｢う、う〜ん。｣

おおよそ十二畳ほどの広さの部屋に、天蓋付きのベッドが置いてあり、そこには児といっていいような男の子が寢ていて、寢苦しいのかしき聲をあげている。床には明らかに高級そうな赤い絨毯が敷いてあり、飲みを零したら即數百萬円は飛びそうである。

暫くするとパタパタと足音が聞こえ、部屋の前で止まっり、數瞬後にドアをノックした。

ーコンコンー

｢失禮します、トリス様。｣

そう言いながらってきたのは二十代前半と思しき。どうやら格好から察するにメイドのようだ。長い金髪を後に束ねている。

｢おはようございます、トリス様。朝食の用意が整いました。｣

彼は児に向かって聲を掛ける。すると寢ぼけまなこをりつつも児はびをしながら起き上がる。

｢…ん〜。おはよう、リーナ。すぐに行くからもう大丈夫だよ。｣

児にしては々大人びた喋り方だ。

｢はい、畏まりました。お著替えは鏡臺の前に用意致しました。それでば失禮します。｣

深々とお辭儀をしつつ、リーナと呼ばれたは部屋から出て行く。

｢…はぁ〜。いつまでたっても慣れねぇな〜。まあ、第三王子････である俺は、後十年ちょっとの辛抱だけどな。｣

児は先程とは打って変わって雑な言葉遣いになった。皆さんはもうお気づきだろうが、トリスと呼ばれていた彼こそが転生者である。彼の言葉から分かるように、何と王族の一員として生をうけたのだ。彼の意識がトリスとして目覚めたのはつい數ヶ月ほど前で、それ以前のトリスの記憶は生活に困らない程度に覚えている。恥プレイという名の児験をせずに済んで良かった〜と心の底から神に謝したそうた。

｢おっと、早く著替えて食堂に行かないと！｣

彼は鏡臺の前の椅子に置いてある服を手に取り、鏡を見つつ著替える。鏡には眠そうな黒髪黒目････の可らしい顔が映る。欠を噛み殺しながらも手早く著替えを済ませ、汲んである水で顔を洗い、寢癖を軽く直す。

｢よし。行くか。｣

児には々重そうな扉を開け、彼は食堂へと向かうのだった。

トリスが食堂に著くと、そこには既に彼以外の王族が勢揃いしていた。

｢父上、母上、ベル兄様、クリフ兄様、おはようございます。｣

｢｢｢｢おはよう、トリス。｣｣｣｣

彼らは笑みを浮かべながらそう返してくる。

トリスが席に著き、食事が始まる。

ライ麥パンっぽいパンに、名前のよく分からない果を使ったジャム、そして塩胡椒で味付けされた溫かい野菜スープが運ばれてくる。王族でも溫かいスープが飲めるのは、何でもこの世界には毒を探知する魔法があるらしいからである。

いい加減このパンにも飽きたな〜と思いつつも、食事中に會話を行うことは行儀が悪いとされているためトリスは黙々と食事をとる。王族なので、マナーには厳しいのである。

食事が終わると次はお茶の時間である。業務で忙しい王族にとって、數ないコミュニケーションの場となっている。紅茶を片手に家族での會話を楽しむ時間となっているのだ。

｢ところでトリスはそろそろ五歳だよな？｣

暫く會話を続けていると、急にベル兄様こと第一王子のベルトランがトリスに話し掛ける。因みにベルトランは十三歳で、金髪碧眼のザ･王族というじのイケメンである。

｢お、という事はステータスの鑑定が出來るのか〜。｣

とクリフ兄様こと第二王子のクリストフも橫から會話に加わる。クリストフについても説明をすると、十一歳で銀髪右目が紅で左が碧のオッドアイの年である。

｢え？ステータスの鑑定ですか？あ、そういえば五歳になると教會で出來るというのを本で読みました。何で五歳からなんですか？｣

トリスがそう質問すると、二人の兄は首を捻る。

｢何でだろうな？クリフは分かるか？｣

｢いえ、僕も分からないです。…父様はご存知ですか？｣

二人だけでは回答に窮したため父であるオウギュストに助けを求めたようだ。オウギュストは三十三歳でベルトランと同じ髪と目のをしている。そして超イケメンである。

オウギュストはベルトランとクリストフの質問に、苦笑いをしながら答える。

｢それはだな、人間族の五歳以下の死亡率がとても高いからだな。主に死因としては病死と死だな。というか習わなかったのか？｣

-なるほど。父様が苦笑いしている理由はこれか…。この兄達はド忘れしやがったんだな。-

そんな心とは裏腹にトリスは笑顔でお禮を言う。

そのでは、今まで空気だった母上ことフランセット（二十九歳銀髪青眼の超人）が、『もっと厳しく指導しなきゃね…。』と呟いていて、偶然にそれを聞き取った二人の兄達は震え上がったそうだ。