《転生王子は何をする?》第53話 道中ですね

ローゼマリー一行も加わり大分賑やかなった旅路は、特に問題無く順調に目的地へと向かっていた。トリス、ホルスト、マクシーネの3人は歳も近いということもあり、同じ馬車に乗って和気藹々と會話していた。因みに席の配置はトリスとホルストが並んで座り、その対面にマクシーネというものだ。

「へ〜、ローゼマリーさんは伯爵家のご令嬢なんですか。…この圧倒的分差、何か場違いな気がしてきたわ。後はお若い2人でどうぞ〜。」

「いや、僕達歳同じじゃん!それに分差とか今更だし!」

トリスが巫山戯て馬車の扉に手を掛けて、出ていこうとするとホルストからツッコミがる。

「ふふふ。二人は本當に仲が良いのですね。」

「「そうですか?」」

息ピッタリなセリフに、思わず2人で顔を見合わせてしまうとまたローゼマリーから笑われてしまう。

「ええ、まるで長い付き合いかのような印象をけます。」

「でも僕達、」

「出會ってから數日ですよ?」

ホルストの言葉をトリスが引き継いだ形になった。トリス自も別にここまで狙ってホルストに目を付けて、半ばストーカー紛いのことをしていた訳では無い。トリスとホルスト相の良さは、ただの偶然であったのだ。

兎も角、こんな調子で旅は続いていく。

二人は、學園都市にどのような用があるのですか?」

「僕達はトゥール學園に學しようと思ってるんですよ。」

「はい、そうです。」

ホルストとトリスの言葉に、ローゼマリーは喜びを発させる。

「まぁ!実は私もトゥール學園に學する予定なのですよ!」

「おぉ、奇遇ですね!」

「僕達みんなで學出來るといいですね。試験対策とか何かやってますか?」

ホルストの『試験』という言葉にトリスとローゼマリーの2人は固まる。

「ちょっと俺は學力試験が不安かな?」

「私は実技試験が苦手です。特に武です。」

トゥール學園には學條件として、15歳以上であること。それと學力試験、武、魔法の実技試験を突破することが課せられている。

「あ〜。うん、まぁ2人なら大丈夫だよ!きっと。」

2人の微妙な表に、ホルストは曖昧な笑みで元気づけようとする。

「きっとって、何かイマイチ釈然としないけど、まぁいっか。」

「いいんだ。」

「私は學園都市に著いたら空いている時間に、武試験の練習を行うつもりです。トリスさんは勉強頑張ってくださいね。」

「…は〜い。それよりも、武だったらホルストが教えればいいんじゃね?」

「僕?う〜ん、マリーが良いなら練習相手になるくらいは出來るけど?」

「ほ、本當ですか!?ぜひお願いします!…トリスさんグッジョブです。」

「ん?何か言った?」

マクシーネの後半部分のセリフは小さく呟く程度であったので、ホルストにはイマイチ聞こえなかったようだ。

「い、いえ。何でもないです。それよりも、ホルスト様は學園都市に著いたらどちらに滯在されるのですか?」

「僕はレンバッハ家の屋敷があるから、そこで過ごす予定だよ。學園にもそこから通おうと思ってるんだ。」

「私も同じようなじですね。では、到著して落ち著いてから、使いの者をそちらに向かわせますので、都合の良い日を押してください。私がそちらのお屋敷に向かいますので。」

さり気なく蚊帳の外狀態になっているトリスは、全力で2人を揶揄うことに手中する。

「おぉ〜。いきなり二人っきりでお家デートだなんてやる事が大膽ですな〜。」

しかしそんな揶揄いは、予想だにしないホルストのセリフであっさりと切り崩される。

「ん?何言ってるの?トリスも勿論一緒だよね?」

「へ?」

「え?」

「え?」

上から順にトリス、ローゼマリー、ホルストである。

「た、確かにトリスさんも常人とは思えないきをしますし、練習相手には丁度いいですよね。」

いち早く立ち直ったローゼマリーが、フォローになっていない言葉を早口で言う。

「いやいや。『も』って何ですか?『も』って。それでは俺も、ホルストみたいに人間辭めた実力の持ち主ってことになりません?」

「誰が人間辭めてるんだい!?僕は正真正銘人間族だよ?」

『ジトー』

トリスとローゼマリーから疑いの視線が注がれる。

そんな狀態に、居心地の悪くなったホルストは話題を無理矢理変えようとトリスに話題をふる。

「と、ところでトリスは學園都市に著いたらどこに泊まるんだい?アテはあるの?」

「ん〜?いや、無いけどその辺の宿屋に泊まるつもりだけど?最悪外でも良いし。」

『ステータス元に戻せばどうとでもなるし。』と、トリスは呑気に返答すると、ホルストは思った以上に反応した。

「いや、良くないでしょ!それなら僕の屋敷に泊まればいいよ。」

「え?悪くないか?」

「…ホルスト様と同じ屋の下。羨ましいです…。」

話し合いに夢中になっているトリスとホルストには聞こえなかったが、ローゼマリーは妬ましそうにトリスを見ながら呟く。

「兎も角!トリスは僕の家の騎士の恩人なんだし、友人なんだから、誰が何を言おうが僕はトリスを歓迎するよ。」

「そ、そうか。ありがとう。そうさせてもらうよ。…はっ!?」

ここで漸くローゼマリーの視線に気付いたトリスだったが、今更斷るのも悪いのでどうしようもないのであった。

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