《転生王子は何をする?》第95話 決闘…おや?テクラさんの様子が…。
「は〜い、トリス君〜。練習場の予約が取れましたよ〜。」
教室にってくるなり能天気にそう告げてくるマルティナ。それに力しながらトリスは言う。
「ど、どうもありがとうございます…。い、行きましょう、テクラさん。」
「…。」
トリスがテクラに話しかけるが、テクラは顔面蒼白のまま震えている。
それを不思議に思ったトリスは、更に言葉を重ねる。
「?どうしました?えっと、調でも悪いなら、決闘は後に回しましょうか?」
「ひぃっ…。」
なるべく優しげな笑みを心がけて話しかけたが、その表を見てテクラは更に強く震え出す。というか悲鳴もあげている。
と、その時、トリスを背後から素手で叩く者がいた。
『スパーン!』
「痛い!って何すんだホルス。」
當然トリスは抗議するが、ホルスはそんな事は意に介せず呆れた様子で言う。
「あのね、トリス。普通さ、次席の人相手に決闘仕掛けたら、誰でも絶的な気分になるよね?」
「なんだと!あのホルスに常識を教えられた!?」
「…トリス?」
トリスは巫山戯て返答するが、『何を巫山戯てるの?』というホルスの絶対零度の視線に負けて全力で平謝りする。
「ご、ごめんなさい!け、けどさ、平民が有り得ないレベルで実技をこなしたって話を、普通は信じないだろ?で、『不正した!』とか、『本當の実力を見せてみろ!』とかなるだろ?」
トリスはよくある異世界モノの展開を思い浮かべながら、言い訳をしてみる。
するとホルスはため息をつきながら言う。
「はぁ〜。何でそんな勘違いするのか分からないんだけど、この學園で不正行為すれば、貴族は良くて廃嫡悪くて奴隷落ち、平民は問答無用で奴隷落ちだよ?誰が不正するの?」
この世界での奴隷とは、やはり異世界モノの定番のように、魔法による縛り付きの隷屬契約である。勿論主人には一切逆らえないのだが、著しく人権を侵害するような行為、例えば命を奪う、的な行為を強制する、過重労働は止されている。しかし命を奪うという事を除いては規制が難しいため、グレーゾーンとなっている。そのため奴隷落ちとは即ち死刑の次に重い、誰もが恐れる処罰である。
ホルスから告げられる衝撃の事実に、トリスは思わず驚きの聲をあげてしまう。
「え!?マジで!?」
「うん、マジで。というか試験要綱見なかったの?」
ホルスの言葉に、トリスは膝から崩れ落ちる。
「そ、そんな馬鹿な。俺の完璧なる『手っ取り早く実力見せて、より効率的に學園での地位向上を図ってやる計畫』がこうも容易く破られるとは…。」
「いや、まだ実行されてもないんだから、破られるも何もないと思うんだけど。」
ホルスの容赦ない言葉に、トリスはその崩れ落ちた姿勢のままテクラの方を向く。
「こ、此度は、私の勘違いでテクラ様にご迷をおかけしたことを、深くお詫びいたします。」
綺麗な土下座でテクラに謝罪する。これには顔面蒼白であったテクラも慌てるしかない。
「え、いや、その、ゆ、許します!で、ですから顔を上げてください!先程は私も貴方の煽りに乗って、隨分とおかしな事を言ってしまったので、それでお相子で!」
どうやら自分でも言っている事がおかしいとは思っていたようで、テクラは戸いながらも何とか言葉を紡ぐ。
「あ、ありがとうございます!…さてホルス、問題も解決した事だし、練習場でかしてくか!」
『は?』
先程まで平謝りしていた雰囲気は何処へやら、トリスは立ち上がると唐突に呑気なことを言い始める。
そのため目まぐる変わる狀況に著いていけなかったクラスメイト達は、思わず聲を上げてしまう。
「はぁ〜、分かったよ。…今日は散々振り回してくれたんだ。なら多本気でやっても良いよね。」
「うん?何か不穏な言葉が聞こえたような?」
ホルスがボソッと呟いた言葉が上手く聞き取れなかったトリスは聞き返す。
「いや?何にも言ってないよ?そんな事よりも、行こうよ。」
「う〜ん。…ま、いっか。よし行こう。」
トリスは納得いかなそうに首を傾げていたが、考えても分からないので思考を放棄してホルスの言うことに賛する。
こうしてトリスとホルスは、學園での伝説の第一歩を踏み出すのだった。
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