《転生王子は何をする?》第101話 ありふれた學園生活? 4
リヒャルダをオークに見間違えて慌てて傍らにマルティナを下ろしていたトリスは、気を取り直して再びお姫様抱っこで保健室のベッドの上に橫たえ、靴をがせてやる。
「よっこらせと…。ふぅ。」
「…何かおじさんみたいだね。」
ひと仕事終えたおっさんみたいな仕草をしているトリスを見て、苦笑いするホルス。
「む。失禮な。こう見えてもピッチピッチの15歳だけど?」
転生後自意識が発生したのは5歳の時であるので、そろそろ神年齢は30歳になるのだが、に引っ張られているのか心外だとばかりに抗議するトリス。
「確かに歳は同じだろうけど、巫山戯てない時のトリスって妙に大人っぽいというか…。あ、落ち著いてるっていう方が表現的には正しいかな?」
トリスの事をよく分かっているホルスは、『うんうん』と頷きながら獨りごちている。
「ほほう?それは巫山戯てる時は子供とだと言いたいのかな?」
「そんな事は無いよ?ただ何となくそうじただけかな。」
「ま、良いけど。そんな事よりマルティナ先生に布かけないと。」
マルティナは今現在the・中世の貴婦人みたいな落ち著いた、特に裝飾のなされていないドレスを著ているため、皺になりそうで怖いがまさかがせる訳にはいかないのでそのままベッドに備え付けの布をかける。
「ところで、どうしてマルティナさんは気を失われてるのですか?」
するとトリスがベッドに運ぶ様子を見守っていたリヒャルダが、當然じるであろう疑問を持ったようで聞いてくる。
「さぁ?何ででしょうか?急に鼻を出したと思ったら、倒れたんですよ。あ、一応鼻は持ってたハンカチで拭っておきました。序にここに來る間に、こっちに居るホルスに回復魔法をかけてもらいました。」
トリスは自分が原因とは思っていないため、心底不思議そうに首を傾げながら言う。
「そうなの。そちらの…ホルス君も分かりませんか?」
「マルティナ先生が倒れられた時、丁度僕達は話をしていたので分からないです。」
ホルスも聞かれるがトリス同様分からないようで、こちらも首を傾げる。
「う〜ん。この寢顔を見る限りでは、病気では無さそうですが…。」
倒れた原因が分からないリヒャルダは、難しい顔をしながらふにゃりと緩みきった表をしているマルティナを見る。
「にゅふふふ…。トリス君…。」
「「「…。うん、病気じゃないな(ね)(ですね)」」」
三者三様の口調で同じ事を呟いてしまう。
「えっと、トリス君というのは…。」
『トリス』という名前が気になったリヒャルダはトリスに目を向けながら聞く。
「あ、はい俺です。一夢の中で俺はどんな目にあってるんですかね?」
『あはは』と苦笑いしながら答えるトリス。
だがリヒャルダは真面目な顔で、正解に限りなく近いところを突いてくる。
「原因、君なんじゃないかな?人間は寢ている間に、その日の記憶を整理するらしいのだけれど、こうも寢言で呟くという事はそれだけトリス君の印象が強かったという事だと思うの。だから倒れる寸前に、トリス君に関連することで刺激的なものを見たとか。」
「刺激的なもの…ですか?…そんなのあったっけか?」
まだ分からないトリスは、ホルスに問う。すると最初は難しい顔をしていたホルスたが、段々と目を見開き始め、終いには口も開いてしまう。
「え?何その表?思い當たる節でも?」
自分がいつ刺激的なことをしたのか気になるトリスは、食いつくようにホルスに鋭い視線を送る。対処可能なことなら早期に改善しておきたいからだ。
「う、うん。若しかしたら、トリスのあの『てへっ』って言った時の顔見て、興したんじゃないのかな〜って。どう?」
「は?んな訳…。いや、マルティナ先生なら有り得るか?」
ホルスの馬鹿げた考えに一瞬否定しかけるトリスだったが、今までのマルティナの奇行を思い起こして納得しそうになる。
「え?マルティナさんは貴方の表を見て、興して倒れられたの?」
「えっと、分からないですけど、その可能も無きにしも非ずといいますか…。」
トリスは何とも言いづらそうに、微妙な表で歯切れ悪く言う。しかしそんなトリスに代わってホルスが嬉々とした表を浮かべて弾発言をする。
「はい、その通りです。マルティナ先生はトリスの事が大好きなので、可い表が見られて満足したのでは無いのかと思います。」
「ホルス!?何で人が折角れなかった事を言うんだよ!」
トリスはぶ。教師×生徒なんて組み合わせは、忌でしかないからだ。しかしリヒャルダはトリスの予想とは全く反対の反応をする。
「まぁ!ついにこの子にも春が來るのね!私この子が男の子に興味が無いんじゃないかって、本気で心配していたんですよ!トリス君、末永くマルティナの事をお願いします!」
