トリスは、衝撃のマルティナの稱號を見て呆然としたが、慌てて謎スキルと謎稱號の解析に移る。

天使の囁き:スキル保持者の、今現在最も知りたい事を、蟲の知らせ的な覚で知らせる。『知りたい』という強いを持つ事で、度が上がる。知りたい事に関して抱く深い、激しい憎悪等が例に挙げられる。

また、保持者にとって都合の良い出來事を強制的に引き起こす事もあるため、LUK値は表記されなくなる。

夢見るお嬢様:白馬の王子様（この場合は、トリス君だね！）が、迎えに來てくれるなどという事を、本気で信じているお嬢様に送られる稱號。

天使:そのらしさ、格の良さから、不特定多數の者からを寄せられる者に送られる稱號。（基本皆に優しいから、この稱號を持っている子は、嫉妬に狂った勘違い系男子に刺されることも多々あるよ！トリス君が頑張って守ってあげてね！本當にいい子だよ！）

トリスタン･ラ･トゥールにぞっこん:最早文章でごめんね！こんな特定の人に対する稱號なんて、初めての事でシステムが上手く適用されなかったみたいだね。一応この子は僕が直接監視している者の1人だから、稱號が表れたその瞬間に、トリス君にしか見えないようにしたから、君の正はバレてないから安心してね！By創造神

｢…。｣

トリスはその場で頭を抱えて蹲ってしまう。

それもそうだろう。『夢見るお嬢様＋トリスタン･ラ･トゥールにぞっこん＋天使の囁き＝いとも容易くトリスを追い詰める』という計算式がたてられるのだから。

しかももっと質が悪いのが、彼自に全く悪気が無く、寧ろ好意しかないという事だ。悪人であれば、スキルの消去や記憶の消去など手はあったのだが、10年前の些細な出來事で、ここまで追い詰められるとは思っていなかったトリス。

｢こ、これは、真面目に正面から話し合いに持ってくか、無理矢理にでも嫌われるしか方法は無いか…。嫌われる方が手っ取り早いか？しかし俺には心は一切分からないしな〜。俺の思いつく限りの事やっても、何かけれられそうで、何か怖いし。｣

今はどうしようも無いので、一旦全てのステータスを平民トリスの狀態まで戻し、教室に戻りながら考える。

前世では、他人（特に子）に興味を持って知ろうとせず、同の仲のいい數人の友人が居れば良いという、狹い世界しか持たなかった事が仇となってしまったようだ。

｢ったく！あの人なら、もっと條件の良い男が、諸手を挙げて人にでも何でもなるだろうに！何で俺なんか！｣

珍しくイラついたを表に出すトリス。いや、どちらかと言うと困の方が強いだろう。好意を向けられるのは嬉しいが、今のトリスにとっては非常に邪魔なものだ。

『ホルスが好かれてさえいればそれで良い』というのが、トリスのモットーであるため、年上お姉さんキャラとして、マルティナにはホルスをしてもらいたいというのがトリスの本音だ。

だがそうこう考えているに、教室が見えてきてしまったので、トリスは仕方なく一旦思考を中止する。

｢チッ！…はぁ。よし、るか。｣

トリスはまるで仮面を被るかのようにを切り替えると、そのまま教室にっていく。

｢あ、トリス。遅かったじゃん。｣

教室にると同時に、今度は取り囲まれていなかったホルスから聲がかかる。

｢ん〜？そうか？トイレ行った序に、外の空気を吸ってたからじゃないか？｣

最初ら最後まで全部真っ赤な噓なのに、全く顔を変えずに言い放つトリス。

｢ふ〜ん。僕が行った時には、既に居なかったから、てっきり何か別の用事があるのかと思ったよ。マルティナ先生に會いに行ったとか。｣

鋭い指摘をしてくるホルスに、表がきそうになるが必死に耐えるトリス。

｢まさか。例えマルティナ先生に用事があったとしても、何も態々今行かなくても。｣

｢まぁ、それもそうだね。それよりもトリス。｣

｢ん？何？｣

どうにか乗り切ったと思ったトリスは、続くホルスの質問に対して緩んだ気分で臨む。

｢トリスは、マルティナ先生の事どう思ってるの？｣

｢へ？ど、どうって？あ〜、良さげな先生だとは思うけど？｣

そのため、揺を隠す事が出來ないのだった。ホルスの真意には気付いたものの、トリスは敢えてすっとぼけた答えを返す。

｢惚けないでよ。僕が言いたいのは、1人のとして、どう思っているかだよ？周囲の狀況を知る事に長けているトリスが、マルティナ先生の気持ちに気付かない訳ないよね？｣

｢ん〜、そうだなぁ。正直困してるかな。會ったのは試験けに行った時･････････が初めてだし、何で俺？みたいなじだな。｣

トリスは、ホルスが上級屬魔法の、看破ディテクションを使っている事をじ、言葉に気を付けて返答する。看破ディテクションとは、噓か本當か分かる魔法なのだが、抜け道があり、トリスの言う『試験をけに行った時』とは冒険者ギルドの･･･････と上に付けるのが正しい。あの時は、最初から昇格試験をけるつもりであったので、あながち間違いではない。それに困しているというのも事実なので、現在ホルスにはトリスが噓を言っているとはじられていないだろう。

｢そうなんだ。ごめん、疑って悪かったよ。実は今屬魔法の看破ディテクション使ってたんだ。本當にごめん！｣

トリスが事実しか述べていないと分かると、ホルスは馬鹿正直に謝ってくる。

｢え？マジ？まぁ、良いけどさ。｣

｢え？良いの？｣

｢おう。ホルスは、俺がマルティナ先生に対して、ちゃんと対応していなかったら、マルティナ先生が可哀想と思って魔法を使ったんだろ？なら、それは良い事に使ったという事だ。自分自のエゴのためではなくだ。｣

｢トリス…。｣

失禮な事をしてもあっさり許してくれ、しかも自分の真意まで汲んでくれる友人に、ホルスは極まったかのような聲をあげる。

しかしそれとは正反対に、トリスは騙してしまった事に々罪悪を覚えるのだった。