《転生王子は何をする?》第37話 嫌な予がします

「いえ、私としては會いたくはありませんでしたが?」

「え?…き、君は聞いていたより、大分辛辣なんだね。」

トリスの言葉に落ち込んでしまうローマン。だが流石はギルドマスターと言うべきか、即立ち直り何事も無かったかのように振る舞い始める。

「よ、ようこそ。君がトリス君だね。」

訂正だ。大分心にきていたようだ。しかし仕方ないのでとは普通に會話に応じることにした。

「はい、初めまして。私がトリスです。ギルドマスター直々に私に會いたいとの事でしたが、何か用でしょうか?」

「いや、なに。君の顔を拝んでみたいと思ったので、こうして足労願ったわけですよ。…フードを取って貰えるかな?」

ローマンはニヤリと笑いながら

「!驚きました。このフードには、認識阻害として『フードで顔が見えないという事』を疑問に思えないようにしてあったはずなんですが。」

トリスは本気で驚いてしまう。

ニーナにいたっては何をローマンが言っているのか理解出來ていないようで、つい口を挾んでしまっている。

「え?何のことですか?」

「まぁ、ニーナさんは中に嵌ってるけれど、その報告のおで君が何かしらの魔法で正を隠しているのが分かったんですよ。私がトリス君の容姿を聞いても、ただ『フードを被っている』とだけ。フードの下がどのようになっているのか、全く気にならないようでした。なので々と魔道マジック・アイテムを用意して、それと持ち前のスキルで何とか対処が出來ましたよ。」

未だに首を捻っているニーナを橫目に、トリスは心するしか無かった。

「いや〜、お見事です。しかし見せることは出來ないですね。」

トリスが斷ると、ローマンからの圧力が強くなった。

「何故ですか?」

「実は私はやんごとなき分の者なんです。で、々とバレると面倒臭いですし。」

「やんごとなき分ですか?」

「え?え?き、貴族様!?」

今まで話についていけてなかったニーナも、やんごとなき分という単語に反応し、その顔を青ざめさせてしまう。どうやら先程までの自分の対応を思い起こし、失禮な事をしでかしてしまったと思っているようだ。

そのためという訳では無いが、トリスは慌てて噓の報を開示する。

「いえ、別に私は貴族では・・・・ありません。ただバレると面倒臭いだけです。まぁ、私の顔を見たところで、正がバレることはまず無いでしょうが。」

確かに貴族では無いが、それより上の王族である事は伏せる。だがトリスの口調にローマンは何かをじとったようで、大きく溜息をつくと言った。

「…はぁ。まぁ、いいでしょう。今は戦力がしいところですし。」

「?今は戦力が足りないんですか?と言うより何か脅威でもあるのですか?」

「いや、その…ですね。実は今年は魔族が攻めてくると予想される年なんですよ。」

「はい?ちょっとよく聞こえなかったので、もう一度お願いします。」

唐突にぶっ飛んだ事を言い始めたローマンに、トリスは思わず素で聞き返してしまう。

「はぁ〜。だから、今年は魔族が攻めてくると思われる年なんです。魔族には3種類あるのは知っていますね?」

「えぇ。人型と型、それに昆蟲型ですよね?」

魔族には、トリスが挙げたように3種類居る。それぞれ知能が高いのだが、人型は特に知能が高く、型は能力が高く、昆蟲型は毒や様々な耐などの特異を持っている。

危険なため、生態等はあまりよく分かっていない存在で、現在はトリスが本を読んだ限りではこの程度しか分からなかった。だがローマンは衝撃の事実をトリスに突きつけてくる。

「はい、そうです。その3種類の魔族はそれぞれ9年、11年、13年の周期で大量発生します。その時に我々の領土へと進行してくるのです。これは近年の研究で分かりました。で、前回は人型が9年前に攻めてきたので、今回も同じく人型が予想されてます。」

「え?若しかして、前々回は人型の2年前で魔族の中心は型でしたか?」

「はい、そうでしたけど?…あの時は大変でしたね。もう魔族とは戦いたく無いと、心の底から思いましたよ…。」

ローマンは死んだ目でブツブツと呟いている。だがトリスはさらに聞かなくてはならない事があるため、必死にローマンを現実に引き戻すため、貓騙しを行う。

『パン!』

「わ!あれ?私は先程まで一何を?」

ローマンはキョロキョロと周りを見回している。どうやら本気でトラウマ験をしてきたようだ。だがそんな事はお構い無しにトリスは質問する。

「その型の2年前は昆蟲型が攻めてきませんでしたか?」

「え、えぇ、そうですが、何か問題がありますか?」

「はぁ〜…。最後の質問です。今から1287年前に、魔族が最大規模の軍勢を率いて攻めてきませんでしたか?」

「ん〜、確かに1300年くらい前に、未曾有の大災厄があったかな?それがどうかしましたか?」

ローマンは『何言ってるんだ?』と訝しげにトリスを見つめる。

「はい、どうかしてますよ。今年はその大災厄の再來ですよ。」

「は!?どういう事ですか!?」

トリスの放った言葉に、ローマンは思わずんでしまうのだった。

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