《転生王子は何をする?》第92話 煽り耐無さすぎでは?
「?皆さんどうかされましたか?」
周囲から殺到する殺気に、トリスは心底不思議そうに首を傾げる。
「貴方、一何様のつもりなの?」
「?平民様ですけど?そういう君は?」
ホルスを取り囲んでいた者の中から、1人生徒がトリスの前に腕組みをしながら聞いてくる。その生徒はザ・お嬢様といったふうな、金髪縦ロールのまぁまぁ可らしい、しかし鋭い目付きのため可らしさ半減の生徒だった。それに対してトリスは完全に舐めきった答えを返す。
「私はヴァイスコップ子爵家長、テクラ・ヴァイスコップよ!貴族に対しての禮儀を、貴方は知らないのかしら!」
「禮儀ですか?貴族であるというだけで遜れと?そんな法律でもある?俺は聞いた事無いけど。」
イラついた様子で、分を強調して自己紹介してくるテクなんちゃらさんを、更に煽るトリス。
「そ、そんな法律は無いわ!けれど平民は貴族に対して、その、傅くのが當たり前なの!だって、貴族と平民では…そう!流れるが違うもの!貴族は貴方のようなパッとしない平民とは違って、選ばれし分なんだから!」
「そういう慣習って事?ま、仕方ないから百歩譲ってそこは言う通りにしてやろう。テクラ様、數々の非禮お詫びいたします。…これで宜しいですか?」
無茶苦茶な事を言うテクラに、トリスは嘲笑に近い表で馬鹿にしたように謝る。
「そんなんで、謝ったつもりか!」
「そうだそうだ!」
「今すぐ跪いて、頭を垂れて謝れ!」
トリスとテクラのやり取りを聞いていたクラスメイトのうち、幾人かが罵聲を浴びせてくる。殘りは早く終わってくれという表を浮かべている。
因みにホルスはトリスの考えが読み取れず、止めようかどうか迷っているようだ。また、リタとリア、ローゼマリーは、気さくなトリスがまるで人が違ったように煽っている様子を見て、唖然としている。
「──決闘よ!私と決闘しなさい!どうせ貴方のような下賎の者がこの學園に學出來たのは、何かの間違いでしょう!ならば私の実力を以て貴方を斷罪します!」
黙り込んでいたテクラは、もう我慢出來ないとばかりに、顔を真っ赤にしてそう喚き散らす。
するとトリスはニヤリと笑いながら、二つ返事で了承する。
「了解した。なら、今日これから擔任のマルティナ先生にでも頼んで、験に使った競技場あたりを解放してもらおう。まぁ、平民如きを倒すのに準備が必要であるというのならば、そちらが期日を決定して構わない。」
「!そんな必要はありません!放課後、競技場で決闘です!」
トリスに見事に乗せられたテクラは、更に顔を紅させて決闘の宣言をする。
「はい、決定!じゃ、この話はここまで!お〜い、ホルス〜。折角だから席隣にしようぜ〜。」
「う、うん。」
テクラが全ての條件をのんだ瞬間、有無を言わぜずに話を唐突に変えるトリス。あまりの変わりの速さに、ホルスですらも対応出來ずに戸うのみである。
「は〜い、皆さん遅れてすみません、ね?何事ですか、この空気は?」
丁度その時、マルティナが教室のドアを開けてって來て、中に流れる微妙な空気をじて生徒達に問う。
「マルティナ先生。多分皆さん初対面が多いんで、張して妙な空気になってるのでは?」
トリスが呑気にな聲でそう言う。『いや、お前のせいだよ!』と、クラス全員の考えが一致した瞬間だった。
「あ、トリス君、久しぶり。試験日以來だね。學園に遊びに來てくれても良かったのに。若しくは私が今暮らしてる、教員用の寮に直接でも良かったよ?」
マルティナは、トリスが話しかけてきたと分かったと同時に、先程までの先生モードのキリッとした表から、のような和な笑みを浮かべる。
「ヲイ!あんた教員なのに、何でそんなに生徒に対して親しげなじで話しかけてんの?あ、タメ口すみません。先生がツッコミ所満載の事を言うので、つい素が出てしまいましたよ。」
明らかに一介の生徒に言う言葉でないため、思わずトリスも反的に言い返してしまう。
「やだ、突っ込むだなんで。そういうのは、もっとお互いに親しくなってからで…。」
「ヲイ!!それは本格的にマズイよ!あんた教師クビになるぞ!?」
「く、クビは困るよ〜。あ、でもそうなれば、トリス君に養ってもらえば…。」
「あ、今俺ホルスの家に厄介になってるんで、養うとか無理っす。序に俺にあんたを養うつもりは、さらさらありません!どうしてもっていうなら、ホルスあたりに頼んでください。」
「え〜、そんな〜。私はトリス君が良いのに。…あ。ごめんなさい。では、ホームルームを始めます。」
トリスとマルティナのやり取りに、周囲から『どういう関係なんだ!?』と視線が向けられ、それに気付いたマルティナは何事も無かったかのように振る舞い始める。
「コホン。え〜っと、Aクラスの擔任になりました、マルティナ・アルムガルトです。擔當教科は魔法全般をけ持っています。何か質問はありますか?」
その言葉に、生徒達はしざわめく。先程のやり取りについて、やはり気になるようだ。
しすると、勇気ある男子生徒が1人、手を挙げて質問する。
「はい、質問です。」
「はい、どうぞ。大抵の事には答えますよ?」
「えっと、トリス君との関係ですが、どのようなじなのですか?」
その質問に、クラス中は『良く言った』とどよめく。
クラス中の視線が向けられる中、マルティナはその口を開くのだった。
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