《転生王子は何をする?》第90話 テンプレ展開は、心が踴ります

壇上へと上がったホルスは、聲を拡張する魔道マジック・アイテムが設置されている、名稱不明のよく學式や卒業式などの學校の式典で見かける機(演臺というらしい)の前に立つと、一禮してから話し始める。

『ご紹介にあずかりました、新生代表のホルスト・ラ・レンバッハです。私は、今日という日が早くくる事を待ちんでいました。しかし、それと同時に『一どのような出來事を、これからこの學園で験するのだろう?』と、し不安な気持ちもありました。

しかし、そんな私や、恐らく私と同じような気持ちであった今年度の新生一同に対して、祝福の言葉をかけて下さった學園長達のお話を聞き、そのような気分も一気に吹き飛び、『この學園に學出來て良かった』という気持ちが新たに湧いてきました。

話は変わりますが、私には同年代に友人と呼べるような人は、今まで居ませんでした。しかしこのトゥール學園に向かう際に2人、そして合格後にも2人友人が出來ました。これは私にとっては驚くべき事でありますが、それだけで満足するつもりはありません。私はこの學園で勉學に勵むと共に、更に多くの友人と3年間を過ごしたいと思っています。

…これ以上長く話していると、皆さんに『空気読め!』と嫌われてしまうかもしれないので、ここまでとします。

ご清聴ありがとうございました。』

そう締めくくると、ホルスは最初にした禮よりも更に深くお辭儀をする。

それと同時に、會場は拍手に包まれるのだった。

「最後のボケは、あんまりけてなかったな。」

「うっ。し、仕方ないじゃん。盛大にボケても『巫山戯るな』って思われるかもしれないし…。」

席に戻ってきたホルスに対し、トリスは開口一番手厳しいツッコミをれる。するとホルスは一仕事終わったばかりの疲れたオッサンを彷彿させる顔付きで、『よっと』と言いながら椅子に腰掛ける。

それを見てトリスは苦笑いする。

「お疲れさん。」

「うん。あ、でもまだ式は終わってないから、話すのは後にしようよ。先生がちょっと睨んでるよ?」

ホルスの視線の先には、小聲で喋っているのに聞こえているのか、司會役の先生がこちらに咎めるような視線を向けていた。

「りょーかい。」

その視線に、トリスは慌てて壇上に上がって話している、在校生の代表らしい子生徒に意識を向ける。

『―――毎年居らっしゃるのが、自分がここでも通用するものであると勘違いし、他の生徒とめ事を起こして退學になる貴族の子弟の生徒です。くれぐれも注意して頂きたいのが、この學園は分に関係なく、全員が平等な授業がけられるという點です。それを妨げるのであれば、例え王子であっても例外なく退學となります。これは王より直接授かったこの學園の権利であり、絶対不可侵なものとなります。ですので―――。』

長文なのに、全く噛まずに聞きやすい聲で説明をしている、金髪に金の瞳に、ありとあらゆるが『理不盡だ!』とびたくなりそうなプロポーションの在校生代表を目に、トリスは隣のホルスに小聲で話しかける。

「なぁ、あれ誰?」

「あの人はこの學園の生徒會長の、ユーリア・ビレンコーフェンさん。子爵家の方だよ。先生の話を聞いてなかったの?」

「せ、生徒會モグっ…。」

「ば、馬鹿。靜かに。」

驚いてびそうになったトリスの口を、慌ててホルスが塞ぐ。

『おや?どなたか私を呼びましたか?』

どうやらトリスの聲は屆いていたようで、疑問形で聞いているが、その金の雙眸は完全にトリスを捉えていた。

真顔の狀態で視線がロックされている事に気付いたトリスは、大慌てで全力で首を橫に振る。それを見たユーリアは、興味無さそうにトリスから視線を外そうとするが、その隣に居るホルスを見て、面白うな表を一瞬顕にしてから、再び真顔に戻る。

『…どうやら私の気のせいでした。申し訳ありません。

話は変わりますが、今年は先生方ですら頭を抱える規格外の生徒が2人も學したそうです。試験の點數は満點を超えるほどであるそうです。そのうちの1人は、先程の新生代表のホルストさんですが、もう一方は平民の方だそうです。このように、分に関係なく有能な人材が発掘されるのは、この學園の趣旨にもかなっており、大変好ましい事です。』

ユーリアは何事も無かったかのように、話を続ける。そのユーリアの視線から開放されたトリスは、その頬が弛むのを必死に耐えていた。

「ふふふ…。クーデレ要員ゲットだな。」

「ん?」

「…。」

つい呟いてしまうが、橫から飛んでくる鋭い視線に、慌ててトリスは口を噤むのだった。

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