《転生王子は何をする?》第41話 Q.この最悪の狀況を切り抜けるには?

転移により再びギルドマスター室に戻ってきたトリスに、その場に居た3人は驚いてしまう。

「と、トリスさん!?何処から現れたんですか!?」

「お、俺の目には急に現れたとしか映らなかったんだが…。」

「事を、説明していただけますよね?」

最後のローマンの有無を言わせないような言葉に、トリスは苦笑いしながら自分の行ってきた事を説明する。

「まぁまぁ、落ち著いてください。1から説明しますから。まず、魔族の位置を確認した私は、比較的近くに居た5,600ほどの魔族の集団の近くに転移して、氷漬けにしてからまた転移で戻ってきました。」

「「「…。」」」

3人は完全に固まっている。どうやらキャパオーバーのようだ。その様子を見て、『信用されてないかな?』と思ったトリスは更にとんでもないものを取り出す。

「あ、証拠はこちらです。」

見せるために持ってきた氷漬けの魔族數を収納インベントリーから取り出して、部屋の隅に設置する。今にもき出しそうな、妙な圧をじる氷像であり、質素なギルドマスター室にピッタリな置となった。

「「…。(バタンキュー。)」」

「「あ…。」」

脳の処理能力がついていけなくなったのか、落ちてしまったニーナとマックス。しかし2人が倒れ込んだ事で正気を取り戻したローマンはトリスと聲を合わせてその景を見送る。

「だ、大丈夫ですか!?と、トリスさん!彼らをそこのソファーに運び手伝いをお願いします!」

「はい。」

トリスは言われるまでもなく、まずはレディファーストという事でニーナを抱えてソファーに優しく寢かす。次はマックスだ。『男をお姫様抱っこって誰得!?』と思いつつもまるで堆った袋を扱うようにソファーに投げ捨てる。

そんなトリスを見てつい笑ってしまったローマンは、今はそれどころではないと気を引き締め直してトリスに再び問う。

「貴方は何者なんですか?」

「ただの若僧ですよ。々と特殊な力を持ってますけどね。」

トリスははぐらかしながらも、魔族達の位置をマップで再確認する。どうやら深淵の迷宮方面に居る魔族軍は、王都まで殘り10キロちょいまで迫っているが、無限の迷宮方面に居る魔族軍は、先行部隊が全滅したことでその行軍が殘り5キロ程で止まっている。

そもそも大軍であるため、その行軍速度は微々たるものであり、恐らくは30分は猶予があると予想される。トリスにかかればその短時間で王都の守りを完全に固めることが出來る。しかしことを上手く運ぶにはギルドマスターであるローマンの協力は必要不可欠であるため、説得することを決斷する。

因みにここまでの思考時間は凡そ1秒である。どうやらレベルアップにより大幅にINTが増加した事による恩恵だろう。

「ローマンさん。」

「何ですか?早く対策を練らねばならないのです。トリスさんも何か作戦はありますか?あれば何でもいいので言ってください。」

ローマンは自の好奇心を後回しにしたのか、トリスの事ではなく魔族に対して意識を向けていた。しかし正不明の男に意見を求めている事から察するに、余裕は全くなく焦っているのが丸分かりであった。

「どうせ今のままでは何も出來ずに全滅するのが目に見えていますよね?」

「今は、そうならないために必死に策を考えているのです!」

「しかし何も思い浮かばない。そうですよね?」

「…えぇ、そうです!クソっ!もっと戦力をこちらに殘しておけば!」

ローマンはついにを抑えきれなくなり、大聲で喚き散らす。こんな狀況なら、誰でも自暴自棄になるだろう。その意味では先程落ちてしまったニーナとマックスは幸せであったかもしれない。

だからこそトリスはこの作戦を告げる。余裕の無い狀況であるからこそれられる、このぶっ飛んだ作戦を。

「…本當に出來るんですね?」

「えぇ、出來なければ私も困りますからね。それに、ローマンさんは私を信じる他ないですしね。」

「はぁ〜。こんな作戦とは言えないような作戦に頼ることになるだなんて、そろそろ引退して靜かに余生を過ごせという神の思し召しですかね?」

まるで憑きが取れたかのように、靜かに言葉を発するローマンにトリスは肩を竦めながら言う。

「その言いようだと、まるでこの作戦が功して、この後もあるみたいなじですよ?」

「ふふっ。確かにそうですね。…では、後はお任せします。」

「はい、任されました。其方もちゃんとやって下さいよ?」

トリスは転移で目的地まで一気に移する。トリスが掻き消える様子を見ながら、ローマンは冒険者達の集まる付まで向かうのだった。

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