《転生王子は何をする?》第49話 盜賊は見敵必殺です

暫く騎士と會話をしていると、馬車から1人のメイド?の様な人がやってくる。

「ユリウス団長、ちょっとお話が…。」

「ん?何だね?」

-あ、やっぱり団長さんなんだ。-

メイドさんがこちらを窺うように見ながら會話しだす。

トリスは能力は上位の冒険者程度・・しか現在は持っていないので、殘念ながらあまり上手くは聞き取れない。

しかし雰囲気と偶に聞き取れる単語から察するに、どうやら馬車に乗っている彼らの主人がトリスに直接お禮を言いたいという事と、メイドさんとしては何処の馬の骨とも知らないトリスに不用意に近付いてしくない事が分かった。

「う〜む、どうするか?」

団長が頭を悩めていると、馬車からびが聞こえる。

「ちょっ!お待ちになって下さい!危険ですってば!」

「僕の実力を知っててそんな事言ってるの?大丈夫だって!何かあれば全力で離するから!」

トリスは苦笑いしながら団長に言う。

「じ、自分はそろそろこの辺でお暇させて頂きますね。」

「え?い、いやしかし、見ての通り主人がこちらに向かってきてしまっているので、せめて挨拶だけでもして下さい。…逃がしたとなれば、後でグチグチ言われるのは我らなんですから。」

団長は笑顔でトリスの両肩をガシッと摑み、逃がすかと圧力をかけてくる。

「し、しかしそこのメイドさんや、必死に止めようとしている方は、俺に會ってしくないみたいですけど?」

『ウンウン』と頷いているメイドさんを、苦い顔で一瞥すると、団長はトリスに向き合って説得しようとする。

「そ、そんな事はないゾ〜!コワクナイヨー!」

「片言やめい!寧ろ不安になってくるわ!」

初期に比べて遠慮の無いやり取りをする2人。しかしそんな事をしていれば、當然彼らの主人はこちらに辿り著く。

「君が弓で援護してくれた人かい?ありがとう!君の援護が無ければ、こちらにも多の被害はあったと思うよ。あ、僕の名前はホルスト・ラ・レンバッハ。一応侯爵家の次期當主候補なんだ。」

ならば、いや男でも惚れてしまいそうなほど綺麗な笑を浮かべてトリスにお禮を言っていくる。そんなホルストに、素で吃りながらもトリスは返答する。

「い、いえ!先程団長さんにも言いましたが、たまたま目にったので助けにっただけであり、さして褒められるような事はしていないかと。」

「君、ちょっと畏まりすぎじゃない?同年代っぽいし、もっと砕けた口調で話そうよ!こんな大自然の中じゃ、人に貴族も平民もないんだよ?」

-何で侯爵家の跡取りがこんなセリフを言うんだ!?これが『ハーレム製造機(予定)』を持つ者の実力なのか!?-

そう、彼は數年前のパーティにおいて、トリスに目を付けられた哀れな年である。

元々トリスは彼の友人枠で、彼の引き起こすイベントを間近で楽しむ予定だったのだ。しかしこんなにグイグイ來られるとは予想していなかったのだ。

「え、え〜っと、その。」

「?」

ホルストが首を傾げる中、トリスは目線で団長とメイドさんに問う。『マジで雑な口調ではしても良いのか?』と。すると団長は意外な事に苦笑いしながらもあっさりと頷き、メイドさんは予想通り渋い顔で頷く。というかメイドさんはまるで親の敵のようにトリスを睨みつけている。

「…分かったよ、ホルスト。ところで災難だったな、こんな所で盜賊に襲われるだなんて。」

トリスの口調に顔を輝かせて喜びながらも、ホルストはすぐに真面目な顔に戻って言う。

「そうだね。この國の盜賊は、數年前から減傾向にあるからって油斷していたよ。」

傾向にある原因の1つが目の前にいるとは知らずに、ホルストは話を続ける。

因みに何故トリスが盜賊の減る原因となっているかというと、以前冒険者トリスとしてけた依頼の中に、盜賊討伐というのがあった。その依頼の最中に、彼らの手口ややることなすこと全てを見たトリスは、上級火屬魔法のムスペルヘイムすら生溫いと言えるような烈火のごとく怒りを発させ、人質や盜賊が溜めていた財寶を運び出した後に何も知らない盜賊ごとそのアジトを吹き飛ばしたという出來事があった。

それ以來トリスが盜賊は見つけたら殲滅と心に決めていため、この國は盜賊にとっては居づらい環境となっている。

それは兎も角、トリス達は盜賊についての考察を進めていくのだった。

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