《転生王子は何をする?》第114話 突撃開始です 3

「よし、じゃあ2人とも仲良く談笑も済んだところで、そろそろフォルツ王國王都、ザクサーの上空に著きそうだな。」

「え?もう?早くない?」

出発してから1時間ほどでトリスから聲がかかったホルスは、驚いた顔をする。

「そうか?本気で飛べば、30分かからないけどな?300ちょいしか距離は無いんだし。」

東京・大阪間が2時間半程度で移できる時代に産まれていたトリスには、この程度は驚くに値しないため、のほほんと答える。

「うん、そうだね〜。機報の塊に常識を求める方がどうかしてたよ〜。」

トリスと飛行船の非常識さに、呆れて遠い目をするホルス。

そして思い起こすのは道中でのワイバーン掃討戦。この世界でのワイバーンの位置づけとしては、ドラゴンのワンランク下であるが、1頭で小さな村程度であれば軽く全滅させられる力を持っている。

しかしこのアルヴィトは、およそ30頭のワイバーンを、文字通り掃除をするかのように機関銃のみで一掃したのだ。集していたのもあるが、その間なんと10秒。Bランクモンスター(Bランクの冒険者4人パーティで討伐可能)がまるで稚児のように扱われる様は、ホルスにとっては衝撃的であった。

「どうしたのさ。急に遠い目をして回想を始めるだなんて。ぼんやりしとると、敵の中に落ちるかもしれないぞ?」

「む。トリスが非常識なのがいけないんだよ?この後で、じっくりトリスのコネクションとか聞かせてもらうからね!」

「え?何で?別に俺の事なんか聞いたって、面白くも無いだろ?」

トリスは困り顔で話を逸らそうとする。実際今回の非常識な飛行船の使用は、トリスにとっては苦の策であったのだ。

現在・・平民であるトリスには、一國相手に長期戦などは仕掛けるのは不利であり、短期決戦がましかった。またホルスにこの件を解決させるには、必ず現場に出向いてもらう必要があった。

これらを鑑みた結果、飛行船を使うという、ある意味力技的な方法しかなかったのだ。

「いや、この非常識なコネクションを気にならない奴は居ないって!何をどうしたら、自稱一般人がこんな戦略兵かせるのさ!」

流石に今回は完全に誤魔化しきれないとじたトリスは、仕方なくもう一つ策を発させることにした。

「う…。分かったよ。この件が解決したら、すぐには無理だけど、必ず話すから今は我慢してくれよ。」

難しい顔で話す事を約束するトリス。

「はぁ、分かった。別にトリスを責めてる訳じゃないから、そんな顔しないでよ。寧ろ今回は謝してるんだよ?」

トリスに嫌われてまで知りたいとは思っていないホルスは、忘れずフォローもする。些か強引さも否めないので、良心が傷んだというのもあるのだろう。

「そうか?なら、良いんだけどさ。…そんな事より早く行って、黒幕ぶちのめしてこようぜ!」

微妙な雰囲気になってしまったため、トリスはその空気を吹き飛ばすかのように発破をかけるのだった。

今回は正がバレなければ良いため、上級風屬魔法の不可視インビジブルを使ってから降下する事にした2人は、出口に足をかける。

「んじゃアイ、後はよろしくな。」

トリスはアイに聲をかける。

「はい、畏まりました。お気を付けて。」

「おう。」

「うん、ありがとう。」

當初よりも砕けた口調になったホルスは、アイの気遣いに謝する。幾らホルスが強いとはいえ、正不明の敵に挑むのは不安があったのだろう。

「よし、行こう。」

「うん。」

ステータスの違いを訴え、ホルスにフロレンティーナを抱えさせたトリスは、自前で不可視インビジブルを使う。それに倣ってホルスもフロレンティーナと共に明化する。

「ほいっと。」

「よいしょっ!」

凡そ50メートル程の高さから飛び降りる2人。しかしその速度は魔法で殺しているため、20秒ほどかけて民家の屋の上に著地する。

「んじゃ、著いてきてくれ。協力者の元に案するから。」

そう言いながら屋の上を転々と飛び移っていく。

「了解。不可視インビジブルは?」

「いや、気を失ったを抱きかかえたままうろつく訳にはいかないでしょ。」

「うん、それもそうだね。拐犯だと思われて通報されても…既に手遅れかな。あははは。」

「それな。最早問答無用で切られても、文句は言えないよな〜。な、相棒!」

「嫌な相棒だよ!まさかを攫う日が來るだなんて!」

2人は危なげなく移しながら、言葉をわす。不可視インビジブルでは聲までは消せないのだが、王都なだけあり喧騒に消えるので問題無いと判斷したのだろう。

時々消せなかった足音に気付く者が居るだけで、何の問題もなくスムーズに目的地へと近付いていく。

「うん、この辺りだな。」

開始してから5分後、急にスピードを落とすトリス。そして地上へと降りると、路地裏の寂れた酒場に向かって歩き出す。

「『オッサンの止まり木』?ネーミングはどうにかならなかったのかな?」

ホルスも後に続きトリスのそばに降り立つ。そして看板に書かれた酒場の名前を見て、呆れた表で呟く。

「あははは。まぁ、繁盛してたら裏側の職業である報屋なんて務まらないから、別にいいんじゃね?」

トリスは苦笑いしながら、不可視インビジブルを解いて酒場のドアを開ける。

「どうも〜、お邪魔するよ〜。」

「お邪魔します。」

ホルスも不可視インビジブルを解いて、一緒に中にる。

中はテーブルが4つに椅子が各2つずつ、カウンター席が6つ、そしてカウンターの中にはマスターらしいゴリゴリのスキンヘッドのオッサンが居るという、ありふれた裝になっていた。スキンヘッドのオッサンを裝扱いして良いのかは疑問だが、その想像通りであったため、トリスはし吹きそうになってしまう。

そんなトリスを後から見ていたホルスは、何で笑っているのか分からなかったが、り口で突っ立っている訳にもいかないのでカウンター席に、トリスを押しながら著く。すると、スキンヘッドのオッサン(以後マスター)が口を開くのだった。

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