「ちょ!リヒャルダさん!?口調変わってますよ!?マルティナ先生の呼び方も!それから俺は別にマルティナ先生とはそんな関係じゃ無いですってば!」
目を爛々と輝かせてトリスに詰め寄ってくるリヒャルダ。それに若干怯えながらトリスは々と指摘する。
「あら、失禮しました。…コホン。私は実はマルティナさんの叔母なので、つい気になってしまいましたわ。」
「へ、へぇ〜、叔母なんですか…。って叔母!?マルティナ先生の!?」
リヒャルダの口から告げられた衝撃の事実に、トリスは思わずんでしまうのだった。
- 連載中31 章
虐げられた奴隷、敵地の天使なお嬢様に拾われる ~奴隷として命令に従っていただけなのに、知らないうちに最強の魔術師になっていたようです~【書籍化決定】
※おかげさまで書籍化決定しました! ありがとうございます! アメツはクラビル伯爵の奴隷として日々を過ごしていた。 主人はアメツに対し、無理難題な命令を下しては、できなければ契約魔術による激痛を與えていた。 そんな激痛から逃れようと、どんな命令でもこなせるようにアメツは魔術の開発に費やしていた。 そんなある日、主人から「隣國のある貴族を暗殺しろ」という命令を下させる。 アメツは忠実に命令をこなそうと屋敷に忍び込み、暗殺対象のティルミを殺そうとした。 けれど、ティルミによってアメツの運命は大きく変わることになる。 「決めた。あなた、私の物になりなさい!」という言葉によって。 その日から、アメツとティルミお嬢様の甘々な生活が始まることになった。
8 128 - 連載中56 章
【電子書籍化】神託のせいで修道女やめて嫁ぐことになりました〜聡明なる王子様は実のところ超溺愛してくるお方です〜
父親に疎まれ、修道女にされて人里離れた修道院に押し込まれていたエレーニ。 しかしある日、神託によりステュクス王國王子アサナシオスの妻に選ばれた。 とはいえやる気はなく、強制されて嫌々嫁ぐ——が、エレーニの慘狀を見てアサナシオスは溺愛しはじめた。 そのころ、神託を降した張本人が動き出す。 ※エンジェライト文庫での電子書籍化が決定しました。詳細は活動報告で告知します。 ※この作品は他サイトにも掲載しています。 ※1話だけR15相當の話があります。その旨サブタイトルで告知します。苦手な方は飛ばしても読めるようになっているので安心してください。
8 55 - 連載中15 章
無能力者と神聖欠陥
一度崩壊した世界は生まれ変わり、それから特に成長したのは人類の「脳開発」だった。頚椎にチップが埋め込まれ、脳が発達し、人は超能力を手にするようになり、超能力を扱えるものは「有能」と呼ばれる。しかし、チップを埋め込まれても尚能力を持てない者は多數いた。 「無能」は『石頭』と揶揄され、第二新釜山に住む大學生、ググもまた、『石頭』であった。 ある日、アルバイト先で、一人の奇妙な「有能」の少女と出會ってから、ググの日常はそれまでとは大きく変わってゆく。
8 76 - 連載中118 章
村人が世界最強だと嫌われるらしい
ある日、事故で死んでしまった主人公烈毅は、神様からこう言われる。『世界を救ってくれ』と。ただ、それは余りにも無理な話であり、勝手なものだった。 なんてったって、この世界では最弱の村人として転生させられる。 ただ、それは名前ばかりのものだった。 何年も費やし、モンスターを狩りに狩りまくっていると、いつの間にかステータスの數字は?????となり、數値化できなくなる。 いくつものスキルを覚え、村人とは思えないほどの力を手に入れてしまう。 その事を隠し、日々過ごしていた烈毅だったが、ある日を境にその事が発覚し、周りからは引き剝がされ、ひとり孤獨となる。 世界中を周り、この地球を守り、この世界の真理にたどり著く、主人公最強系異世界転生物語!
8 159 - 連載中35 章
闇夜の世界と消滅者
二〇二四年十一月一日、世界の急激な変化をもって、人類は滅亡の危機に立たされた。 突如として空が暗くなり、海は黒く染まり始めた。 それと同時に出現した、謎の生命體―ヴァリアント それに対抗するかのように、人間に現れた超能力。 人々はこれを魔法と呼び、世界を守るために戦爭をした。 それから六年。いまだにヴァリアントとの戦爭は終わっていない…………。
8 176 - 連載中111 章
幻想魔動人形記
新・幻想入りシリーズ とある事であっさり死んだ未練たらたらの青年、気持ちを新たに取り敢えず閻魔の所に行こうとするも、謎の光(魔法)の穴(円)に吸い込まれてしまう。新たな人生の幕開けとして・・・ 穴に吸い込まれた護速(ごそく)霊夜(リョウヤ)は、魔動人形に取り込まれ、新たな體を得る。 この話はそんな青年の幻想録だ
8 133