《転生王子は何をする?》第98話 ありふれた學園生活? 1
「おはよ〜。」
決闘騒ぎの翌日、トリスは教室のドアを開けると呑気に聲をかけながらって行く。
その瞬間、クラス中の視線が一斉にトリスの方を向き、そのまま固定される。
「え?俺何かやった?あ!若しかしてモテ期來た!?」
クラス中が『違うわ!』と思ったが、昨日の戦闘を見て文句など言える度のある者は居ないため、ただ目が逸らされるだけである。
「トリス?何で立ち止まってるの?」
そう言いながらトリスの背後からひょっこりと顔を出したのはホルス。トリスとは一緒に來ていたが、ドアを開けたトリスがそのままかないでいたため、不思議に思って顔を出したようだ。
「ん?あ〜、何でもない。皆俺らより早いな〜と思ってさ。」
「あ、ホントだ。流石は皆學園都市でも有名校の、トゥール學園に學できるだけのことはあるよね。」
まるで人事のような言いように、トリスは溜息をつきながら言う。
「いや、その有名校なここに首席で合格したのは、ホルスなんだが?もっと言えば、規格外とまで言われてるんだぞ?」
「そう言うトリスは次席だけどね。ま、兎に角席に座ろうよ。」
「そうだな。」
このまま言い合っていても、終わりは無いと判斷したのか、早々に切り上げて2人は席に向かう。
そんな2人の元にやって來る3人の子生徒。
「おはようございます、ホルスさん、トリスさん。」
「おはよう、ホルス君、トリス君。」
「おはようございます、ホルスさん、トリス…さん?」
「「おはよう(ございます)。」」
このクラスで非常識コンビに話しかけてくるのは、今のところローゼマリー、リタ、リアのみである。リタはトリスと直接話した事は無いのだが。
「お話しするのは初めてですよね、リタさん。初めまして、私はトリスと申します。」
トリスは気取ったじで、巫山戯て自己紹介する。
「は、はい。私はリタ・ベッセルと申します。先日は、大変お世話になりました。」
しかしリタは大真面目にけ取ったのか、非常に固い言い回しで頭を下げてお禮を言ってくる。
「い、いえいえ。リアさんにも申した通り、ホルスが居なければ速攻尾を巻いて逃げてたので、お禮ならホルスに言ってください。…なんなら盡くしまくってください。」
思わぬ返しにトリスは戸ったが、後半で調子を立て直して、小聲でリタにしか聞こえないように半ば大真面目に言う。
「え?つ、盡くすとは?」
「それは勿論、ホルスに対して人として、若しくは婚約者として盡くしちゃってくださいって意味ですよ。」
「〜!」
剣を使うと聞いていたため、し大雑把な格をイメージしていたトリスだが、濁したじの言い方で即顔を真っ赤にする純さを目の當たりにし、『これはこれで破壊力凄いな』と思いつつ揶揄うのを終わりにする。
「冗談です。」
「と、當然です!確かにホルスさんには大恩がありますが、そういう事に関しては、やはり、その、相手の気持ちが大切というかですね、その…。」
折角トリスが話を終わらせたのに、何故か自滅するリタ。
「僕がどうかした?」
「いや、何でもないよ。そういえば、確かホルスは事聴取の時にリタさんと會ってるんだっけ?」
「うん、まぁね。リタとリアの意向もあって、合同で取り調べをけてたんだ。」
あの事件の後トリス達は警備兵に報せ、現場検証や証言等に立ち會ったのだが、やはりホルスが侯爵家の息子という事もあり、彼の証言を重要視して、平民という設定のトリスは速攻帰宅の許可が出たのでリタとは面識が無かったのだ。
「ほほぅ。リタさんとリアさんの意向ね。そして呼び捨てですか。これはこれは…。」
ニヤケながら、トリスはリタとリアに視線を向ける。
「な、何?」
「な、何ですか?」
「いえ、何でも無いです。」
「トリス?何か言いたい『ガラッ』…あ、先生だ。続きは後で皆一旦席に戻ろうか。」
ホルスが問い詰めようとするが、丁度マルティナが教室にって來たので席に戻る。
「おはようございます、皆さん。」
『おはようございます。』
教卓の前に立ったマルティナが挨拶をすると、生徒達は一斉に返す。
-こういうのは、何か懐かしいじだな〜。-
トリスは前世での學生生活を思い浮かべてしみじみと考える。
生徒達の返事にマルティナは微笑むと、事務連絡を伝えていくのだった。
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