきた俺だが、孤児院での暮らしはそんなマイナスな面だけではない。

最近も嬉しいことがあった。

モミジとユキに、一緒に旅に出ようとわれたのだ。

前から慕われているとは思っていたが、このいは何とも嬉しいものだ。

二人は十三歳――あと十日ほどで十四歳――だが、この世界での一年が四百日であることを考えると、元の世界では確実に十五歳を超えていることになり、つまるところ中學を卒業していてもおかしくない年頃なのだ。

実際の誕生日にヴォルムから著が何著か贈られ、イチョウと同じく著にを包むことが多くなった二人は、まださが殘っているとはいえ、ほぼ完全にのつきになっている。

しかも人だ。

妹のように思っているが、は繋がっていない。試練の多い旅になりそうだ。

ちなみに二人の戦闘スタイルは固まっていて、二人とも鉄扇を主力武としている。

教えたヴォルムが意外なことに民族だとか生まれだとかを気にする質たちだったようで、鉄扇の他には妖を使うことができる。

もちろん特異技能ユニークスキルも健在で、見た目以上に攻撃的に仕上がっている。

そんな二人と組む俺はというと、回復系の魔、妖、呪を網羅し、マイナーなも何個か使えるようになった。

何より大きいのは「源力オリジン」と「魂力こんりょく」をエネルギーとした複合技――死者蘇生だ。

これは死んでから一定期間なら、使用するエネルギーに応じて使者を蘇生できるというだ。

これでもしものことがあっても大抵のことは大丈夫だろう。

防系でも有名どころは網羅し、屬を付與した結界や、魔力障壁の練度は一國家の防力にも匹敵すると評価された。

とりあえず怪我をすることはそうそうないだろう。

攻撃系は心もとないじではあるが、ヴォルムがよりもその質が大事だと言っていたので、日々鍛錬して行こうと思う。

そして、武についてだが、俺は武を持たないことにした。

一応、剣や槍など棒狀の得なら人並み以上に扱えるのだが、どうしても魔を主力とするには邪魔になってしまう。

格闘なら小回りが利いて両手が自由になるため、この形に落ち著いた。

それから三人で連攜の練習をして、すぐにでも試験をけに行こうということに決まり、俺たちは何日も特訓をした。

――三人での連攜が、これからける試験において全く役に立たないとも知らずに。

來週、再來週はまた更新が不安定になりそうです。

極力更新できるようにしますが、基本的にどちらかはないものだと思ってください。

追記11/28：ルビが上手くふれていなかったので修正いたしました。