《転生王子は何をする?》第110話 學園モノといえば、やはり転校生ネタですね 8

「『害蟲駆除は元から作戦』?何それ?」

隙あらばスキンシップを図ってくるフロレンティーナを、あの手この手で乗り越え、どうにか無事に屋敷に帰りついたホルスは、テラスで紅茶を飲みながら一息ついているところに唐突にトリスから切り出された作戦名に苦笑いしながら問う。

「何って、そのまんまだよ。害蟲は、駆除するならその巣を駆除しない限り永遠と湧いてくるからな。」

『ウザイよな〜』と、紅茶を啜りながら今回の黒幕を害蟲扱いするトリス。しかしこの場にはその意見に申す者は居ないので、話はそのまま続けられる。

「それってつまり、フロレンティーナ様の洗脳?狀態を解くために、フォルツ王國まで乗り込むって事かな?」

ホルスもトリスと同じ事を考え付いたようで、疑問形にはなっているものの、確信をもった表で言う。

「おう、その通り。どうもこの問題はが深そうだからな。魔法を行使した者に直接狙いを聞くのが1番だろ。それに下手に魔法を解こうとして、フロレンティーナ様に何かあったら目も當てられないからな。」

「うん、その通りだね。…で、その作戦はいつ決行するの?」

真面目な顔をしてはいるが、その眼は『面白そう』と語っているホルスは、ごもっともな事をトリスに聞く。今は絶賛學期が始まってから1ヶ月程なので、現代日本と同じような學期構になっているこの世界では、夏休みはあと2ヶ月は待たなくてはならない。

フォルツ王國王都までは、學園都市からなくとも馬車で3日はかかる距離なのだ。そのため1週間以上休學する事を覚悟せねばならない。

「フッフッフッ。その辺にぬかりは無いぜ。丁度明日から、の日(※日本で言う土曜日)、闇の日(※日曜日)で休みな上、火の日(※月曜日)は學園の創立記念とか何とかで休みだから三連休になってるんだ。」

しかしそんな事は関係ないとばかりに、トリスは演技がかった笑い方をしながらホルスに言う。

「え?まさか、3日で行ってボコして帰ってくる気なの?」

「お、おう。ボコすの決定なんだな…。」

ホルスの騒な言いに、トリスは苦笑いを浮かべながら頷く。

「うん、勿論!で、移手段はどうするの?」

黒幕をボコすのを勝手に決定しているホルスは、當然の質問をトリスにする。

するとトリスは、待ってましたと言わんばかりの笑みで自慢げに言う。

「フフフフフ。今回は、私の持てる限りのコネを使い、特別な製品を用意させて頂きました。」

「お?一何を用意されたのですか?楽しみですよ!」

そこにノリノリなホルスまで加わり、これから國をるような相手を、倒しに行く者達には見えない空気となっていた。

「3日で隣國の王都まで行ってボコして帰って來たい?そんな貴方にお勧めなのが、この最新鋭のステルス機能付きの飛行船!何と飛行実験では1時間でトゥール王國の端から端まで行く能がありました!」

ホルスが乗ってくれたため、調子よく今回用意したものについて語るトリス。

「え?マジで?」

トリスの口から出たトンデモ発言に、ホルスは驚いてしまい2人の間に溫度差ができてしまう。

「今ならこちらの製品、お値段なんと無料!燃料は縦者の魔力でくので、その辺は自で調達して下さい!」

トリスはホルスの様子には気が付かずに、最後のオチまで言い切る。

「ちょ、ちょっと、トリス。ストップ!頭がついてかないんだけど?」

しかしホルスはツッコミをするどころではないので、ガン無視してトリスにストップをかける。

「え?何で?」

「いやさ、何かしらのぶっとんだ手段だとは思ったけどさ、ドラゴンでもテイムして乗ってくのかと思ってたんだよね。なのに、ステルス機能付きの飛行船!?何それ!?それに攻撃用の魔道マジックアイテムでも搭載したら、小國なら軽々と落とせるよね!?」

冷靜に話そうとホルスは心がけるが、途中から我慢出來ずにび出す。

「え、えぇ…。既に裝備済みとか言えないじゃんこれ。」

「トリス!?聞こえてるよ!?」

ガッと顔を近くに寄せ、問い詰めてくるホルス。

「い、いや!ちょっと待って!ホルスが乗る時點で最早それは兵だと思うんだけど!適當にその辺に大発エクスプロージョン打ち込んでれば、それこそ一國落とせるから、ステルス機能付きの飛行船とか今更だと思うんだけど。」

「ぐっ…。ぼ、僕は何も聞かなかった、うん。

ステルス機能付きの能の良い飛行船に乗るだけ。」

の戦闘能力を言われては、何にも言えなくなってしまうホルス。単で小國なら無傷で落とせるため、確かにステルス機能付きの飛行船なぞ楽できるかどうかの問題であるのだ。

「あ、飛行船は正面り口付近の庭の隅に停めてあるから。勿論ステルス機能を使ってるから、使用人の方々にはバレてないはずだよ?」

「いつの間に!?というか準備良すぎじゃない!?」

「フフフフフ。言ったろう?俺の持てる限りのコネを使ったと。これが俺の本気だ!」

トリスはを張り、偉そうにふんぞり返りながら聲を張る。

「トリス怖い…。いつか國相手に喧嘩売りそう…。」

一方ホルスは、親友の行く末を考え、どうしようもない不安に駆られていた。

「その時はホルスもうから、乗ってくれよな!」

しかしそんな事は気にもとめていないトリスは、笑顔でホルスを國相手の喧嘩をってくる。

「するわけないでしょ!?」

「いや、俺が喧嘩売る時は、大抵ホルスも許せない事だから、絶対乗ってくるだろ。ま、諦めなさいな!ワハハハハ!」

「た、確かに…。ってそんな事話してる場合じゃないよ!決行に向けて、早く準備しないと。黒幕についての報収集から何まで、まさか僕達だけで出來るわけないんだから、それなりの人員を連れてかないと。」

ホルスはトリスの言うことは一理あると頷いていたが、明日には敵陣に乗り込んでいると分かった今、早く準備を進めなければと席から立ち上がろうとする。

「あ、大丈夫。その辺は現地に協力者が居るから、そこを頼ればどうにかなるさ。」

しかしトリスは尚も紅茶を啜りながら、呑気にのんびりとした口調でとんでもない事を言う。

「だ、だからさ、準備良すぎだよ…。」

椅子に力なく座り込んだホルスは、疲れたようにそう呟くのだった。

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